【パワフルでエレガントな走行感】メルセデスAMG GT43クーペ、意外といいじゃん!
メルセデスAMGのラインナップの中にユニークなモデルを見つけた。メルセデスAMG GT43クーペというモデルである。みなさんご存知のAMG GT63クーペの弟に当たるもので、昨年11月に日本で発売をスタートしている。正直見落としていただけに、今回その存在を知った時に思わず「どっちなんだろう」と考えた。どっちとは、メルセデスAMG GTとして「アリ」か「ナシ」かである。
と、その前にメルセデスAMG GTについて少しお話しすると、このモデルはAMG独自開発の車両となる。アファルターバッハの開発陣によりAMGのノウハウを投入して出来上がった。これまでにはSLS、初代GT 2ドアクーペ、GT 4ドアクーペ、現行型のSLを輩出している。
初代GT 2ドアクーペおよびロードスターは2019年2月に日本でお披露目された。「ハンドクラフテッド バイ レーサーズ」というスローガンを掲げ、AMGのレーシングスピリットを投入してつくられた。ボディタイプはクーペとロードスターがあって、クーペには4つのグレードが用意されたのだから力が入っている。GT/GT S/GT C/GT Rがそれで、トップエンドの“R”は最高出力585ps、最大トルク700Nmを発揮した。ちなみに、スタンダードのGTでも最高出力476ps、最大トルク630Nmである。
パワーの源は「M178」と呼ばれる4リッターV8直噴ツインターボ。2基のタービンをVバンクの内側に設置したのが特徴だった。オイルはもちろんドライサンプ潤滑システム。オイルパンを持たないこの手法だとエンジン搭載位置を低くすることができ、低重心を実現できる。というか、まんまレーシングカーの発想だ。
では現行型に話を戻そう。
二代目となるV8エンジンを積むAMG GTは昨年4月に発表された。スタイリングこそあまり変わらないが、シャシー、パワートレイン、インターフェイスなどすべて新しくなっている。エンジンは「M177」の4リッターV8ツインターボ。最高出力は585ps、最大トルクは800Nmに達する。グレードは初代のように4つに分かれていないので、スタンダードモデルで前回のGT Rを上回る。まぁ、そこは時代の変化だろう。周りを見回すと、スーパーカーと呼ばれるジャンルにはパワーオリエンテッドな猛者がたくさんいる。
そういえば、今年2月にもう一台このラインナップに追加されていたのでお伝えしよう。それがメルセデスAMG GT63 S Eパフォーマンスクーペなるモノ。なんとリアに電気モーターを搭載し、大パワーを発揮する。スペックは最高出力816ps、最大トルク1420Nm。このシリーズ初のプラグインハイブリッドということだが、もはやモンスター級の走りである。今回実際にステアリングを握らせてもらったが加速はハンパない。もし次回テストドライブの機会があるのなら公道ではなくサーキットで行ってほしいシロモノだ。
それじゃメルセデスAMG GT43クーペはどうかといえば、とてもかっこよくて実用的。結論からすれば「アリ」な一台であった。

というのも2リッター直4ターボという4リッターV8ツインターボのちょうど半分というパワーソースながらそれなりに十分走るからだ。最高出力421ps、最大トルク500Nmは2リッターという枠組みから逸脱するほどパワフル。「本当に2リッター?」と疑うほどいい加速を見せる。

もちろんそこにはちゃんと理由があって、メルセデスAMGペトロナスF1チームゆかりのワザが投入されている。それが電動化されたターボチャージャーで、しっかりと排気で稼働するまでの間電気でタービンを動かしている。なので、時速0キロスタートからターボが効き、全領域でイメージ以上のパワーを発揮してくれる。

また、全幅が少し狭くなっているのもグッド。GT63が1985mmなのに対し1930mmとなる。このナローボディが走らせているとなかなかの効果を発揮してくれる。スーパーなクルマと思っていると意外なほど扱いやすいのに感動した。さらに言えば、2+2のリアシートは畳めるのでカーゴがしっかり使える。ゴルフバッグ2つ積んでツーサムでラウンドするのに都合が良さそうだ。
そんなことを感じていると値段もフレンドリーに思えてくる。V8のGT63は2000万円後半で、GT63 S Eパフォーマンスクーペは3000万円を超える。ならばこのスタイリングで1650万円はアリかと。

ということで、今回は最近見つけたマニアックなモデルをご紹介。この王道を外す選択がユニークで得した気になると思わない?