「ロードスター」ファンの夢だった2リッターのソフトトップ仕様 長年、日本の「ロードスター」ファンから望まれていた“2リッターエンジン搭載のソフトトップ仕様”が、限定車という形で誕生することとなりました。 それが、2200台限定の「マツダ スピリットレーシング・ロードスター(以下、MSRロードスター)」と、200台限定の「マツダ スピリットレーシング・ロードスター 12R(以下、MSRロードスター 12R)」。【画像】超カッコいい! 快適で走りも楽しい「MSRロードスター」シリーズを写真で見る(30枚以上) すでに2台とも完売していますが、本記事ではそれぞれの魅力を1.5リッターエンジン搭載の「ロードスター NR-A」オーナーである筆者(西川昇吾)が乗り比べて分析してみました。「国内仕様は1.5リッター車がベスト」というのが、現行のND型「ロードスター」が登場してから一貫しているマツダのこだわりでした。 しかし海外では、日本の「ロードスターRF」と同じ2リッターエンジンをソフトトップボディに搭載したモデルが販売されており、「日本市場でも販売して欲しい」との声が「ロードスター」ファンから上がっていたのです。 今回、ファンの長年の願いが現実のものとなったわけですが、マツダはそんな2リッターエンジン車を、特別な価値を持つ限定車として登場させてきました。「MSRロードスター」は、「ロードスターRF」と同じ“通常”の2リッターエンジンを搭載しながらスロットル制御を見直すとともに、レブリミット直前まで出力を絞らないチューニングとするなど、よりエンジンを楽しめる変更が加えられています。また、専用の内外装が与えられており、特別感ある1台に仕上げています。マツダ「MSRロードスター 12R」 一方、「MSRロードスター 12R」の方はさらにスペシャルなモデルとなっていて、専用チューニングを施した手組みのエンジンを搭載。最高出力は、自然吸気式ながらリッター100psとなる200psをマークしています。 気になる専用チューニングの内容は、吸気ポート研磨、カムシャフト&エキゾーストマニホールドの変更、フレッシュエアダクトの大型化などとなっています。 また、スポーツ走行を楽しみたいユーザーに向けたアフターパーツ「MSR スポーツパッケージ」も同時に発表。ちなみに今回試乗した2台は、「MSRロードスター」がアフターパーツのない状態、対する「MSRロードスター 12R」は「MSR スポーツパッケージ」がすべて装着された状態でした。●“素の2リッター”は想像以上に快適だった まずは“素の2リッターモデル”といえる「MSRロードスター」から試乗します。 市街地の低速域ですぐに感じたのは「楽に乗れるな」ということです。プラス500ccのエンジンで最高出力184psへの出力アップの余裕は大きく、低速でもトルクフルなエンジンのお陰で“ズボラなシフトチェンジ”でも許容してくれます。「1.5リッターがベスト」というマツダの哲学は理解できますが、これなら「ロードスター」ユーザーの間口はさらに広がるのではないか? と思いました。 トルクフルな印象は、高速道路に入ってからも同じ。本線合流時の加速はもちろんですが、流れに乗って巡行している際、「前方が空いたから少し加速しよう」と思いアクセルペダルを踏み込んだときなども、2リッターエンジンの恩恵を強く実感します。マツダ「MSRロードスター」 筆者が乗る1.5リッター車は、回転数がパワーバンドに入るまでかったるい印象がありますが、「MSRロードスター」ではそのようなもたつき感は少なく、より快適に高速クルージングをこなすことができました。 ドライビングが楽になっていたので「ワインディングではどうかな?」と不安を覚えていたのですが、そういったシーンでは「ロードスター」の美点がそのまま残っていることを確認できました。 排気量が大きくなったことによる重量増のネガを感じさせず、「ロードスター」らしいシャープなノーズの入りは健在。軽快感を味わわせてくれながら、コーナーを駆け抜けていきます。 グランドツーリングカーの雰囲気がアップしながらも、ライトウェイトスポーツの側面はしっかりとそのまま残されているのが印象的でした。回すほどドラマチックながら“全部載せ”には落とし穴アリ!? 続いて、「MSRロードスター 12R」に乗り換えます。コチラは始動した瞬間からエンジンの存在感を強く感じられ、特別なクルマでることを痛感させられます。 アフターパーツのフジツボ製チタンマフラーが装着されていたのも大きいのですが、低速域から「空気をいっぱい吸って、いっぱい排気している」というエンジンの呼吸が強く感じられます。 エンジン回転計には、最高出力の発生回転数である7200rpmのポイントに三角の印がつけられて、そこを目がけて低いギアで加速していくとエンジンサウンドがよりイキイキとしてきて、徐々にパワーも盛り上がってきます。 高回転型の自然吸気エンジンらしい加速フィールは、今ではあまり味わうことができなくなったドラマチックなものです。 さらに加速だけではなく、減速時にもエンジンのよさを感じられるのも印象的。軽量になったフライホイールとヒール・アンド・トゥ時の回転上昇をアシストしてくれる制御のお陰で、エンジンはコーナー進入時に気持ちよく吹け上がり、ブリッピングもバシッと決まります。 パワーアップしているのはもちろんのこと、コントローラブルで“ツキ”がよくなったのもこのエンジンのポイントです。 ただし、「MSRロードスター」の方がいいなと感じるポイントもありました。それはコンフォート性能です。 どちらも路面への追従性やタイヤからのインフォメーションという意味では満足できる仕上がりですが、「MSRロードスター 12R」では突き上げ感が気になるケースが多く、サスペンションが若干、ピーキーであると感じました。マツダ「MSRロードスター 12R」 これは、アフターパーツの「スポーツアライメントキット」による影響と思われますが、同キットに含まれる強化ブッシュが「ロードスター」の美点であるしなやかさを失わせているのではないか? と思います。もしアフターパーツを選ぶのであれば、単に“全部載せ”にするのではなく、吟味する必要がありそうです。* * *「MSRロードスター」は特別な存在だからこそ、「NR-A」オーナーとしてはどうしても厳しい目で見てしまったのですが、今回の試乗でソフトトップ×2リッターエンジンは「選択肢として大いにアリ!」と実感しました。 マツダは現在、「MSRロードスター」の第2弾を検討中とのことですが、今回のファーストモデルからどのように進化を遂げるのか、楽しみに待ちたいと思います。