アウディSQ5スポーツバック/価格:7DCT 1058万円 Photo by Koujirou Yokota Q5が3世代目に移行 SUVへのPPC導入はアウディ初 2009年に初代モデルが日本に上陸して以降、アウディならではの上質で洗練されたプレミアムミッドサイズSUVとして人気を博し成功を収めてきたQ5が、3世代目に移行した。 少し前に導入されたA5に次いでアウディの新世代内燃機関プラットフォーム、PPC(プレミアムプラットフォームコンバッション)を採用した点がハイライトだ。SUVへのPPC導入はアウディ初となる。 Q5のボディサイズは4715×1900×1630~1655mm。旧型比で全長はわずかに伸びたもののほぼ同等。取り回し性は良好だ。このクラスで全幅が1900mmを超えなかった点は、とくに日本のユーザーには歓迎されるだろう。 スタイリングは2代目の延長上にありながら、よりシャープでダイナミックなデザインとなった。立体的で彫りが深く、エッジの少ない面構成の力強い抑揚を持つボディラインが印象的だ。 ラインアップは、これまでと同じく標準SUVとスポーツバックの2本立て。モデルは、2L直4のガソリン直噴ターボのTFSIと、2LディーゼルのTDI、3L・V6 TFSIエンジンを搭載するスポーツグレード、SQ5を用意する。試乗車はSQ5スポーツバックである。 アウディSQ5スポーツバック 新型Q5シリーズは標準SUVスタイルとスポーツバックの2シリーズ。それぞれ2LガソリンのTFSI、2LディーゼルのTDI、3LガソリンのSQ5が選べる。全車48VマイルドHV。駆動方式はクワトロ(4WD) インパネは11.9インチの液晶メーターと14.5インチのMMIタッチディスプレイ、そしてopの10.9インチパッセンジャーディスプレイをレイアウトした先進形状。上部に配したアンビエントライトが上質さを演出する。剛性の高いステアリングが意のままの走りをサポートするのも印象的 SQ5のシートは大型スポーツ形状。写真のファインナッパレザー仕様はセットop(71万円)。乗り心地は全域で快適 アウディSQ5スポーツバックリアシート ラゲッジスペースは広く実用的、後席使用時515L、最大1415Lに拡大。後席は3分割形状 アウディSQ5スポーツバック荷室 SQ5には、走りのよさを想起させるスタイリッシュな5ツインYスポークアルミを標準装備。リア回りは、2代目と違ってマフラーエンドを強調したデザインに回帰した。またリアウィンドウプロジェクションライトを、アウディとして初採用したのもハイライト。これはブレーキ時にリアウィンドウ上部にあるルーフスポイラーの下にグラフィックを投影。ブレーキライトの面積を広げて警告表示を強調することで後続車への注意を促すアイテムである。 インテリアはモダンで先進的にイメージを一新した。A5と同様に大きく印象を変え、オプションの助手席前のディスプレイも含め、画面に囲まれているような感覚だ。最新のコネクティビティとインフォテインメントシステムを統合したデジタルステージの搭載は3代目の大きな注目ポイント。ファインナッパレザーシートなどをセットしたラグジュアリーパッケージ(71万円)を装着した試乗車の質感は高く、いかにもプレミアムSUVらしい。 実用性も高い。荷室はスポーツバックでも十分な広さが確保されていて、リアシートはリクライニングだけでなく、前後スライドも可能。必要に応じて荷室容量を増やしたり後席乗員の快適性を増すことができる。スポーツバックは後席ヘッドルームが従来よりも広くなり、身長172cmのパッセンジャーが座っても頭上にコブシが縦に入るほど余裕があった。 スポーティにして快適。豪快で意のままの走り アクティブとラグジュアリーの見事な融合 SQ5の走りは別格だった。2LのTFSIとTDIの最高出力がともに150kW(207ps)なのに対し、SQ5には、最高出力270kW(367ps)、最大トルク550Nmを誇る可変タービンジオメトリー(VTG)付きターボチャージャーを備えた3L・V6 TFSIエンジンを搭載。 実際にドライブすると、速さと力強さは圧巻といえるほどの水準にある。アクセルを踏み増したときの中間加速と伸びやかな吹き上がり、そしてV6らしい重厚なエンジンサウンドが印象的だ。さすがは0→100km/h加速が4.5秒の実力車である。ちなみに2LのTFSIは7.2秒、TDIは7.4秒だ。 一定条件下での完全電動走行を可能とした48VのMHEV plusが、いい仕事をしている。Q5系では全エンジンに組み合わされるマイルドHV機構は、発進や低速走行をモーターだけでこなすほか、エンジンでの走行中にも加速を適宜サポート。減速時には最大25kWのエネルギーを回生するので燃費向上にも貢献する。ハイスペックなエンジンを積むSQ5でも、MHEV plusがサポートするシーンが予想していたよりもずっと多いように感じられた。 もちろんアクセルワイドオープンでは、ハイパワーSUVらしい豪快さが満喫できる。走行モードをダイナミックに切り替えるとシフトスケジュールが高回転を維持するようになり、7速Sトロニックのクラッチのつながりもダイレクト感が増す。SQ5でのワインディングランは至福のひとときだった。 SUVに走りと快適性を求めるユーザーに 最適なモデル 足回りの完成度も素晴らしく高い。SQ5には引き締まったスポーツサスペンションが標準装備され、Q5系の全モデルに共通のFSD(Frequency Selective Damping)と呼ぶパッシブダンピングシステムが組み合わされている。試乗車は、オプションのエアサスペンション仕様。エアサスを選ぶとアダプティブダンパー制御にアップグレードする。これにより通常走行時はしなやかで快適な乗り心地、ハイペースでコーナリングすると減衰が立ち上がり、ロールやピッチ等の挙動を抑え路面をしっかり捉えるようになる。 ダイナミックモードでは引き締まった乗り味に変わり、ハンドリングも俊敏さが際立つ。ステアリングの手応えが増して、メリハリのあるドライブフィールが楽しめた。ブレーキトルクベクタリングも効いて、まさにオンザレール感覚でワインディングを走ることができる。 最新のSQ5スポーツバックは、持ち前のオールラウンドさに加えて、見た目も走りもこれまでにも増してスポーティさが上手く表現されていた。SUVに走りと快適性を求めるユーザーに最適なモデルだ。スポーティなパフォーマンスを向上させたSモデルとしての価値と個性が際立っている。 (CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗) CAR and Driverロゴ