まずは「パリダカ」を制覇するために誕生したSUV リアスポイラーやリアウイングなど、アフターパーツとしても大流行したエアロパーツは、もともとはフォーミュラカーなどモータースポーツ専用のクルマが、空気抵抗を減らしたり高速での安定性を高めるために装着したのが始まりでした。 それが1970年代後半あたりから、市販のスポーティカーにも装着され、その後は一般的になっていきました。【写真】派手だねぇ! 純正でエアロ満載だった市販車3台を写真で見る(24枚) そこで今回は、そんなエアロパーツを満載して注目を集めたクルマ3選を紹介します。●三菱「パジェロ エボリューション」 およそエアロパーツには無縁かと思われていたSUVでも、エアロパーツを満載したクルマがありました。 それが、1997年に発表された三菱「パジェロ エボリューション」です。三菱「パジェロ エボリューション」(1997年) その名のとおり、ベース車は1991年に2代目にフルモデルチェンジされた三菱のSUV「パジェロ」です。 パジェロ エボリューションは、当時の世の中で注目を集めていたパリ〜ダカール ラリー(通称パリダカ)参戦用として開発されました。 三菱は1983年からパリダカに参戦しており、それまでのパジェロのカタチをした専用のプロトタイプから、市販車をベースにしたモデルで参戦することになりました。 そこで、2代目パジェロ メタルトップのショートボディをベースに、パリダカのハードな走行に耐えられるようシャシの剛性をアップしました。 パワートレーンは、当時のメーカー自主規制値である280psを発生する3.5リッターのV6ガソリンエンジンを搭載し、駆動方式は三菱得意のスーパーセレクト4WDを採用しました。 そしてなんといっても、外観の変貌ぶりに驚かされました。 基本的なスタイルはノーマルのパジェロと変わりはありませんが、前後のバンパーは空力特性を重視して大型化され、それがワイドな前後フェンダーと一体化していました。 そのため、全幅は1875mmと10cm近く広げられ、ワイドな前後フェンダーはサイドステップでつながれていました。 リアエンドには垂直フィンの付いたリアスポイラーを装着していました。 軽量化のためアルミ製となったボンネットにはエアインテークが設けられました。 ラジエターグリルは開口部を拡大し、フロントフェンダー後ろにはエアアウトレットが設けられるなど、冷却性能も強化されました。 パジェロ エボリューションは、1998年のパリダカで1-2-3フィニッシュを飾るなど、さまざまなクロスカントリー ラリーで活躍しました。続いてはスバルとメルセデス・ベンツのセダン型スポーツカー●スバル「STI S209」 スバルのモータースポーツ部門を担うSTI(スバル テクニカ インターナショナル)は、モータースポーツ活動だけでなく、市販車をベースに多くのコンプリートカーを世に送り出してきました。 ここで紹介するのは、2019年にデトロイト モーターショーで発表された「STI S209(以下、S209)」です。スバル「STI S209」(2019年) ベース車は、スポーツセダンのWRX STIでした。ただし、S209は北米仕様がベースのため、当然ハンドル位置は左で、エンジンは日本仕様にはない2.5L ターボを搭載していました。 その吸排気系をチューンし、大径ターボや低背圧マフラー、インタークーラー ウオータースプレー、鍛造ピストン&コンロッドなどでチューンし、当時のSTIコンプリートカーとしては最強の341馬力(目標値)を発生しました。 そのハイパワーに対応する空力特性を得るために、フロントアンダースポイラーやバンパーサイドカナードなどのエアロパーツを装着しました。 なんといっても、リアにそびえるドライカーボン製の大型リアウイングが目をひきました。 前後のフェンダーもワイド化され、その内側には265/35R19というワイドなダンロップ製ハイブリップタイヤを履いたBBS製鍛造ホイールが装着されていました。 足まわりもビルシュタイン製ダンパーや専用スプリングなどで強化されていました。 S209は北米専用モデルとして209台が限定発売され、車両価格は約6万4000ドル(当時のレートで約700万円)という高額にもかかわらず、瞬時に完売したそうです。 日本でも、ごくたまに並行輸入車が中古車市場に登場しますが、きわめて貴重なモデルといえるでしょう。●メルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」 1955年のル・マン24時間レースでの大事故からレース活動を封印していたメルセデス・ベンツは、1986年からDTM(ドイツ ツーリングカー選手権)に参戦すると発表しました。 DTMは、市販車をベースにした車両によるレースで、こののち日本でもツーリングカー選手権は人気が高まります。 メルセデス・ベンツは、1982年に発表された初のDセグメント セダン「190E」をベースに、DTM参戦用に開発した「190E 2.3-16」を1986年にカタログモデルとして発売しました。メルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」(1990年) その車名は、F1エンジンなどでお馴染みのコスワース社が開発した2.3リッター直4 DOHC 16バルブ エンジンを搭載していることに由来します。 基本的なボディパネルはノーマルの190Eと同じですが、強化サスペンションで車高は低められ、前後バンパースポイラーやサイドステップに、小ぶりながらオーバーフェンダーやリアウイングといったエアロパーツが装着されていました。 190E 2.3-16はDTMで活躍し、1988年にはレギュレーション変更に合わせて排気量を2.5Lにアップし、「190E 2.5-16」となり、さらなる活躍をあげました。 ライバルたるBMWもM3を登場させ、両車は鎬を削りあいます。 そこでメルセデス・ベンツは、1989年に「190E 2.5-16 エボリューションI」、1990年には「190E 2.5-16 エボリューションII」と、進化モデルを登場させました。 エボリューションI、エボリューションIIと進化するにつれて、エンジンはパワーアップされましたが、それよりもエアロパーツが大型化されたことが特徴的でした。 とくに最終進化版というべきエボリューションIIでは、オーバーフェンダーが前後にも広がってワイド化され、バンパースポイラーも下方に伸び、そしてリアウイングは「本当にメルセデス・ベンツの純正?」と思われるほど大型化されていました。 190E 2.5-16 エボリューションIIはレースのホモロゲーション取得のため500台限定で生産されました。 それでも、日本にも数台が正規輸入されたといわれています。