ホンダが次世代ハイブリッドを次世代アコードクラスのプラットホームに搭載したモデルと、ジャパンモビリティショー2025(JMS)に出展した、N-ONE e:をベースにした「Super-ONE」(すでにSNSでは「ブルドック」と呼ばれている)の試乗会を行った。どちらも「エコカーだって相当楽しいじゃん!」と思わせる仕上がり。能書きや前置きやウンチクは後回しにして、試乗レポートからお届けしたい。【画像ギャラリー】ホンダがマジで載せてくれた次世代HVとBEV先行試乗全画像(13枚)文:国沢光宏、写真:本田技研工業「アクセル全開! するとどうよ! これホントにハイブリッドなの?」 まず次世代ハイブリッドモデルの試乗から。 写真を見れば解るとおりシビックベースながら前後左右が広がっている。となればアコードですね。ホンダの社内呼称は「Next Generation Hybrid Study」。プレリュードに搭載される2Lガソリンエンジン+モーターのHVシステムがさらに進化され搭載。プラットフォームもさらに進化している 運転席に座ると外観と同じく完全な試作車。インテリアだって張りぼてだ。このタイミングでの試作車、2億円くらいする。試乗にあたりまったく制限を掛けられなかったので慎重になりながらも最初から早めのペースで走り出すと「あらま!」。素敵な手応えだったりして。 安心出来るし、もはや楽しい。 となれば壊さないように配慮しつつアクセル全開! するとどうよ! これホントにハイブリッドなの? と思うくらいエンジン車である。何よりエンジン音が気持ちいい! あとで聞いたのだけれど、全域ストイキ(完全燃焼)の急速燃焼しているそうな。燃費と出力の両立を狙う技術であり、スーパーGTなどに使われてる競技用エンジンの流れ。 試作車は市販段階じゃ騒音規制をクリア出来ないレベルの華やかな排気系と組み合わせているため、エンジン回転数が上がると素晴らしい音を出す。合わせてプレリュードでも採用済みの「まるでマニュアルミッション車のような乗り味の制御」を入れている。プレリュードはスピーカーで音を出しているが、試作車はリアルな振動&エンジン音なので、大笑いするくらい楽しい!100%モーター駆動のクルマと思えないレベルだ。 ホンダは今後こういったハイブリッドを展開していくそうな。テストコースでスキール音を鳴らしまくって走る国沢さん。マジで楽しそうでした。早く公道で乗りたい!! プレリュードってこのHV群の「前奏曲」だったんですね 社会性や道路環境を考えると絶対的な動力性能の追求は意味を失っていく。適切な動力性能と優れた燃費を確保しながら、いかに楽しませるか、という技術(半分バーチャルでよい)がニーズになってくるだろう。さらに仮想ギア段数を多くすれば一段と楽しくなると思う。 プラットホームも興味深い。簡単に説明すると、サスペンションの付け根はガッシリさせながら、車体全体をコントロールした状態で”しならせ”て路面をトレースするというもの。考えてみたら車体を「剛体」(まったく変形しない物体)にすることなど出来ない。サスペンションの取り付け部さえ固めれば、軽量化としなやかな挙動を両立出来るというコンセプトである。 乗るとどうか。コレがなかなか! 走り出しですぐの素敵な手応えの要因になっているんだと思う。気がつけパワーユニットの仮想ギアをフルに使い、相当なペースで走ってる。 次期型アコードと思える普通のセダンながら「こいつぁタイプRか?」てなイキオイ。同じような味付けのクルマがフィットとかになってくると、ECOで楽しいクルマになると思う。期待大!「クルマの楽しさ」は時代によって変化していく…… 続いてブルドック(「Super-ONE」)を試す。 簡単に説明すると、電気自動車ながら、乗るとエンジン車みたいな「ヒョンデ・アイオニック5 N」的スポーツモデル制御を取り入れている。JMSに展示されたプロトタイプの進化版。「Super-ONE」は2026年、日本で市販されるとのこと。しかもノーマルのN-ONE e:からそれほど値上げしないそう。なんかいきなりホンダが本気出してきたな…… ノーマルでは無断/無音の電気自動車。スポーツモードにすると仮想エンジンを響かせ、ギア付き車のような段付き加速をするというもの。アイオニック5 Nは徹底しており、まんまエンジン車。 ブリッピングすると回転数上がり、回転数が下がるフェイズでアフターファイア音まで出る。パドル使って加速すると、レッドゾーンで音も速度も頭打ちになるなど徹底してます。 ブルドッグはそこまで遊んでいないが、仮想エンジン音を出し、小さいながら仮想シフトアップ時のショックも演出している。外観はN-ONE e:に左右40mm程度(非公表なのでざっくり目測)のブリスターフェンダーを装着。白ナンバー登録だ。 こちらも全開! スペックなど公表されていないものの、音を出す「BOOSTモード」を選ぶとパワーアップする。体感的には「ガッツリわかる20%増」、というより「少し元気になりましたね!」の10%増に近い。64馬力が75馬力になったくらいか? その程度でも必要にして十分な動力性能だと思う。 車内にエンジン音を出す仮想シフト制御すると、速さを感じさせます。車内に設置された4個+1個のスピーカーでエンジン音を演出。これがなかなかスポーツ感を演出しよる。ギアは国沢さんがおっしゃるとおり、もう少し段数を細かく刻んだほうが楽しそう 試作車はエンジン車のような”仮想”ギアレシオだったため、試乗コースだと2速~4速くらいしか使えなかった。 ギア段数はいくらでも増やせる。150馬力くらいのクルマで走った時に使うギア段数にすれば一段と速さを感じさせ、楽しくなると思う。音もコスト重視のスピーカーだったので、8スピーカーのプレミアムサウンドシステムを持つアオイニック5 Nに届かない。 ここは10万円くらい高くなってもいいから上級オーディオのオプション設定をしたら一段と楽しくなると思う。近未来の走りのオプションはマフラーやロムチューンじゃなくスピーカーです(笑)。BOOSTモード以外で走るなら素敵なオーディオになってくれるし。 クルマの楽しさも時代によって変化していくことをブルドックや次世代ハイブリッドに乗ると実感します。(編集部注/この「Super-ONE」は「2026年より日本を皮切りに、小型EVのニーズの高い英国やアジア各国などで発売を予定」と発表済みです。来年ガチで発売されます) 試乗イベントでは開発中のV6ハイブリッドや、ホンダ0のサルーンに使われる技術展示などもあった。技術展示のみだったV6エンジン+モーターのHVユニット。アメリカのトラック向けと見られる。ヨットやトレーラーなどを牽引できるトルクが出せる。巨大SUVはこれでまかなうのか V6ハイブリッドは3.5L程度のエンジンを使う2段直結モード付き(低いギアはトレーラー引っ張る登坂用)2モーター式で、5m×2mのボディサイズを持つ2トン級のモデルと組み合わされる。ホンダも全ラインアップをハイブリッド化するということ。 ホンダ0サルーンは車体技術の展示だった。ホンダ「0」シリーズのプラットフォームも技術展示。めちゃくちゃ低い。おそらくこれが「0サルーン」になるのだろうが……売れる…の…? 次世代アコードに使われる”しなやか”な車体を採用しているそうな。個人的に0サルーンを買う層がまったくイメージ出来ない。同業者に聞くと「量販は考えていないじゃないか」みたいな声も多い。確かにアメリカって車高の低いセダンのマーケットはなくなってしまった。こちらはハンドルを握るまで評価を迷います。