鹿沼公園のD52 235 展示50周年を記念して綺麗に装飾がされました神奈川県相模原市の鹿沼公園で2026年2月22日、「D52形蒸気機関車(SL)D52 235号機」の展示50周年を記念するイベントが開催されました。1976年の展示開始から半世紀を迎えた節目とあって、園内には鉄道ファンや家族連れなど多くの来場者が集まりました。今回このイベントを訪問し、熱気あふれる会場の様子や、地域に愛され続けるD52形(デゴニ)について紹介します。 ■会場最寄りは今話題の淵野辺駅 会場最寄りのJR横浜線 淵野辺駅では、発車メロディ(駅メロ)に「銀河鉄道999」が使用されています。市内に宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所相模原キャンパスがあることから、宇宙にちなんだ楽曲が採用されましたが、横浜線のワンマン運転実施に伴い3月で使用を終了することが決定しています。終了が近いということで、聞き納めや録音をする鉄道ファンの姿も見られました。蒸気機関車と宇宙研究という異なる時代の象徴が同居する点も、相模原ならではの光景です。 ■ 戦時設計が生んだ最大級貨物機「D52形」 1872年の鉄道開業以来、日本の鉄道輸送を支えてきたSL。旅客列車だけでなく、石炭や資材を運ぶ貨物列車でも主力として活躍しました。しかし1960年代の無煙化計画により、電化・ディーゼル化が進展。SLは急速にその数を減らしていき、1975年の室蘭本線での運行を最後に定期旅客列車から引退しました。現在は各地の公園などで保存展示され、往時の姿を今に伝えています。 D52形は、1943年から製造された戦時設計の大型貨物用蒸気機関車です。戦争中に需要が増大した貨物輸送を担うため、D51形をベースにボイラーを大型化し、軸重を増大させることで牽引力を高めました。車輪配置2-8-2(軸配置1D1)で愛称は「ミカド」、動輪直径は1,400mm。東海道本線や山陽本線、函館本線、室蘭本線の一部区間など、幹線の重量貨物列車牽引を想定した、国鉄蒸気機関車の中でも最大級の出力を誇る形式です。 資材不足の影響から構造の簡略化や代用部材の使用など戦時設計特有の特徴も見られますが、その分、量感あふれるボイラーや重厚な足回りが強い印象を残すことから、「最強の貨物機」とも称されています。 鹿沼公園に保存されているD52 235も、そうした戦時型貨物機の迫力を今に伝える存在。D52形としては後期に製造され、新鶴見機関区に配属となり国府津でも運用されていたことなどから、神奈川県にゆかりのある車両です。現在はデフレクター(デフ)または除煙板と呼ばれる部分に、鹿のマークがのデザインが。これは鹿沼公園の一文字「鹿」がモチーフとなっています。 デフには「鹿」のモチーフが ©レイルラボ ニュース 50年にわたり屋根のない状態で展示されているD52 235ですが、現在も良好な状態を保っています。これは、相模原D52保存会を中心とする関係者の継続的な整備活動の成果です。同会は、月に一度の定期点検とあわせて運転席公開イベントを実施。塗装の補修や細部の修繕を少しずつ積み重ねながら、可能な限り当時の姿を維持してきました。 風雨にさらされる屋外展示という厳しい条件の中で守られてきたD52 235。その姿は、現役時代を知らない世代へSLの歴史を伝えていこうとする、地道な努力の積み重ねの結晶といえます。 ■ 235か、138か...謎多きD52 235 ちなみに現在はD52 235として展示されていますが、保存会などの調査の中で、D52 138号機ではないかという説も。形態的特徴や改造履歴、部材の痕跡などをもとに検証が続けられてきましたが、決定的な結論には至っていません。SLは現役時代にボイラーや主要部品の交換を受けることが多く、戦時設計機は特に記録が複雑です。そのため番号と実体の特定は容易ではありません。この“番号ミステリー”もまた、D52 235をより魅力的な存在にしているのではないでしょうか。 ■ イベント当日の様子 イベント当日は、SL展示の入り口で国鉄風の制服を着用したスタッフが、懐かしい硬券きっぷに入鋏と、日付を打ち込むダッチングマシンのサービスも。自動改札に慣れている子どもたちは興味津々に、当時を知る大人は懐かしげにその様子を楽しんでいました。 なつかしい改札風景 硬券きっぷに入鋏 ©レイルラボ ニュース イベント限定の硬券きっぷ風入場券 ©レイルラボ ニュース 手作りの汽笛整理券 ©レイルラボ ニュース ダッチングマシン体験も ©レイルラボ ニュース 運転室公開には大勢の親子連れなどが列をなしていたほか、大きなSLとの写真撮影、連結器の作動実演や、汽笛吹鳴を実施。たくさんの景品が当たるじゃんけん大会も開催されました。 鹿沼公園のD52 235 ©レイルラボ ニュース 汽笛吹鳴とともに蒸気が! ©レイルラボ ニュース 鉄道写真の展示 ©レイルラボ ニュース 鹿沼公園の駅名風看板 ©レイルラボ ニュース 運転室公開イベントには多くの人が ©レイルラボ ニュース また、会場入り口では相模原鉄道模型クラブによるジオラマ展示(Nゲージ)も行われました。横浜線や相模線にゆかりのある車両模型に加え、話題の客車「夢空間」も走行。さらにSLの扇形庫が再現され、機関区の情景が立体的に表現されました。 相模原鉄道模型クラブのジオラマ展示 ©レイルラボ ニュース 立派な扇形庫も ©レイルラボ ニュース 今回の記念イベントについて、鹿沼公園の森田所長は「毎月の定期点検と運転席の公開を行う相模原D52保存会の皆さんには本当に感謝をしています。そのおかげでこの記念イベントが盛大に実施できたと思います。D52形は相模原市の財産ですから、強力な観光資源として、そして子ども達の夢でもあり楽しみでもあるので大切にしていきたい。」と熱い思いを語りました。 鹿沼公園所長 森田さん・相模原D52保存会 城田さん・相模原鉄道模型クラブ 高田さん・淵野辺公園グループ グループ長 川南さん ©レイルラボ ニュース 銀河鉄道999とSLの動輪イメージの法被姿で気合十分! ©レイルラボ ニュース ■ SL保存を支える仕組みづくりへ 会場には、地元関係者だけでなく、日本各地で活動するSL保存会の会員の姿も多く見られました。保存活動に携わる人々が節目の年をともに祝い、情報交換を行う様子からは、蒸気機関車を未来へつなごうとする全国的なネットワークの広がりもうかがえました。 現在、国内には数多くのSLが地方自治体により、保存・展示されています。しかし、その維持管理の費用面や担い手不足といった課題から、十分な整備が行き届かず、やむを得ず現状維持にとどまっている車両も少なくありません。屋外展示という厳しい環境下では、継続的な保守と資金、そして人材の確保が不可欠です。 50年もの間、良好な状態を保ち続けてきたD52 235の姿は、保存会を中心とする地道な努力と地域の支えがあってこそ実現したものです。今後もSLを歴史遺産として守り、次世代へ継承していくためには、どのような仕組みづくりや応援の在り方が望ましいのかを社会全体で考えていく必要があります。 展示50周年を迎えたD52 235は、その課題と可能性の両方を私たちに示しています。半世紀を超えて受け継がれてきたこの巨人の姿に、改めてその意義を見つめ直したいところです。 展示50周年を迎えたデゴニ。その迫力ある姿とともに、こうした来歴の奥深さにも思いを巡らせながら、ぜひ一度現地に足を運んでみてください。 相模原D52保存会のROMANTICAさんとともに ©レイルラボ ニュース 愛称は出雲神話の“剣” 一畑電車、新造車両10000系を11月導入 既存車と連結OKコンセプトは“海の上を走る鉄道”?!JR西日本宮島フェリー、新造船「みせん丸」就航へリバイバルがアツい “いぶし銀”! 関東に残る「コルゲート車体」の車両まとめ