三菱のコンパクトSUVが海外で売れています。主にASEAN地域で展開されている「エクスフォース」は、現地での使われ方から逆算した「実用性重視」の設計が特徴のモデルです。2025年にはハイブリッドモデルが追加され、燃費性能や静粛性といった商品力も強化。さらに三菱らしい走破性もしっかりと盛り込まれており、コンパクトながら「使えるSUV」として評価を高めています。タイ現地で実車を見た印象をご紹介します。【画像ギャラリー】海外で好調な三菱の小型SUV HEV投入でさらに進化した三菱「エクスフォース」(22枚)文:吉川賢一/写真:MITSUBISHI、エムスリープロダクションASEANで磨かれた「実用主義SUV」 三菱「エクスフォース」は、2023年にインドネシアで発表されたコンパクトSUVです。ボディサイズは全長4390mm×全幅1810mm×全高1660mm、ホイールベース2650mm。ホンダ「ヴェゼル」(4340~4385×1790×1545~1590、WB2610)に近しいサイズで、日本人の感覚からしても扱いやすさと居住性のバランスに優れた絶妙な寸法に収まっています。 最大の特徴は、ASEAN地域でのコンパクトSUVの使われ方にこだわって開発されたモデルであること。舗装路と未舗装路が混在するASEAN地域の路面環境に対応するため、同クラスのSUVと比較しても明らかに余裕のある222mmという最低地上高を確保。さらに、アプローチアングルは21.0度、デパーチャーアングルも30.5度を確保し、見た目だけでなく実際の悪路走破性をしっかり意識した設計となっています。 走行面においても、前輪駆動(FF)ベースながら、ブレーキ制御によって左右輪の駆動力を調整するAYC(アクティブヨーコントロール)を標準装備したほか、三菱として初採用となるWetモードを含む4つのドライブモードを装備し、荒れた路面や冠水路など、さまざまな条件下でも安心して走行できるよう開発されています。 見晴らしのいい前方視界によって車両感覚をつかみやすく、最小回転半径はクラス最小レベルの5.2mに抑えられており、狭い路地やUターンが多い都市部でも取り回しに優れています。三菱「エクスフォース」。T字型に発光するLEDランプとダイナミックシールドが特徴のフロントフェイス。ワイドで安定感のあるスタンスを強調する2026年3月に開催されたバンコク国際モーターにおいて、三菱ブースに展示されていたエクスフォースハイブリッド全長は4390mm、ホイールベースは2650mmと適切なサイズを実現。最小回転半径はクラス最小レベルの5.2mを達成しているハイブリッドで完成度を底上げ パワートレインは、デビュー当初は1.5Lガソリンエンジン+CVTのみでしたが、2025年にハイブリッドモデルも追加されました。 三菱が誇るPHEV由来のHEVシステムで、1.6Lエンジンに駆動モーターを組み合わせた同社独自の駆動システムです。新開発のトランスアクスルによって伝達効率を高めたほか、高速走行時にモーターを駆動系から切り離す「モーターディスコネクト機構」を採用。エネルギーロスを抑えたことで、燃費はNEDCモードでクラストップレベルとなる約24.4km/L。WLTCモードに換算すると、おおよそ17〜19km/L程度の水準と考えられます。 走行面では2速ギアシステムを組み合わせることで、高速域での静粛性と登坂時の加速性能を両立。さらにモーター、ジェネレーター、トランスミッションを一体化することで高周波ノイズを低減し、電動車らしい滑らかな走行フィーリングも追求されています。新開発トランスアクスルとモーターディスコネクト機構を採用したHEVシステム。エネルギーロスを抑え、NEDCモードで約24.4km/Lの燃費性能を実現しているコンパクトながら最低地上高222mmと18インチによって迫力は抜群 デザイン面では、「Silky & Solid」をコンセプトに、優雅さと堅牢性を融合させたスタイリングが与えられています。ボディ上部は流れるような面構成とフローティングルーフによって軽やかさを演出しつつ、18インチホイールと大径タイヤに加え、最低地上高222mmというパッケージによって力強いプロポーションを獲得。都会からアウトドアまで違和感なく溶け込むデザインに仕上げられています。 インテリアでは、水平基調の「ホリゾンタル・アクシス」コンセプトを採用。前方の見通しを確保するとともに、車体姿勢の変化を把握しやすくすることで、悪路走行時の安心感にもつながる設計とされています。インパネからドアトリムまで連続する造形によって、コンパクトSUVでありながら開放感のある室内空間を実現している点も特徴です。 さらに、12.3インチのスマートフォン連携ディスプレイオーディオとデジタルドライバーディスプレイを一体化した大型パネルを採用し、視認性と先進性を両立。パジェロの3連メーターをモチーフとした表示や、車両の傾きなどを表示する機能も備え、三菱らしいオフロード志向の演出も盛り込まれています。 居住性においても、2650mmのホイールベースを活かし、前後席ともにクラストップレベルの空間を確保。とくに後席は8段階のリクライニング機構も備えており、乗員の快適性と荷室の使い勝手を両立しています。 価格は、タイでの価格でHEVモデルが939,000バーツ。日本円換算でおよそ470万円です(1バーツ=5円で計算)。12.3インチのディスプレイと水平基調のインパネを採用。視認性の高さと開放感を両立した設計となっている8段階リクライニング機構を備えた後席。2650mmのホイールベースを活かし、足元空間にも余裕を持たせている全長4390mmは日本でも「ちょうどいい」のでは!? 三菱によると、このエクスフォースは、2023年11月にインドネシアで販売開始したあと、ベトナムやフィリピン、中南米等に拡大展開されており、累計約6万2千台を販売しているとのこと(2026年1月初旬時点)。爆発的な販売台数というわけではないものの、約2年あまりで累計6万台規模に達しており、各市場で着実に販売を伸ばしていることを考えると、「確実に売れているモデル」であるといえます。 現地での評価も高く、タイではタイ自動車ジャーナリスト協会によるタイランド 自動車・オートバイ マーケティングアワード2025において「タイランド・カー・オブ・ザ・イヤー2025」も獲得しています。三菱が同賞を受賞するのはこれが初とのことです。 サイズ、地上高、そして走行制御といった基本性能を、徹底的に「リアルな現場」に合わせて最適化したうえで、ハイブリッドという武器を手に入れたことで、快適性や環境性能も取り込み、商品としての完成度を一段と高めたエクスフォース。全長4390mmというボディサイズは、一般的なコンパクトSUVより余裕がありながら、ミドルクラスほど大きくないという絶妙なゾーン。1810mmという全幅はややワイドではあるものの、取り回しの許容範囲に収まるレベルです。 三菱は2026年7月をもって同社の「エクリプスクロス」の全グレード生産終了を発表しています。ラインアップの中核を担ってきたモデルが姿を消す中で、そのポジションをどのモデルが担うのかは注目されるところですが、コンパクトなサイズながら222mmの最低地上高や走行制御による安定性、さらにハイブリッドによる効率性能を兼ね備えるエクスフォースは、アウトランダーPHEVのよい部分を凝縮した「万能ハイブリッドSUV」といえ、エクリプスクロスのポジションを十分に担ってくれる存在になるはずです。 もちろん価格次第ではありますが、サイズと性能、そしてタフな使い勝手のバランスは、日本市場においても「ちょうどいいSUV」として成立する可能性は十分にあると考えられます。ぜひ日本投入を期待したいところです。コンパクトSUVの扱いやすさと、本格SUVの走破性を両立。日本市場でも「ちょうどいいSUV」なのでは!??