販売不振やブランド力の低下に苦しむ日産。ただ2025年3月には、2026年度までに約30にも及ぶモデルの市場投入を発表するなど、再生に向けた構造改革も表明している。【画像ギャラリー】「王者のミニバン」が第3世代e-POWERと進化版e-4ORCEで再び頂点へ ジャパンモビリティショー2025で世界初公開となった日産新型「エルグランド」(20枚) この新型車攻勢は、まさに再起への試金石。次期主力モデルの登場時期と、日本市場で注目すべき「狙い目車」を徹底チェックしよう。文:吉川賢一/写真:NISSAN、エムスリープロダクション新車スケジュール全網羅 まずは日産が2025年3月26日に発表した「日産とインフィニティ 両ブランドの新商品と新技術の投入計画」の中で明かした、2025年度から2026年春までにグローバルで市場投入計画をしているモデルを全網羅しよう。「新型」と付しているものがフルモデルチェンジもしくは新規投入と思われるモデルだ。<2025年度>・新型ルークス(日本)・新型マイクラ(欧州、BEV、ルノー5兄弟車)・新型リーフ(米国・カナダ・日本・欧州・オセアニア)・新型セントラ(米国・カナダ、ベストセラーモデルであるコンパクトセダン)・新型ローグPHEV(米国・カナダ、日産初のPHEV)・新型コンパクトSUV(ラテンアメリカ)・パスファインダー(米国・カナダ、マイナーチェンジ)・インフィニティQX60(米国・カナダ・ラテンアメリカ・中東、マイナーチェンジ、高級3列SUV)・インフィニティQX80(米国・カナダ、新しいスポーツパッケージ追加)・ヴァ―サ(ラテンアメリカ、改良モデル)・キャッシュカイe-POWER(欧州、第3世代e-POWER搭載車、2026年度にはオセアニアにも展開)・Z NISMO(中東)・MPV(インド、右ハンドルと左ハンドルの両仕様で世界への輸出を計画)・アリア(オセアニア)・マグナイト(アフリカ、スタイリッシュなコンパクトSUV)・パトロール(エジプト、2026年にはオセアニア・南アフリカにも展開)<2026年度>・新型ローグ(米国・カナダ、米国・カナダにおけるe-POWER車初投入、第3世代e-POWER)・新型QX65(米国・カナダ・ラテンアメリカ・中東、2列シートクロスオーバークーペ)・新型エルグランド(日本、第3世代e-POWER搭載)・新型ジューク(欧州、BEV)・新型「テクトン」(インド、コンパクトSUV、右ハンドルと左ハンドルの両仕様で世界への輸出を計画)・新型1トンピックアップトラック(オセアニア、日産と三菱のパートナーシップを活用した新型1トンピックアップ)・新しい5人乗りSUV(一部のアフリカ市場)・フロンティア/ナバラ(ラテンアメリカ、進化したデザインとインフォテインメントシステム、先進運転支援技術を搭載)・エクストレイルe-POWER(ラテンアメリカ) このほかにも、米国・カナダ市場には「2026イヤーモデル」としてアップデートされた現行車が登場するほか、ジャパンモビリティショー2025のプレスカンファレンスでは日本市場に新型「パトロール」が2027年度前半に投入されることが明らかになっている。マイナーチェンジや改良モデルは、パワートレインの追加まで含めると、2025年度には世界で11車種、2026年度も7車種を予定されている。特に米国とカナダでは、2026年度末までに合計で8車種もの投入を計画しており、とにかく販売台数低下を抑えて、収益を安定化させたい日産の思惑がうかがえる。ジャパンモビリティショー2025で世界初公開となった新型エルグランド。発売は2026年夏を予定している新型パトロールは、2027年に日本市場へ投入されることが判明グローバルでは北米のセントラ、そして中国のN6がカギ 日産のグローバル販売台数に強い影響を及ぼすのは、北米と中国の2つの市場だ。このうち北米市場では特に、2025年9月に発表となった新型セントラ、そして近々導入が計画されている新型ローグPHEV、ローグe-POWERの3モデルは「こけてはならない」モデルだ。新型セントラに関しては、現時点はガソリン車のみが発表となっているが、早々にe-POWERモデルが設定されるはず。ハイブリッド車でないともはや見向きもされなくなってきた昨今の北米市場を考えると、一刻も早い登場を期待したいところだ。 中国市場では、中国のNEV政策に合わせて開発された廉価な電動車シリーズ「N」に期待したい。2025年10月17日には新型のPHEV「N6」が、新型「ティアナ」とともに発表されたが、先陣を切ったBEVの「N7」が、発売から1か月で1万7千台以上を受注するなど、中国の若者ファミリーを中心に大ヒットしていることを考えると、この新型N6もまた人気となる可能性は大いにある。2025年9月に発表された新型セントラ。未来感が増した新しいフロントフェイスとなった中国市場に登場した新型ティアナ。N6やN7とは違い、純日産による開発が行われたと考えられる国内で期待したいのはやはり新型「エルグランド」 日本市場においては、やはり新型エルグランドへの期待が大きい。ジャパンモビリティショー2025でお披露目された大型で背の高いプロポーションは、まさに「キング・オブ・ミニバン」の復活を予感させるものだった。 エクステリアデザインは、2023年のショーに出展されたコンセプトカー「ハイパーツアラー」のデザインを色濃く継承しており、アルファードやヴェルファイアとは異なる方向での先進性を感じさせる。日産独自の美学を明確に打ち出した、素晴らしいデザインだ。 内容としては、すでに発表されている1.5Lのe-POWERシステムやe-4ORCEの搭載のほか、デジタルインテリアや助手席オットーマン、電制ショックアブソーバーなど、従来のエルグランドにはなかった先進装備が多数導入されることも明らかとなった。走りと快適性の両立を目指す姿勢が随所に感じられ、完成度には大いに期待が持てる。 新型エルグランドのほかにも、新型リーフ、新型ルークス、新型パトロールなど、国内市場においても続々と新型モデルの投入計画が明らかになっており、これらも日産のイメージ改善に大いに貢献してくれることだろう。助手席シートへのオットーマン搭載も密かに熱い!!2027年度には、新型スカイラインの登場も!! 2025年から2026年度にかけては、日産にとってまさに「再起をかけた2年間」。これまで停滞していた商品ラインナップを一気に刷新し、ブランド価値を立て直そうとしている。 2027年度以降も、日産ブランドのBEVの新型SUVの投入が見込まれているほか、インフィニティブランドからも「QXeコンセプト」にインスパイアされたBEVのSUVが投入される見込み。2027年度には、新型スカイラインの登場も期待されている。 はたしてこの計画通りにリリースができるのか、2025年~2026にかけての日産の動向に期待したい!!