【ヤマハ WR125】国産トレールバイク全盛時代の夜明けが到来!ヤマハWR125Rのコンセプトは、「オフロードの世界に飛び込める青い相棒」。たとえ125ccであっても、所有する満足感やブランドへの信頼、本気でオフを走れる性能を重視している。単にオフ車の雰囲気を味わうだけでなく、「乗って楽しい」ことを大切にして開発されたという待望のトレールバイクだ。 +---------------------------+PHOTO/H.Inoue 井上演 TEXT/D.Miyazaki 宮﨑大吾試乗コース/福島県モトスポーツランドしどき・周辺一般道他+---------------------------+待望のヤマハトレールバイクの復活 1985年の初代225から2020年250 FINAL EDITIONまで、トレッキングをテーマとした名車トレールバイク「セロー」が存在。また2007年から2017年までは「WR250R」が高性能トレールバイクとして君臨していたヤマハに、待望の新型バイクが登場した。 ヤマハが捉えるWR125Rの用途は、通勤や街乗り、オンロードツーリング、林道ツーリングまでを幅広くカバーすること。日常使いも含めたバランスの取れたモデルとして仕上げている。 ヤマハ WR125R想定ユーザーは、40代のリターンライダーや買い増し層に加え、20代・10代のエントリーライダー。125ccならではの維持費の安さも大きな魅力で、初めての1台としても現実的な選択肢となると見越す。さらにスマートフォン連携機能など、若い世代にも訴求する装備も備えている。 開発コンセプトとオフロード性能へのこだわり WR125Rは、オンロードとオフロードを両立するデュアルパーパスモデルだが、開発で最も重視したのは「オフロードを楽しく走れること」だという。「オフを走れなければ、このカテゴリーの意味はありません」と開発責任者は語る。「日常と冒険を両立できる自由度、扱いやすさ、そして気持ちよくアクセルを開けられる特性を追求しながら、オンロードでも楽しめる性能を確保しています。開発陣自身が長年オフロードに親しんできたこともあり、『長く付き合える相棒』となることを目標に開発が進められました。」 開発コンセプトは以下の3点。 ●オフロードをしっかり楽しめる性能●ヤマハオフロードモデルの正統な継承●親しみやすさと手に取りやすい価格感 「エントリー向けだからといって性能を落とすことはせず、経験を積んだライダーが乗っても納得できるレベルを確保しました。ビギナーが上達した際にも、不安を感じさせない性能を目指しています。」と話す。 ヤマハ WR125R車両価格は税込53万9000円と低く抑えられている。 エンジンは既存の125ccユニットをベースに、オフロード向けに特性を最適化している。最大出力11kWを確保し、最大トルクを6500rpmに設定することで、低中速域での扱いやすさを高めた。低回転域の駆動力を重視し、オフロード走行に適したレスポンスを実現しているという。 フレームは高張力鋼を用いたセミダブルクレードル構造を採用。しなやかさと剛性のバランスを取り、高い走破性と信頼性を両立している。 サスペンションは、フロントにφ41mmインナーチューブの正立フォーク、リアにリンク式モノショックを採用。路面追従性とストローク感を重視し、動き始めのしなやかさと奥での粘りを両立した。 「このWR125Rは、気軽にオフロードを楽しめる一方で、日常使いやツーリングにも対応するモデルとして開発されました。難しい理屈ではなく、『バイクを操る楽しさ』という本質を詰め込んだ1台です。ぜひ実際に乗り、その楽しさを体感していただければと思います。」 早速、我々はコース内外の様々なロケーションで試乗を試みることにしよう! Kishizawa’s Impression:1台で街から林道、オフロードコースまで楽しめる「誠実な入口」 WR125Rは、125ccという排気量から想像する以上に、しっかりとしたフルサイズ感を持っていました。試乗前はTT-R125LWE、またはSEROWのサイズを想像していましたが、実車は大人が乗ってちょうどいい「普通の大きさ」。小柄な初心者にはやや大きいけれど、ワイズギアや社外パーツによるローダウン対応で十分にカバーできるでしょう。 ヤマハ WR125R走りは良くも悪くも125ccらしく、低速トルクは細め。ただし車格を活かしてスルッと前に出て、バルブが切り替わるタイミングに回転をつないでいく特性で、公道では非力さを感じることなく「必要にして十分」。 林道やダートでは、純正トレールタイヤでも安定感が高く、急坂や荒れた路面でも慌てずに進めます。125ccならではの全開で走る楽しさと、バイクを扱い切る余裕が大きな魅力。WR125Rは、街から林道、コース走行までを1台で楽しめる、オフロードへの誠実な入口と言えます。 Miyazaki’s Impression:想像以上にスタイリッシュで林道走破性も高く末長く楽しめそうな一台 撮影で押し引きしたり跨った最初の感覚は、意外と大きくて足付き性がめちゃくちゃいいわけではないなというものでした。ですが、とりわけ林道区間に入った時のコントロール性はさすがヤマハトレール。割とスピードを出してもしっかり曲がり、前に進んでくれます。 ヤマハ WR125RオフロードコースではフロントABSが効くのでハードブレーキングは厳しいですが、その利き方が絶妙なので、慣れればむしろ上級者が使う「軽いフロントブレーキの引きずり」感覚で走れそうです。もちろんこれ、オフロード初心者にとっては有効だと思います。あくまでも自己責任ですが、レースで使いたければヒューズを外す方法もありかと。 またデザイン面のこだわりもヤマハらしいです。黒を基調としたカバー類などの効果で、マフラー側でない側面もカッコいいですね! YAMAHA WR125R 【ディープパープリッシュブルーソリッドE】ヤマハのレースイメージを想起させるカラー。モトクロスジャージなどのオフロードスタイルが映える設定【ヤマハブラック】都会的なシーンにも馴染むカラー。カジュアルな服装はもちろん、スーツでの通勤といったシーンでもスタイリッシュに乗りこなせるデザインを目指したヤマハ伝統のオフロードスタイルを実現 【Y-Connectによる連携でバイクライフをサポート】CCU(コミュニケーション・コントロール・ユニット)を搭載することで、スマホ専用アプリ「Y-Connect」による連携が可能。メーター上でスマホへの着信、バッテリー残量の確認、整備時期の案内、最終駐車位置、燃費、ライディングログなどをスマホで表示することができるコンパクトなLEDヘッドライトは、小型で薄い小径レンズモジュールを用いている。ユニークな縦目2灯は単に2つのライトを1つに見せるような手法ではなく、機能を追求したレイアウトだ。メインライトを低く車体に寄せ、ポジションランプは極限までコンパクトに配置。メインライトをインテーク内に配置された脇役のように演出することで、タイトな顔回りを作り上げているというオフロード向けに特性を最適化された124cc水冷エンジンを搭載。VVA(可変バルブ)を搭載することで、吸気系の2つのカム(低回転、高回転用)をエンジン回転数やスロットル開度に応じて切り替えることができ、低中速域のトルク感、高回転域の伸び感をバランスよく発揮。軽快で力強いドライバビリティを両立しているヤマハオフロードワールドを強調するデザインとは? シート形状やライディングポジションにもこだわり、スタンディングとシッティングの両方で自然に体を動かせる設計。特にニーグリップ時の足当たりやライダーの動きを妨げないよう、シュラウドと黒いパーツの合わせ目には細心の注意を払ったという 。ヤマハの実験ライダーによる厳しいチェックの下、モトクロスブーツ着用時の引っかかりなどを解消するため、0.5mm単位でのクレー造形と3~4回にわたる検証を繰り返し、作り込んでいる。 燃料タンクも高さを抑え、フラットで自由度の高いポジションを実現。外装デザインは街乗りにも違和感のないスタイリッシュさを持たせつつ、オフロードでの動きやすさを優先。足の引っ掛かりや体の移動を妨げない形状としている。 コンセプト名は「Feel The YAMAHA OFFROAD SPIRIT」。これは、ヤマハが誇るオフロードモデルの上位機種が持つ魅力を伝え、オフロードへの「間口を広げる」という思いを込めたものだという。特に歴代モデル(YZ、セロー、テネレなど)から受け継がれる「軽快感」と「凝縮感」を核として、メカニカルなパーツを凝縮し、その上に軽快な外装をまとう構成でヤマハらしさを表現。シート高が低いモデルながら、ヤマハならでは伝統の「水平基調」を強調し、レーシーな感覚とストリートで映えるモダンを両立。黒いパーツをメカニカルな要素と見立てて、外装デザインも軽快かつメカニカルに見せているのも技アリだ。ぜひWR125Rを左右、前後、斜めから眺めてみてほしい。 ターゲットは40代リターンライダーサブターゲットは若年層のエントリーライダー! メディア試乗会の技術説明に先駆けて解説されたのが、ヤマハが捉えるターゲット層。それによると、WR125Rが属する「デュアルパーパス」カテゴリーは、日本市場において安定した需要が存在している。その中で着目したのが、40代前後のリターンライダーや買い増し需要で、実際125ccモデルの購入データを見ると、40代で再びバイクに乗り始める、あるいは買い足すユーザーが増加する傾向が数字にも表れているとのこと。 現在、125ccクラスのオフロードモデルは輸入車こそ存在するものの、主要メーカーからは本格的で完成度の高いモデルはほとんどない。「信頼できるブランドによる、本格志向で趣味性の高い125ccオフロード」を提案すれば市場に強く響くと考え、このWR125Rを企画しました」とのこと。 ちなみにヤマハはメインターゲットの家庭を持つ40代ライダーよりも、実は若年層の方が使える金額は大きいとも読んでいる。昨年12月に行われた試乗会の段階ですでに目標を上回る販売を実現しており、売れ行きは好調。あえて125ccで勝負した思惑は、現時点で成功しているとみていいだろう。