水冷DOHC並列6気筒1286cc、そしてシャフトドライブなど、Z1300はスペックシートの数字だけでは語り尽くせない「重量級ハイテク」の塊として登場し、高速長距離ツアラーという新たな頂点像を提示したモデルである。写真:カワサキ、鶴身 健 文:沼尾宏明、オートバイ編集部 協力:バイカーズステーション(遊風社)▶▶▶写真はこちら|カワサキ「Z1300」カワサキ「Z1300」(1979)解説KAWASAKI Z1300 (A1) 1979年Z1300の企画が動き出したのは1970年代半ばで、「少なくとも1200cc以上」「水冷」という条件を前提に、“ショーバイク級フラッグシップ”をつくることがテーマだった。高速長距離巡航を想定した余裕のパワーカワサキZ1300は、1979年のZ1300[A1]、1982年のZ1300[A4]、1984年のZG1300という三世代で、「水冷DOHC並列6気筒+シャフトドライブ」というコンセプトを突き詰めたフラッグシップである。1979年のA1は1286cc水冷直6にキャブレターを組み合わせ、120PS級の最高出力と重厚なトルクを発生するモンスターマシンで、310kgの巨体ながら非常に滑らかなフィーリングとタービン的な加速感で「キング・オブ・ロード」と評された。1982年のA4は、基本レイアウトを継承しつつ、オイルパンの形状変更によるオイル容量増加や点火系の電子化など、多くの細部改良で信頼性と扱いやすさを高めた熟成型である。熱ダレや始動性といった実用上の不満も改良された。1984年のZG1300は欧州でのみ販売され、電子制御燃料噴射を採用し、出力と燃費、レスポンスを向上させた最終形。A1の衝撃、A4の熟成、ZG1300の到達点という三段階で、巨大直6の可能性を提示した系譜だと言える。カワサキ「Z1300(A1)」(1979)主なスペックカワサキ「Z1300(A4)」(1982)解説KAWASAKI Z1300 (A4) 1982年A1〜A5まで続く中で、細かな改良が進んだ安定期のA4A4はZ1300シリーズの中でも“熟成期”にあたる中期型で、基本パッケージはそのままに細部だけが磨き込まれたモデルだ。サスペンションはエア併用式となり、フロントフォークやリアショックの内部セッティングが見直された結果、初期型で指摘されたヨレ感やピッチングが抑えられ、快適性が高められた。さらに電装系やスイッチ類も改良が進み、日常的な扱いやすさという点では初期型より一歩進んだ完成度を備えたモデルに仕上がっている。カワサキ「ZG1300」(1984)解説KAWASAKI ZG1300 1984年1984年型から採用されたDFI(デジタル・フューエル・インジェクション)は、同系のZN1300ボイジャー用FIをベースとし、カムや圧縮比の見直しも含めて、パワーと燃費の両立を狙っている。さらに、当時としては太いΦ41mmフロントフォークやオートキャンセルウインカーなど、高級車らしい装備を備え、「大排気量グランドツアラー」の路線をそのまま受け継いだモデルとなっている。カワサキ「ZG1300」各部解説画像1: カワサキ「Z1300」|「Z1の次」を狙って造られた6気筒のモンスターZ【KAWASAKI Z大全】画像2: カワサキ「Z1300」|「Z1の次」を狙って造られた6気筒のモンスターZ【KAWASAKI Z大全】四角い大型ケースの中にアナログの速度計と回転計を左右に配置し、その中央に燃料計と水温計を縦一列に並べた、ツアラーモデルらしいレイアウト。北米向けは20.4〜21Lタンクも存在するが、ZG1300ではツアラー性重視の27Lタンクが組み合わされるケースが一般的だとされている。キャブ仕様のZ1300をベースに、燃料噴射化とパワーアップを図ったのがZG1300である。画像: カワサキ「ZG1300」(1984)解説水冷DOHC並列6気筒1286ccエンジンは形式こそZ1300と共通だが、燃料供給をキャブレターからインジェクション(DFI)に変更したことで、最高出力は120PSから130PSへと引き上げられている。フロントフォークはセミエア式、リアショックもA3以降でセミエア式が採用され、空気圧でストローク感や沈み込みを調整できる構造になっている。大トルクを受け止める頑丈なファイナルケースを備え、重量増と独特の挙動を許容する代わりに、「重くても壊れないロングツーリング向けの駆動系」として設計。タンデム走行も視野に入れた長距離前提のクッション性を備えた、ツアラー志向の快適性重視の設計となっている。シート高は810mm。乾燥で300kg級の巨体だが、低重心と素直なジオメトリのおかげで「見た目よりずっと扱いやすい」というインプレが多い。カワサキ「Z1300」(1979-1984)写真おすすめ関連記事【絶版名車解説】カワサキ「Z1300」1979年 - webオートバイカワサキ「Z1300」ヒストリー - webオートバイ【絶版名車解説】カワサキ「ボイジャー」の系譜 - webオートバイ「Z1300」関連記事一覧 - webオートバイ