F1モナコGPでクラッシュしたランス・ストロール(アストンマーティン)は、その原因について「路面の損傷ではなく、ブレーキングとドライバビリティの問題だった」と主張。チームはその後、1速ギヤの使用がきっかけになった可能性を認めた。 ストロールは57周目、16番手を走行中に最終コーナーのアントニー・ノゲスでアウト側のバリアへ突っ込み、リタイア。この事故によってセーフティカーが導入され、そのリスタート直前にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)も同じ場所でクラッシュし、最終的には赤旗中断となった。 現場の路面は、5月のモナコ・ヒストリックGP後に補修された箇所が再び劣化して剥がれ始めていた。しかし、清掃後にレースは再開されたため、事故原因が路面だったのかマシン側の問題だったのかについては議論が残っていた。 その後、アストンマーティンとエンジンサプライヤーのホンダは、事故の原因が技術的な問題だったことを認めるとともに、その対処方法を巡ってドライバーとの間で見解の相違があったことを示唆した。 当時ストロールは無線で次のように訴えていた。「まるでスロットルが全開のまま固まったみたいだった」 これに対し、レースエンジニアのゲイリー・ギャノンは、「ランス、こちらでもデータ上で確認できている」と応答していた。 レース後、ストロールはメディアに次のように説明した。「今シーズンずっとエンジンブレーキの問題を抱えていて、コーナーによってプッシュされたり減速したり、その挙動が毎回違うんだ。(クラッシュした)そのラップのそのコーナーでは、まるでアクセルペダルが50%踏まれたままのように車が前へ押し出され、壁に突っ込んでしまった」 今季を通じて、ストロールとチームメイトのフェルナンド・アロンソはドライバビリティを最大の課題の一つとして挙げてきた。低回転域でのトルク供給の変動やギヤボックスとの同期不足により、本来減速に寄与すべき場面でもエンジンがクルマを前へ押しているような感覚が生じ、低速コーナーのブレーキングが非常に予測しづらくなっているという。 アロンソもこう語っている。「モナコは、不意のシフトダウンやリヤロック、あるいは突然押し出されるような挙動が許される場所ではない。そんなことが起きれば壁に突っ込み、ドライバーが間抜けに見えてしまうだけだ」 ホンダのチーフエンジニアである折原伸太郎も改善は進んでいるものの、新たな課題が見つかったと説明した。「ドライバビリティには改善が見られましたが、ランスからは『キックされるような感覚』があるとの報告も受けました。燃焼安定性は改善しましたが、モナコで新たな改善点が見つかりました」「トルク特性はMGU-Kのトルクとエンジンのトルク供給が組み合わさって成り立っています。この配分のバランスが崩れると、トルクデリバリーに問題が発生します。その点で改善できる余地を確認しています」 さらにアストンマーティンのトラックサイド責任者であるマイク・クラックはストロールの説明を裏付けるとともに、チームが設定変更や低いギヤの使用によって問題を管理しようとしていたことを明かした。しかし、ドライバー側は「かえって運転しづらくなる」と反発していたという。「我々は、ブーストや回生、エンジン効率を考えて、可能な限り低いギヤを使うようドライバーに指示していた。しかし彼らは『ドライバビリティが十分ではなく、その方法では走れない』と訴えていた」「ランスはアントニー・ノゲスで1速ギヤを試したところ、彼の言う”キック感”や”押し出される感覚”が発生し、それによってラインがわずかに外れてしまった」「オンボード映像を見ると分かるが、ほんの数センチ外れただけでタイヤは路面上の小石を拾い、その後はもうコントロールする余地がなかった。シャルル(ルクレール)の事故も同じような状況だ」「レース序盤から彼が感じていた違和感を踏まえれば、彼が『パワーユニット、あるいはエンジンに関連する問題だ』と考えた理由も理解できる。我々は今後ギヤボックスについて多くの改善が必要だと考えており、それが問題の根本原因である可能性がある」 【PR】2026年のF1を見るならFOD。至極の体験『F1 TV』連携プランも! 関連ニュース:F1ストロールのモナコでのクラッシュは、ホンダエンジンのせい? デ・ラ・ロサは異なる見解「ドライバーが攻めている証拠。ありがたいね」F1モナコで10位入賞もポジティブな点は“ゼロ”とアロンソ断言。しかしアストンマーティンAMR26の今後には楽観視「劇的に改善されることになる」友だち追加 Follow @MotorsportJP