CX-60を酷評しマツダ嫌いといわれた国沢光宏氏が新型CX-5を大絶賛!! なぜ新型CX-5にできてCX-60にできなかったのか? ハンドリングや乗り心地に関して厳しい評価を受けているCX-60だが、どのあたりが新型CX-5とCX-60は違うのか? なぜCX-5にできてCX-60にはできなかったのか? モータージャーナリストの国沢光宏氏が徹底解説!文:国沢光宏/写真:茂呂幸正【画像ギャラリー】CX-60と新型CX-5の写真をチェック!(14枚)ネガティブな評価は見当たらない新型CX-5マツダのラージ商品群第一弾として2022年9月に登場したCX-60。ボディサイズは全長4740×全幅1890×全高1685mm。ホイールベースは2870mm 良好な乗り心地や上質感などにより、新型CX-5の評価が高い。ネガティブな評価は見当たらないほど。こう書くと「デビュー当時のCX-60も皆さん激賞だった。CX-5も遠からず厳しい評価になるんじゃないか?」みたいに勘ぐる人もいると思う。 私は最初からCX-60に対し厳しかった。マツダ嫌いだと思われるほど。そんな私すらCX-5を褒めてます。素直で良いクルマである。2026年5月21日に発売された新型CX-5。ボディサイズは全長4690×全幅1860×全高1695mm。ホイールベースは2815mm なぜ後から出たCX-5がCX-60より好ましいのか? 以下、少し長い説明になるのでお付き合いを。 新型CX-5のプラットフォームはホイールベースこそ115mm長くなっているけれど先代CX-5を踏襲している。先代も初代の改良版だ。初代CX-5を作ったメンバーといえば、当時CTOだった金井誠太(会長を務め勇退)さんや、番頭役だった金澤啓隆さんといったマツダの危機を救ったみなさんである。 いわゆる『スカイアクティブ』コンセプトだ。ライバルから遅れを取っていたエンジンについていえば「他社並み」に追いついた程度だったものの、サイズの違うクルマを、同じ基本設計で作れる車体&生産技術は素晴らしかった。 初代CX-5がデビューした際、金井さんや金澤さんの言うことを「そんな上手くいかない」と半信半疑で聞いていたけれど、車体はその通りになったと思う。 しかし! 金井さんや金澤さんが現場を離れ、藤原体制になるや「今までのプラットフォーム戦略だと利益率が低い。高く売れるクルマ作りに切り換える!」。 その時点でCX-5以下のFFプラットフォームは廃盤とし、ラージプラットフォームに注力する。もちろんラージプラットフォームの基本設計が良ければ魅力的なクルマになったと思う。されど超エキセントリックだった。 そもそも後輪駆動は直進安定性を確保するためフロントサスペンションはキャスター角を大きく取る(寝かせる)。メルセデスやBMWなど10度近い。CX-60の足回りは厳しい評価乗り心地が固く走りは評価されなかったCX-60 なのにCX-60ってFFのように3.4度程度しか付けておらず。さらにラージプラットフォームを担当した虫谷氏によればリアサスペンションは複数のリンクによりストロークしてもトー変化(左右方向の変化)しないようにしたそうな。 つまり普通なら直進安定性をフロントに担当させるのに対し、ラージはリアで真っ直ぐ走らせようとした。この説明を受けた際、私的に全く理解出来ず反論したことを鮮明に覚えている。 リアで舵を取るフネに乗るとよ~くわかるけれど(修正舵が大きくなります)、直進安定性は前が担当すべきだ。実際、リアサスのトーだってストロークすることで微妙に変化する。 したがってリアサスを動かすと直進安定性が落ちるため、初期を硬くセットアップしたんだろう。硬いまんまだと乗り心地が悪くなる。ストロークし始めた後の減衰力は高くできなかった。 結果、突き上げるような入力を受ける割にストロークすると減衰力不足でフワフワするという厳しい足回りになってしまう。どこが悪いかと言えば、シャシーの基本的なジオメトリーです。CX-60は改良を受けたが高い評価を受けられなかった訳CX-60は2024年12月の一部改良で、電動パワステの制御、前後ダンパー減衰力、ナックル締結ポイント、リアサスのスプリング定数、バンプストッパー、クロスメンバーブッシュなど改良箇所は多岐にわたる。リアスタビライザーも全グレードで廃止 改良しようとしたらフロントサスのアームの取り付け位置から変え、後輪駆動であるロードスターのように7.5度程度のキャスター角を付けることから始めなければならない。 とはいえキャスター角を変えようとすれば、アッパーマウントの位置から見直さす必要など出てくる(取り付け位置を変えないならフェンダーの作り直し)、フルモデルチェンジ並みの変更を余儀なくされる。 だからこそCX-60は何度も小さい改良を受けているのに高い評価を得られていない。 解決策はせめてキャスターを5度台とし、動き始めが滑らかで徐々に減衰力上がっていく高価なダンパーを組み合わせることだと思うけれど、いまだに実現できていないことを考えると難しい? というか、少なからぬ金額になる改良コストを投じても販売台数的に期待できないという状況なんだろう。 そのほか、トルコンレスの8速ATから出る変速ショックをなくせなかったり、ボディサイズの割にリアシートが狭いというロングノーズに偏向したデザインコンセプトだったりするなど、クルマそのものの基本設計からしてCX-60は売れ筋から少し違う方向(それが藤原体制の狙いだった)。 その一方で、すべて素直な初代をさらに洗練させた新型CX-5はみなさんから受け入れられるクルマだと思う。新型CX-5の評価は高い。ハンドルの操舵力を軽くし、走り出しは軽やか。足回りはダンパー減衰の初期応答を高めたうえ、バネレートを低めにすることで路面からの突き上げを抑えた乗り心地を実現