社会主義時代のチェコスロバキアでは、自動車生産は2つの歴史的自動車メーカーに分かれていた。シュコダは一般大衆向け車両の生産を任された。タトラは、主に国家や富裕層向けの高級車に専念していた。タトラは1930年代の革新的なデザインを進化させた603を1956年に発表した。リアエンジンとトラクションという型破りなデザインを採用した。チニゼッロ・バルサモ(ミラノ)のピロヴァーノ氏が所有するこのモデルは、1973年製である。サイドには、大きな「耳」のようなエアインテークとフィンが特徴的だ。603は、1962年に4灯式フロントライトを採用するなど、さまざまなアップデートを経た。ディスクブレーキ、パワーブレーキ、シートベルトも搭載。車内は広々としており、6人が乗車可能。ステアリングホイールに取り付けられたギアボックスとシングル・フロントシートのおかげで、快適性は際立っている。確かに万人向けの車ではなかった。その使用はチェコスロバキアと東欧圏の国々の富裕層に限られていた。総生産台数は2万台強