中古市場で今こそ狙いたい 絶版MTスポーツモデル 近年、環境規制の強化や電動化の波により、マニュアルトランスミッション(MT)を操る楽しみを持つクルマは希少な存在となりつつあります。 かつては各メーカーからラインナップされていたスポーツモデルも、生産終了やハイブリッド化が進み、純ガソリンエンジンのMT車は選択肢が限られてきました。【画像】運転して楽しい“手に届く”絶版MT車を写真で見る(29枚) しかし、中古車市場に目を向けると、生産終了から間もないモデルや、現行ながらモデル末期を迎えている車種には、新車に近いコンディションの個体が残されています。 今回は、新車当時の価格が200万円前後から300万円台という現実的な範囲でありながら、運転する楽しさを純粋に追求したモデルを3車種取り上げます。●スズキ「スイフトスポーツ」 まず紹介するのは、スズキ「スイフトスポーツ」です。2025年3月から11月まで期間限定で販売されたスズキ「スイフトスポーツ(ZC33S型)」の特別仕様車「ファイナルエディション」の6速MT 2017年登場の4代目(ZC33S型)は、初代から続く「安くて速い」ホットハッチの理想形として世界中で評価されました。 専用バンパーや2本出しマフラー、ホールド性の高いセミバケットシートなど、内外装はスポーティに仕立てられているほか、軽量高剛性プラットフォーム「ハーテクト」により、3ナンバーボディながら車両重量はわずか970kgとなっています。2025年3月から11月まで期間限定で販売されたスズキ「スイフトスポーツ(ZC33S型)」の特別仕様車「ファイナルエディション」 搭載される1.4リッター直噴ターボエンジンは、低回転から溢れるトルクにより2リットルNAクラス以上の加速感を実現。 また、先進安全装備「スズキ・セーフティ・サポート」も搭載され、日常の使い勝手も重視されています。 新車価格は、2017年の発売当初で183万6000円から199万2600円、2025年に設定された「ファイナルエディション」は232万9800円(6MT)から240万1300円(6AT)でした。 現在、低走行のファイナルエディション等は新車価格を上回る280万〜300万円前後で取引されていますが、通常グレードであればまだ現実的な価格で良質な個体を探すことが可能です。続いては軽の「名スポーツカー」2台●スズキ「アルトワークス」 続いて紹介するのは、スズキ「アルトワークス」です。15年のブランクを経て2015年に復活したスズキ「アルトワークス」。2021年11月を持って国内販売を終了した 2015年に約15年ぶりに復活し、2021年に生産終了となったこのモデルは、軽自動車の枠を超えた硬派なスポーツカーです。 エクステリアは専用ガーニッシュやレッドブレーキキャリパーで武装し、インテリアには専用のレカロ製シートを標準装備しています。 また、パワートレインは660ccターボに専用開発のショートストローク5速MTを組み合わせ、車重670キログラムという圧倒的な軽さを実現。KYB製専用サスペンションによる引き締まった乗り味と相まって、ダイレクトな操作感を味わえます。 新車時の価格は、150万9840円から168万6300円と非常に安価でした。 しかし生産終了後の現在、市場の評価は高騰しています。特に走行1万キロ未満の極上個体は、当時の新車価格を優に超える200万円以上のプライスが付くことも珍しくなく、「お宝」化が進んでいるといえます。●ホンダ「S660」 そして最後に紹介するのは、ホンダ「S660」です。ホンダ「S660」。2022年3月をもって生産を終了した 2015年から2022年まで生産されたこのクルマは、軽規格で作られた本格的なミッドシップ・オープンスポーツです。 同じくホンダのミッドシップ・オープンスポーツである「ビート」の精神を受け継ぎつつ、現代技術で「ミニNSX」とも呼べる走行性能を実現しました。 内外装は、低くワイドなスタンスとタルガトップ式のボディ、そしてF1マシンを彷彿とさせるコクピット感を演出。 さらに、エンジンを運転席後方に搭載するMRレイアウトに加え、軽自動車として初めて6速MTを採用した本格的なメカニズムも特徴的です。 2022年に生産終了した最終モデルの新車価格は、スタンダードな「β」が203万1700円、上級グレードの「α」が232万1000円でした。 なお、S660の現在の中古車相場は今回取り上げた3台の中で最も高騰しており、特に最終限定車「Version Z」や「Modulo X」は、新車価格の1.5倍から2倍近い400万〜500万円以上のプレミア価格で取引されています。 通常グレードでも高年式・低走行車は高値安定しており、投機的な対象となりつつあるのが現状です。※ ※ ※ MT車の新規開発が減るなかで、今回紹介した3台はいずれも貴重なモデルとして注目されている存在です。 今後、環境への配慮から電動化が加速することを考えると、こうしたシンプルなスポーツモデルが新車に近い状態で市場に出回る機会はさらに減っていくことが予想されます。 コンディションの良い個体を選べる時間は限られているため、手に入れるなら今がひとつの区切りといえる時期かもしれません。