1981年、ライバル勢がひしめく400cc市場にホンダが満を持して投入した「CBX400F」。最後発だからこそ成し得たクラス最強の48PSエンジンやインボードディスクなどの最新装備。生産終了後に異例の再生産が行われるほどの熱狂を生んだ、伝説のスーパースポーツだ。まとめ:オートバイ編集部/協力:RIDE編集部、東京エディターズホンダ「CBX400F」(1981年)の概要Honda CBX400F 1981年総排気量:408cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ並列4気筒 シート高:775mm 乾燥重量:185kg税込価格:47万円/48万5000円最先端技術を満載して満を持して登場したスーパースター販売面の不振もあって1977年にCB400FOURの販売を終了したホンダは、その反省から400ccクラスの車種展開を性能と価格のバランスに優れた2気筒モデルを中心とする方針に変更し「ミドルクラスには2気筒がちょうどいい」と、1977年からCB400T・ホークIIを主力モデルとしていた。だが、市場では消滅してしまった400cc4気筒モデルへの渇望が強まり、その声に押されて1979年に登場したカワサキのZ400FXが登場し大ヒット。1980年にはヤマハからXJ400が発売され、1981年にはスズキからGSX400Fが登場するなど、各社とも当時の花形・400㏄クラスに4気筒スポーツを投入していた。皮肉なことに、この時代の400ccスポーツクラスはホンダにはない4気筒モデルで賑わいを見せていた。すっかり需要の波を読み違えてしまった格好のホンダだったが、シェアの奪回を図るべく、1981年11月に満を持して、待望の4気筒モデル、CBX400Fを投入する。4メーカーの中で最後発となるモデルということもあり、各部には革新的なハイメカを採用。エンジンは空冷のDOHC4バルブで、クラストップの48PSを発揮。インボードディスクブレーキ、フロントにエア加圧、リアにプロリンク+アルミスイングアームのサスペンションなど、ライバルを圧倒する装備を誇った。ボリュームある造形や美しいカラーグラフィック、X字型にクロスしたエキパイなど、スタイリングも非常に優美で、造り込みや質感、ボディラインの優美さは当時の400ccクラスでは群を抜くレベルとなっていた。▲当時、盛り上がりを見せていたスーパーストリート400レースに合わせて、CBX400F用にRSC(現HRC)から発売されていたキットパーツを組み込んだRS400R仕様。アッパーカウルやパワーアップキット、マフラー、シングルシートカウルなどが用意されていた。性能面においてもクラス最強のパワーと最先端の装備を持つCBXは走りも一級品で、当時の誌面ではサーキットインプレやライバル車対決が幾度となく繰り広げられていた。1983年には後継モデルであるCBR400Fの登場により生産終了がアナウンスされたが、その人気は衰えず、中古車の価格が高騰(現在のような価格ではない)。その結果、1984年9月には異例となる再生産が行われるほどだった。現代の旧車市場においても高い人気を誇り、状態が良い車体になると当時の車体価格の10倍近いものもある状況となっている。▲パールホワイト×キャンディブルー(1982年)このあと紹介するインテグラと同時に、1982年7月には「パールホワイト×キャンディブルー」のツートンカラーの車体が発売。既存カラーを合わせて3色ラインアップとなった。1984年モデルでは、「ブラック×キャンディーアラモアナレッド」「キャンディーアラモアナレッド×パールシェルホワイト」の2色がリリースされた。▲ブラック×キャンディーアラモアナレッド(1984年)当時のカタログ画像1: ホンダ「CBX400F」(1981年)長年のレース活動で蓄積された先進技術を結集したスーパースポーツ【空冷4発ヨンヒャク回顧録】フレディ・スペンサー(下写真)が起用された1981年モデルのカタログ。新設計の4気筒エンジン、世界初となるブレーキトルクセンサー型アンチダイブ機構 (TRAC)、インボードベンチレーテッドディスクブレーキなど、様々な新技術を採用して登場した。画像2: ホンダ「CBX400F」(1981年)長年のレース活動で蓄積された先進技術を結集したスーパースポーツ【空冷4発ヨンヒャク回顧録】▲CBX400F INTEGRA(1982年)日本初となるフェアリングを標準装備フェアリング(カウル)やオートウインカーキャンセラー機構を採用して登場したCBX400Fインテグラ。上端が立てられたスクリーンは、走行中の風の流れをライダー上方に流すアップ型を採用。オートウインカーキャンセラーはハンドル切り角センサー、車速センサー、コンピューターなどによって構成されていた。価格はCBX400Fの約6万円アップ、54万9000円だった。ホンダ「CBX400F」(1981年)の各部装備・ディテール解説性能だけでなくこのスタイリングも人気の秘訣だった。兄貴分のCB750Fを思わせるコクピットまわり。左からスピード、燃料、タコメーターを配置。フロントフォークはエア加圧式で、トップキャップに注入口が見える。タンク中央に「CBX」の文字を配したストライプを持つ2トーンカラーのタンク。ボリュームある17Lタンクから流れるようなラインを描くサイドカバーとテールカウルが印象的だった。空冷DOHC4バルブユニットは48PSを発揮。オイルクーラーは、当時運輸省の認可が下りなかったためオイルリザーバータンクと呼ばれた。1番と4番、2番と3番を集合させた4in2エキゾースト。集合後の左右2本を途中で連結パイプで繋ぎ、左右にサイレンサーをレイアウト。ホイールは前後ともにブーメランコムスター。テールランプはブレーキランプとウインカーを一体化したコンビネーションランプを採用することで、ライバル車とは一線を画す洗礼されたリアビューを演出していた。ホンダ「CBX400F」(1981年)の主なスペックまとめ:オートバイ編集部/協力:RIDE編集部、東京エディターズ関連のおすすめ記事【コラム】ホンダ「CBX400F」- webオートバイ【絶版名車解説】ホンダ「CBX400F」1981年- webオートバイホンダ「CBX400F」は、なぜ人気であり続けるのか? 〈走行動画あり〉 - webオートバイ