日産が「エルグランド」とともに新型「パトロール」の国内導入を発表【ジャパンモビリティショー2025】 日産自動車は2025年10月29日、ジャパンモビリティショー2025(会期:11月9日まで)の会場でプレスカンファレンスを開催し、新型「エルグランド」を初披露するとともに新型「パトロール」の国内導入を発表した。 いまそこにある稼げるモデルを ハイパーなコンセプトモデルを賑々(にぎにぎ)しく並べた前回2023年のモビリティショーから一転、華やかというよりはどこか“ほんわか”したムードの日産のブースは、今や日本のキラーコンテンツである漫画をテーマに取り入れたものだという。ポップなペーパークラフトというか壁画で仕切られたショースペースは、なるほど海外ファンには受けがいいかもしれないが、意地悪な見方をすれば、コスト優先の簡素なブースデザインともいえる。 それもまあ致し方なし。何しろ日産は2万人の人員削減、日本の追浜工場を含む世界7工場の閉鎖などを内容とする大リストラ計画「RE:NISSAN」を遂行中であり、大盤振る舞いできる予算は一文もないはずなのである。焦眉の急は、当然ながら売れる新型車を発売すること。というわけで、メインステージには近日発売予定の新型エルグランドが鎮座し、イヴァン・エスピノーサ社長兼CEOがベールを取った。事前情報どおり、第3世代の「e-POWER」を搭載する新型エルグランドは何と16年ぶりのモデルチェンジだという。プレスカンファレンスでは日本市場の活性化という目標も掲げられたが、今も大人気の「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」に対して、すっかり忘れられていたようなプレミアミニバンのパイオニアは復権できるだろうか。発売は2026年夏の予定だ。 また中東諸国などで人気の大型SUVパトロールも並べられ、2027年前半に日本市場に導入予定と発表された(まだそんなに先か!)。さらには2025年5月にヨーロッパで発表されたルノー生産の「マイクラ」(もともとは「マーチ」の海外モデル名)、中国で東風日産が生産するEVセダンの「N7」も展示されているが、どちらも左ハンドルモデルで、国内導入計画などは言及なしだった。ほかには発売されたばかりの新型「リーフ」、同じくショー直前に発表された400台限定の「スカイライン400Rリミテッド」も展示されているが、ふと気づけば派手なコンセプトモデルは見当たらない。日産は今、目の前にある危機を乗り越えるための現実的なニューモデルを必要としているのだ。 (文=高平高輝)