あの音をもう一度聴きたい!! 時代に吼えた日本のV8エンジンの足跡
あの音をもう一度聴きたい!! 時代に吼えた日本のV8エンジンの足跡
エンジンのダウンサイジングが主流となり、いまや絶滅寸前のV8エンジン。大排気量、マルチシリンダーの咆哮に胸を躍らせたのも今は昔。かつての日本車ラインナップの一角を華やかに彩っていたV8エンジンの足跡を辿る。V8!! V8!!
※本稿は2025年7月のものです
文:小鮒康一/写真:トヨタ、レクサス、日産、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年8月26日号
【画像ギャラリー】ニッポンのクルマ好きたちよ!! あの咆哮を忘れるな!! V8エンジン搭載の日本車たち(19枚)
輸入車に対抗するべく生まれた国産V8の繁栄
かつては日本にも、各メーカーが競い合うようにV8エンジン搭載車を登場させていた時期があった
かつては日本にも、各メーカーが競い合うようにV8エンジン搭載車を登場させていた時期があった
時代の流れとともにエンジンのダウンサイジングや気筒数の減少は顕著となってきている。だが、クルマ好きであれば一度はマルチシリンダー車に乗ってみたいというのがホンネではないだろうか。
ここではそんな希少なV8エンジンを搭載した国産車を振り返ってみたい。
国産車で初めてV8エンジンを搭載した乗用車は、1964年にトヨタが発表したクラウンエイト。日産もそれに追従するように翌年に4LのV8エンジンを搭載したプレジデントをリリースしている。
その後もV8エンジンは一部のショーファーカーにのみ与えられる特別なものだったが、バブル期を境にクラウン、セルシオ、シーマ、さらにはソアラといったモデルにも搭載されるようになっていく。
ところが、現代では大排気量のV8モデルは異端で、輸出向けモデルとレクサスの一部のモデルに残るのみとなっており、ラインナップが減少中。非常に寂しいが、終焉の時が近づいていると言えるだろう。
国産V8の他の記事を見る
国産V8の原点……トヨタ クラウンエイト
トヨタ クラウンエイト
トヨタ クラウンエイト
国産乗用車初のV8エンジン搭載車。一見すると2代目クラウンのように見えるが、全長を110mm、全幅を150mm拡大した堂々たるボディに改められており、輸入車に独占されていたVIP向け市場に投入された。
極められた洗練と先進性……トヨタ ソアラ
高級パーソナルクーペとして生まれたソアラは、2代目まで直6エンジンのみのラインナップだったが、海外でレクサス SCとして投入された3代目にはセルシオ譲りの4L・V8を設定。
漂う品格のオーラ……トヨタ センチュリー
トヨタ センチュリー(現行型)
トヨタ センチュリー(現行型)
クラウンエイトの後継車として完全新規開発で生まれた初代は、クラウンエイトのV8を発展させた3Lからスタート。その後3.4Lから4Lへと排気量を拡大。現在は5Lとハイブリッドの組み合わせ。
静かに現われた革命児……トヨタ セルシオ
北米市場で立ち上げられたレクサスのフラッグシップ。LSとして先行投入され、遅れてセルシオとして日本にも投入。新開発の1UZ型エンジンはその静粛性でライバルメーカーを震撼させた。
時代の陰に咲いたもうひとつの王道……トヨタ クラウンマジェスタ
8代目クラウンに追加された4Lモデルの実質的な後継車種として、モノコックボディを持つ新世代最上級モデルとして、ひと回り大きなボディと独自のデザインを纏って登場。
ツインターボの陰で密かに呼吸……トヨタ アリスト
トヨタ アリスト
トヨタ アリスト
スポーツセダンとして知られる初代アリストは直6の2JZ型エンジンのイメージが強いが、実はマジェスタの兄弟車として、4WDモデルにのみV8、4Lエンジンを搭載するグレードを追加設定。V8モデルは国内専売。
荒野より深い鼓動……トヨタ ランドクルーザー100/200
圧倒的な走破性と信頼性だけでなく、100系から高級車としての素養も持ち合わせるモデルへと昇華し、V8・4.7Lエンジンを設定。
200系時代には新開発の4.6Lの排気量を持つ1UR型に置き換えられたほか、海外仕様にはV8・5.7Lも存在した。
速くて艶もある選択……日産 シーマ
日産 シーマ
日産 シーマ
圧倒的な人気を誇った初代の後を受けた2代目は、ライバルのセルシオに対抗するべくV8を設定し、より高い動力性能を実現するために、排気量をあえて4.1Lとするこだわりをみせた。
ちょっぴり孤独な帰国子女……日産 インフィニティQ45
日産が海外で展開するプレミアムブランド、インフィニティのフラッグシップとして1989年に登場したQ45は、車名のとおりV8・4.5Lを搭載。
このエンジンは遅れて登場する3代目プレジデントにも搭載されたが、パーソナルなQ45はプレジデントよりも出力が高められていた。
都会が似合う獣……日産 フーガ
日産 フーガ
日産 フーガ
セドリック&グロリアの後継として2004年に登場したフーガはV6エンジンがメインだったが、登場時にV8・4.5Lモデルの存在も明らかとなり、約10カ月遅れで「450GT」が追加設定された。
単なる贅沢ではない本物の存在感……日産 プレジデント
日産のフラッグシップカーとして、センチュリーより早い1965年にデビューしたプレジデントは、国産車初のフルサイズカーとして登場。初代から一貫してV8を搭載し(直6モデルも存在していた)、2010年までその座を守り続けた。
重なり合うアグレッシブさと上質さ……レクサス IS F
レクサス IS F
レクサス IS F
Fの名を冠した初のモデル。ノーマルのISに423psを発生するV8・5Lエンジンを押し込んだモンスター仕立て。
静けさの奥に眠る揺るがぬ力……レクサス LS460
セルシオからグローバルネームのレクサス LSに統一された初代は、新開発の1UR型エンジンを搭載。圧倒的な静粛性と385psという高出力を併せ持ち、フラッグシップの名に恥じない実力を備える。
小さなボディに宿る攻めの本能……レクサス GS F
レクサス GS F
レクサス GS F
Fシリーズの4ドア車として2015年に登場したGS Fは、アリスト時代を彷彿とさせるパワフルなスポーツセダン。FRレイアウトならではのダイレクトな走行フィールは、純ガソリン時代の魂を感じさせる。
流線の中に潜むV8の熱情……レクサス RC F
2025年11月で生産終了がアナウンスされていたRC Fはすでにファイナルエディションが完売済。国産車としては稀有な2ドアクーペにV8エンジンの組み合わせを今後見ることができる日はくるのだろうか?
投稿 あの音をもう一度聴きたい!! 時代に吼えた日本のV8エンジンの足跡 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。