1980年代前半、WRCで活躍した“フレンチ・ロケット”完成!【達人のプラモ術<ルノー5ターボ ラリー仕様>】【達人のプラモ術】 タミヤ 「1/24 ルノー5ターボ ラリー仕様」 04/04 完成編となる今回は、キットに付属しているドライバーフィギュア2体を塗装してコクピットに収め、バックミラーやワイパーといった小物パーツ類を取り付けてルノー・サンクを完成させます。フロントウインド越しに見えるペースノートに視線を落としたコ・ドライバー、そしてステアリングを切るドライバーのフィギュアが完成後の良いアクセントになりました。(全4回の最終回/、、) 長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。タミヤ公式YouTubeチャンネルなどでもハウツーレビューを配信中。 ■フィギュアの塗装 キットの塗装指示に沿って2体のフィギュアの製作と塗装を進めます。製作と行っても腕と首を取り付けるだけですが、腕は胴体との接着面に段差が生じないように擦り合わせて接着します。ドライバーは仮組みで腕にステアリングを持たせて、腕とステアリングの角度が不自然にならないよう調整をしながら接着する必要があります。 コ・ドライバーは首の接着面を削って目線が下を向くように調整し、手に持たせたペースノートを見ているようにしています。ちょっとしたことですが、首の角度をわずかに変えるだけでも、完成後のイメージが大きく変わります。 フィギュアはまず下地に黒サーフェイサーを塗り、エアブラシでレースングスーツとヘルメットを白で塗装。凸モールドで再現されたシートベルト、グローブなどは筆で塗っています。フルフェイスヘルメットはツヤありの白で塗装し、顔は水性アクリル塗料を使い、これも筆塗りで仕上げています。 フィギュアを乗せたことで、コクピットの臨場感はぐっとアップ! まぁスープラからトレードしたバケットシートは、チラッとヘッドレストが見えるだけになってしまいましたが(泣)。でもちゃんとバケットシートに変えたんだぜぃ!というモデリング的満足感が満たされたので、これはこれでOKであります。 ▲ドライバーフィギュアは仮組み段階でステアリングを持たせて腕の接着位置を調整しておく ▲フィギュアは黒サーファイサーで下地塗装した後、エアブラシでレーシングスーツの白を塗装する ▲塗装が完了したフィギュア。コ・ドライバーにはキットで指示されているとおりにインストを切り抜いたペースノートを持たせている。ヘルメットのGPAロゴはデカールが付属している ▲塗装が完了したフィギュアをバケットシートに接着。ドライバーは握らせたステアリングがダッシュボードに対して不自然な角度にならないように調整しながら接着する ▲ドライバーとコ・ドライバーのヘルメットとの角度の違いに注目。レーシングスーツが汚れて見えるのは、白の上からスミ入れ塗料のブラックでウォッシングしているため ▲ウインドウ越しに見るコ・ドライバーが手にしているペースノートがリアルで良い感じだ ▲フィギュアを乗せるとコクピットのディテール見えなくなるので敬遠されることが多い(近年のキットはフィギュア自体が付属していない)。個人的な見解ではあるが、ラリーカーではカーモデルとしての臨場感がアップするので乗せて正解だと思う ■実は車高下げてます コクピットにドライバーフィギュアを乗せて、シャシーとボディを合体させれば、ルノー5ターボ ラリー仕様の完成が見えてきました。さてボディを取り付けて気になることがありました。 本キットは元々モータライズ仕様で、走行させられるモデルでした。そのためタイヤとボディのホイールアーチが干渉しないようにクリアランスが大きめ(約3mm)に取られており、車高が高く見えてしまいます。当時の実車写真を見るとホイールアーチにタイヤ上端がわずかにかぶさっているのが分かります。 そこでフロントタイヤは取り付けステーをいったん切り離し、3mm下げて再接着。リアタイヤはシャフトが貫通する穴を削ることでフロント同様に3mm下げて固定しています。前後輪ともタイヤ上端がホイールに接触していますが、走行はしませんし車高を下げたことで迫力が増しました。 ▲フロントタイヤ取り付けの基部(矢印の部分)を切り離して3mm下げて再接着。ステアリング機構は残している。リアタイヤはシンプルにシャフトで貫通しているだけなので、シャフトの穴を上方向に削ることで車高を下げている ▲車高を3mm下げただけだが、見た目の雰囲気が違って見える。フロントのステアリング機構は残したので、ドライバーの手の動きに合わせてタイヤを切ることもできる ■ルノー5ターボ ラリー仕様を完成させる シャシーとボディを組み合わせた後、ワイパーやバックミラーといった艤装パーツを取り付けていきます。バックミラーはドライバー側のみとなり、鏡面部分はミラーフィニッシュシートを貼ることでよりリアルに仕上げています。 ルーフトップのアンテナは0.3mmの洋白線で再現…したのですが、ラリー仕様はルーフ中央部分に取り付けられた大型のホイップアンテナに換装されていたようです(アンテナが市販仕様のままの写真もある)。今回の作例は、ボックスアート仕様ということでアンテナの工作は見送りました。 ▲ルーフ前端に設けられたアンテナは、キットは省略されているので0.3mmの洋白線(ニッケル、銅を使った銀色の金属線)で自作している ▲リアワイパー、エキゾーストパイプ、ミラーフィニッシュで仕上げたバックミラーを取り付けた状態 ■ラリーシーンを駆け抜けたフレンチ・ロケット! ルノー5ターボ ラリー仕様の完成です バックミラー、アンテナといった小パーツ類の取り付けを完了させて、ルノー5ターボ ラリー仕様の完成です。キットは初出が1982年。モーターライズ仕様だったこともあり、パーツも少なめで、特徴的なオーバーフェンダーやバンパーなどもボディと一体成型されたシンプルなキットですが、プロポーションは良好で、実車のイメージを良く捉えた良キットだと思います。 ドライバーとコ・ドライバーのフィギュアに懐かしさを感じるモデラーも多いでしょう。近年のカーモデルでは基本フィギュアは付属していないので、逆に新鮮かもしれません。 最新のカーモデルキット比べると一体成型されたボディの塗り分けなど、手間がかかる部分もあります。しかしパーツも少なくサクサクと製作を進められるので、カーモデルビギナーにもお勧めですし、大判のデカール貼りやフィギュアの塗装も楽しめます。また発売中(限定再販)のラリーサンクの市販車仕様もなかなか魅力的で、今回のラリー仕様と一緒に飾りたくなりますね。 これでルノー5ターボ ラリー仕様の製作は完了です。さて次回は何を作りましょうか、お楽しみに! ▼ルノー5ターボ ラリー仕様フォトギャラリー >> <製作・写真・文/長谷川迷人>