過去に登場した日本車を振り返ると、「インパクトは残したが2代目が出なかった」クルマは数多い。それらのクルマを振り返りつつ、なぜ一発屋で終わったのかを探る。なお、これらは1995年以降に登場した日本車の中から選出している。※本稿は2026年3月のものです文:永田恵一/写真:トヨタ、ホンダ、日産、ダイハツ、ベストカー編集部 ほか初出:『ベストカー』2026年4月10日号※1995年以降に登場した日本車のなかから選出しています【画像ギャラリー】え、iQにGRMNなんてあったの!? こんなにコンパクトなのにヤル気マンマンな内装を見てよ!(35枚)一発屋に見る「3つのタイプ」いま街で見かけたらレア!? だが意外にカラーバリエーションなども多かったのだ 一発屋のタイプは大きく3つに分かれる。ひとつ目はX-90、ビークロスなどの「クセ強」系。遊びの要素も強いので、一発屋も仕方ないと感じる。 ふたつ目は「わかりにくい、出るのが早すぎた」モデルで、オーパ、プログレ、iQ、i-MiEVなど。このタイプは「誰かがやらなければ、何も始まらない」というものだけに、尊い存在として記憶に留めたい。 最後はYRV、ルネッサなどの「徹底的に煮詰めず発売された」タイプ。現代と比べるとクルマを比較的スムーズに開発、発売できた時代の古きよき存在ともいえるだろう。トヨタ iQ(2008年~2016年)復活切望度数:50トヨタ iQなどは典型的な「出るのが早すぎた」クルマだ。先駆車として長く記憶されるだろう●どんなクルマか 和製スマートフォーツー的存在となる挑戦的モデル。全長約3mながら4人乗りを実現。●なぜ一発屋で終わったのか 全長約3mで4人乗りを実現した技術は高度だったが、価格は140万からと安くはなく、「それなら4ドアの軽自動車やコンパクトカーのほうが」となるのは無理もなかった。残念!トヨタ オーパ(2000年~2005年)復活切望度数:70トヨタ オーパは運転席もユニークで、センターコンソールの真ん中にデジタルメーターが設置されていた●どんなクルマか 当時のミドルクラス用FFプラットホームを使い、2列シートのマルチパーパスカーという新しいコンセプトを提唱。エンジンは1.8Lと2Lの直4を搭載した。●なぜ一発屋で終わったのか 全長が4250mmと短いわりにキャビンとラゲッジは広く、クルマの出来は申し分なかった。が、コンセプトがわかりにくく、ストリームやウィッシュという3列シートミニバンの登場も痛かった。スズキ X-90(1995年~1999年)復活切望度数:75小さく見えるが、全長3710×全幅1695×全高1550mm●どんなクルマか 初代エスクードの2ドアをベースにした2シーターとなるSUV。ルーフはTバールーフで、オープンカー的な要素も楽しめた超個性派。●なぜ一発屋で終わったのか 当時から面白いコンセプトではあったが、わかりやすさや実用性に欠けるのに加え、正直スタイリッシュともいえず、売れなかったのも納得。ただ、これだけSUVの多い現代に復活すれば、ニッチなモデルとして成功するかも!?ホンダ S-MX(1996年~2002年)復活切望度数:401代で終わったが、シートの使い方や「異名」で記憶に残るクルマとなったホンダ S-MX●どんなクルマか 当時ホンダが提唱したクリエイティブムーバーの一台となるハイトワゴン。●なぜ一発屋で終わったのか スタイリッシュかつ「動く部屋」という要素が盛られ、登場時はよく売れた。が、ユーザーの飽きの早さやbBの登場で短命に終わる。トヨタ プログレ(1998年~2007年)復活切望度数:95キャッチコピーが「小さな高級車」だったトヨタ プログレ●どんなクルマか それまで日本車にはなかった「本物の小さな高級車」というジャンルに挑戦。●なぜ一発屋で終わったのか クルマ自体に文句なし。しかし、ややクセ強のスタイルとコンセプトを、当時の日本人には理解できなかった。ダイハツ YRV(2000年~2005年)復活切望度数:40当時のスイスポを上回るパワーウェイトレシオだったダイハツ YRV●どんなクルマか ストーリアをベースにしたコンパクトハイトワゴン。エンジンは3タイプあり、特に1.3L直4ターボはいまだ通用する140psと強力。●なぜ一発屋で終わったのか 外観は今見ても色褪せないスタイリッシュさ。しかし、正直、クルマの出来は当時の水準に届かない内容で、さらに同価格帯でファンカーゴをはじめ強い競合車が多かったことも痛かった。いすゞ ビークロス(1997年~2001年)復活切望度数:90「全天候型スポーツカー」とも言われたいすゞ ビークロス●どんなクルマか 2代目ビッグホーンの3ドアがベースの、大胆なデザインに目がいくスペシャルティSUV。誕生する前のコンセプトカーは、乗用車のジェミニベースだった。●なぜ一発屋で終わったのか 個性的なスタイルもあり登場時の注目度は高かったが……中身が伴わず、販売的には厳しかった。その一方で、当時から評判の「少量生産のいすゞ」の強みを感じさせたクルマだ。スズキ キザシ(2009年~2015年)復活切望度数:40実は「覆面パトカー」としても使用されていたスズキ キザシ●どんなクルマか スズキ初となるアコード級のDセグメントカーで、欧米、中国でも販売されていた。●なぜ一発屋で終わったのか 出来やデザインは悪くなかったが、「このクラスでスズキ車を販売する」という挑戦がユーザーに響かなかった。トヨタ プリウスα(2011年~2021年)復活切望度数:90ステーションワゴン自体の人気が下がってしまったために、やや不運な目に遭った(?)トヨタ プリウスα●どんなクルマか 爆売れした3代目プリウスのステーションワゴン&7人乗り3列シートミニバン。●なぜ一発屋で終わったのか 3列目は狭かったが、ステーションワゴンとしては申し分なく、直接的な後継車がないほうが不思議だ。ホンダ Honda e(2000年~2024年)復活切望度数:85乗ったものからの評判は非常に高いホンダ Honda e●どんなクルマか ホンダ初の量産EVのコンパクトカー。スタイルとRRという設計が注目を集めた。●なぜ一発屋で終わったのか 面白かったが、コスパの悪さが致命傷に。このプラットホームだけでも活かしてほしい。トヨタ ヴェロッサ(2001年~2004年)復活切望度数:90まさに壊れないイタ車!? トヨタ ヴェロッサ●どんなクルマか 当時のビスタ店扱いとなるチェイサーとクレスタの後継セダン。機能面は110系マークIIに準じており、イタリアンなエクステリアが最大の特徴で注目を集めた。●なぜ一発屋で終わったのか ウリ部分のイタリアンなエクステリアがクセ強だったことが、売れなかった最大の原因だろう。またビスタ店とネッツ店の統合も絶版の要因。ただ、ドリフト業界で今でも人気なのは救いの部分。ホンダ エディックス(2004年~2009年)復活切望度数:55斬新なシートレイアウトだったホンダ エディックス●どんなクルマか 3人掛け×2列シートで6人乗りとしたミニバンで、シートは全席独立タイプだった。●なぜ一発屋で終わったのか コンパクトなのに6人乗りというわかりにくさに加え、好みが分かれるデザインも不発。日産 ティーノ(1998年~2003年)復活切望度数:60日産 ティーノもエディックス同様3人掛け×2列の6人乗りミニバンだった●どんなクルマか 当時のサニーのプラットホームを使い、3×2で6人乗りとした2列シートミニバン。●なぜ一発屋で終わったのか 前中央席が狭く、「6人乗りには使えない」と判断されたのに加え、登場直後に資本提携したルノーのセニックと被ったのも痛手になった。日産 ルネッサ(1997年~2001年)復活切望度数:35日産 ルネッサはなんと1998年の時点でルネッサEVのリースも開始していた●どんなクルマか ホンダ アヴァンシアと同様に、広い後席がウリのステーションワゴン。●なぜ一発屋で終わったのか 長身男性3人のCMは話題になったが、早すぎたEV化想定で床が高く、広さをさほど感じない空間で売れず。トヨタ パッソセッテ(2008年~2012年)復活切望度数:30シエンタの後釜になるはずだったトヨタ パッソセッテ●どんなクルマか ダイハツ主導で開発された、ヒンジドアとなるコンパクト3列シートミニバン。●なぜ一発屋で終わったのか 乗ればボディ剛性の高いシッカリ走るクルマだったが……なにせ3列目シートが狭すぎで最大の弱点に。不人気ゆえ、シエンタ後継の予定も消滅……。三菱 i(2006年~2021年)復活切望度数:50「スポーツモデル」ではないミドシップが魅力だった三菱 i●どんなクルマか EVのi-MiEVの想定もあり、RR構造を採用したプレミアム性もある軽乗用車。●なぜ一発屋で終わったのか iに普遍性がなかったことに加え、良質EVのi-MiEVは誕生するのが早すぎたと感じる。スズキ ツイン(2003年~2005年)復活切望度数:70全長約2.7mで車重も600kg以下だったスズキ ツイン●どんなクルマか 車名のとおり2シーターの軽乗用車で、全長は2735mmしかなかった。●なぜ一発屋で終わったのか 内燃機関のエアコン付きだと84万円と、当時の同門アルトより高価なのが痛かった。ホンダ エレメント(2003年~2005年)復活切望度数:70実はヴェゼルよりもコンパクトなホンダ エレメント●どんなクルマか 観音ドアを採用したミドルクロスオーバーSUV。●なぜ一発屋で終わったのか スタイリッシュではないけど、観音開きドアを含め楽し気な雰囲気はよかったが、259万円の価格が高かったか。ただ北米では2011年まで販売されたモデルだ。トヨタ FJクルーザー(2010年~2018年)復活切望度数:801代で終わってしまったが、意外と長いこと販売され愛されていたトヨタ FJクルーザー●どんなクルマか 当時のランクルプラドなどのフレームSUVの構成部品を使い、初代ランクルの雰囲気を再現したSUV。●なぜ一発屋で終わったのか 観音開きドアも含め注目は高かったが、やはりアソビグルマは日本で大成はせず。しかし、それ以上に海外では2023年まで継続販売された点が凄い。【一方で……】2代目から存在感が増したクルマたち優秀な完成度だけでなくコスパも非常にいい2代目三菱 アウトランダーPHEV●2代目トヨタ プリウス(2003年~2011年) 売れたとは言えない初代に対し、未来感あふれる2代目は当初から期待どおりの好調販売。モデル末期にはガソリン高もあり尻上がりに売れた。●2代目三菱 アウトランダーPHEV(2012年~2021年) 初代は正直目立たなかったが、2代目は完成度の高いPHEVが次世代カーとして注目を浴びる。昨今の三菱復活につながる大きな功績を残した。●2代目スズキ スイフト(2010年~2017年) 初代は軽ベースで安さを売りにしたコンパクトカーだったが、本腰を入れた2代目は操安性などが評価されて、人気車となる。●2代目スバル XV(2012年~2017年) スバルらしからぬなんちゃってクロスオーバーだった初代から、本格的にクロスオーバー化された2代目以降はインプの柱に成長。