若い頃に憧れていたクルマや乗っていたクルマ。今でもその気持ちは変わらないし機会があればもう一度手に入れたいけど、現実的に考えるとハードルが高い。それならば、当時を思い起こさせる現代のモデルを選んではどうだろう。あの頃の記憶が蘇り、きっと気分も若返るはずだ。【画像ギャラリー】ハンドル握れば20代に!?(13枚)文:木内一行/写真:スバル、トヨタ、日産、ホンダ「世界で愛された名車がモチーフのオフローダー」 トヨタ・FJクルーザーフロントマスクやルーフにかの40系を彷彿とさせるディテールを取り入れつつ、現代風にアレンジ。イエローやブルーなどのビビッドなボディカラーも受け継いだ 1980年代に巻き起こったRVブーム。パジェロやハイラックスサーフなどが若者から支持されたが、その中心にいたのはランクルだった。 ランクルといえばステーションワゴン系も人気だが、その原点となるのはヘビーデューティ系。とくに24年間も愛された40系は特別な存在で、若い頃の記憶を懐かしむ人も少なくないだろう。 そんなクロカンヨンクのレジェンドをモチーフとしたのが、2010年に日本で発売されたFJクルーザーだ。 そのスタイリングはまさに40系を彷彿させるもので、丸目のヘッドライトとオーバル形状のグリルを持つフロントマスクや直立したフロントウィンドウ、ホワイトルーフなどがそれ。その一方、2ドア風のフォルムながら観音開きのリアドアを採用し、新たな個性を打ち出している。 また、FJを名乗るのであればヨンクとしての高い走行性能も実現しなくてはならない。パワートレインはゆとりのトルクを発揮する4リッターV6に5ATを組み合わせ、4WDシステムはトランスファーレバーを備えるパートタイム式を採用。システムとしては古典的だが、信頼性は抜群だ。 後継車ではないが、FJ型(40系)をオマージュしたモデルということで同列と考えられるランクルFJが、本年中に日本でも発売される予定。しかし、正確な時期は不明だし、発売されても人気でなかなか手にすることはできないだろう。 それなら、FJクルーザーでランクルの味を楽しみつつ昔を思い返すのもいいのではなかろうか。「名を変えて復活した!? 往年のスポーツセダン」 日産・スカイライン先代よりも全幅を50mm広げつつ全高を10mm低くし、正統派セダンながら躍動感や高揚感をアップ。2019年のマイナーチェンジで新たにVモーショングリルが採用された 2027年で生誕70年を迎えるスカイライン。その長い歴史の中ではさまざまなモデルが登場し、多くの人に愛されてきた。それだけにアラフィフなら鉄仮面やR32GT-R、それ以上の世代ならハコスカやケンメリに憧れていたとか、当時乗っていたという人は多いだろう。 そんな思い入れの強いスカイラインで、今でも往年のファンをアツくさせてくれるのが現行V37の400Rだ。 2013年に登場したV37はダイナミックなデザインと高い質感を備えるとともに、「世界一速いハイブリッド」をうたうプレミアムなスポーツセダンに進化。デビュー3カ月後にはダイムラー製の2リッター直4ターボも搭載されたが、V37の魅力をさらに押し上げたのが400Rだった。 2019年のマイナーチェンジで外装を刷新し、3リッターV6ツインターボエンジンを新たに搭載したV37だが、400Rはスカイライン史上最高の400psオーバーを達成。エンジン自体はGT系と同じだが、日産国内初採用のターボ回転センサーを搭載してタービンを使い切ることで405psという最高出力を手に入れたのである。 加えて、クルマの挙動に素早く反応し、優れた操縦安定性と乗り心地を実現するインテリジェントダイナミックサスペンション(電子制御ショックアブソーバー)や、アルミ製対向ピストンのブレーキキャリパーも装備。見た目こそGT系との違いはわずかだが、走行性能を高めるためのアップデートが各所に施してあるのだ。 羊の皮を被った狼とはまさにこのこと。名は違うものの、あの頃のワクワク感を思い出させてくれること間違いなし。「一世を風靡した快速ワゴンの後継モデル」 スバル・レヴォーグ立体的なマスクや特徴的なフェンダーラインで、スポーツカーのような力強さと先進的なスタイルを融合させたエクステリア。フルLEDヘッドライトはスバル初 1989年に登場したレガシィツーリングワゴン。従来のワゴン車にはなかったスタイリッシュなデザインやターボエンジンによる高い運動性能、そして折からのスキーブームやアウトドアブームの影響もあり、一躍ヒットモデルとなった。 そんな同車の血を脈々と受け継いだのがレヴォーグだ。2014年にニューカマーとしてデビューし、2020年に登場した現行モデルは2代目となる。 立体的なマスクやエッジの効いたシルエットなどダイナミックなデザインとなったボディは、初代よりも全長と全幅を拡大。ただし、国内で使い勝手のいいサイズに収められているのはさすが。 プラットフォームは新世代のスバルグローバルプラットフォームをベースにフルインナーフレーム構造を採用し、ボディ剛性をアップ。 合わせてサスペンションを一から見直し、質の高い走りを実現した。 エンジンも刷新され、デビュー時は全車1.8リッターターボのCB18だったが、翌年には2.4リッターターボのFA24も追加。駆動方式は1.8リッター車がアクティブトルクスプリットAWD、2.4リッター車はWRX S4と同じVTD-AWDとなる。 この水平対向エンジンとシンメトリカルAWDによる走行性能はまさにレガシィ譲りで、利便性や積載性の高さも同様だ。 後席の4:2:4分割可倒機構や大型サブトランクを駆使すれば、広くフラットな荷室としてさまざまな用途に合わせてアレンジすることが可能。若かりし頃のように、レジャーやアウトドアを目一杯楽しむことができるだろう。「憧れのスーパーカーを想起させる軽スポーツ」 ホンダ・S660小さな弾丸のような勢いと、思わず触れたくなるような質感を持ったエクステリアを追求。気軽にオープンスポーツの楽しさを味わえる脱着式のロールトップを採用する 幼少期に憧れたスーパーカー、そしてクルマ好きなら一度は乗ってみたいオープンカー。この2つの要素をあわせ持つ、なんとも贅沢なマイクロスポーツがS660だ。 「心が昂る本格スポーツカー」を追求して開発されたS660は、曲がる楽しさを最大限に体感できるよう高い旋回性能にこだわり、ミッドシップレイアウトを採用。レーシングカーやスーパーカーならまだしも、コストがかかるミッドシップを軽自動車で採用するのは異例のことである。 ドライバーの後方に収まるのは、Nシリーズで定評のある直3ターボエンジン。ただし、レスポンスを重視したターボチャージャーを採用し、リニアなパワー感による気持ちの良さや高回転まで回す喜びを実現した。組み合わされるミッションは、軽自動車初の6MTと7速パドルシフト付きCVTだ。 そして、走る楽しさをさらに高めるべくオープンボディを採用。とは言ってもフルオープンではなく、ルーフ部分をクルクルと畳んで着脱できるタルガトップとしたことで、気軽にオープンエアが楽しめるようになった。 2シーターオープンだと1台ですべてをこなすのはなかなか難しい。そうすると2台持ちになるのだが、登録車だと維持費がかさんでしまう。だけどS660なら維持費も安く、それでいて本格的な走りが楽しめる。 2022年に残念ながら生産終了となったが、子どもの頃の憧れや夢を現実のものにしてくれるのがS660なのである。