かつて都会派SUVの先駆けとして一世を風靡した日産「ムラーノ」が日本に帰ってきます。2026年3月17日、日産は米国で生産するSUV「ムラーノ」を日本市場に導入し、2027年初頭より販売を開始すると発表しました。実に約12年ぶりとなる国内復活です。【画像ギャラリー】あのムラーノが日本に帰ってくる!! 12年ぶりに国内復活することが明らかになった日産のSUV「ムラーノ」(19枚) しかも、北米で磨かれた最新モデルを、大きく手を加えることなく「ほぼそのまま持ってくる」というこれまでにない手法が採られるとのこと。はたしてこの「北米基準」のムラーノは、日本のユーザーにどのように受け入れられるのか。その実力と「日本での立ち位置」を徹底解剖します。文:吉川賢一/写真:NISSAN制度変更で現実になった「逆輸入SUV」 日産「ムラーノ」は2002年に初代モデルが登場した、2列シート5人乗りのラージサイズクロスオーバーSUVです。北米専売車として開発されたものの、そのデザインの斬新さが日本でも話題となり、2004年に日本でも販売が開始に。その後2008年には2代目へと引き継がれましたが、2015年に登場した3代目は日本へ導入されず、国内では2代目の終了をもって販売終了となっていました。 現行モデルは2024年11月に発表となった4代目。歴代ムラーノが築いてきたスタイリッシュなクロスオーバーというキャラクターを受け継ぎながら、最新世代らしい装備と走行性能を備えたモデルです。この最新モデルが、「北米仕様そのまま」のパッケージで日本市場へ投入される見込みです。 この大胆な決断を後押ししたのが、2026年2月に国土交通省が創設した「米国車認定制度」です。一定条件を満たせば日本の保安基準に適合するとみなす方針を示したもので、これにより、これまでコストや法規対応の面で難しかった北米仕様車の導入ハードル大きく引き下げられました。これによって、約12年ぶりとなるムラーノ復活が実現することになったのです。クーペのように流れるルーフラインと水引モチーフのグリルが特徴の新型ムラーノ。SUVらしい力強さとエレガンスを高次元で融合したデザインだ中身はガチで北米仕様!! 装備も走りも「向こう基準」の実力 最新型ムラーノのエクステリアは、最新の日産デザイン「デジタル・Vモーション」を採用。水引モチーフのグリルや、流れるようなメッキラインによって、SUVでありながらクーペのような伸びやかなシルエットを実現しています。インテリアも、日産の最新モデルでお馴染みのデュアルディスプレイに加え、アンビエントライトやベンチレーション機能とマッサージ機能付きフロントシート、シートヒーター付きリアシートなど、ラグジュアリーSUVを好む北米ユーザーの期待に応える内容となっています。 パワートレインは、最高出力244PS(241hp)、最大トルク352Nm(260lb-ft)の2.0L直4 VCターボに9速AT(パドルシフト付き)を組み合わせたFF車または4WD。このVCターボは、e-POWERと組み合わせているエクストレイルとは異なり、ガソリンエンジン車のフィーリングを味わえる貴重なユニット。乗り心地の質感向上のための周波数感応型ダンパーや、ハンドリング質感アップに貢献する新型EPSも採用されています。 もちろん、先進運転支援システムの「ProPILOT Assist2.1」(日本名:プロパイロット2.0)をはじめとした安全装備や快適装備も充実。この新型ムラーノは北米では高い評価を受けており、J.D.パワー「2026年米国自動車耐久品質調査(VDS)」において、2年連続でもっとも信頼性の高いミッドサイズSUVに選出されています。スペックだけでなく実使用環境における信頼性の高さも強みといえそうです。最新の日産デザイン「デジタル・Vモーション」を採用。北米市場を主戦場とするモデルらしく、存在感の強いフロントフェイスに仕上がっているデュアルディスプレイやアンビエントライト、マッサージ機能付きシートなど、装備は完全に北米基準のプレミアムSUV的な仕立てだデカい!! 高い!! でも魅力的!? 現在、国内日産のSUVラインアップは「エクストレイル」と「キックス」、そしてBEVの「アリア」「リーフ」という布陣。2027年には本格クロカンの「パトロール」導入も控えていますが、ここにムラーノが加わることで、停滞気味だった日産のショールームが一気に華やぐことは間違いありません。 ただ、正直なところ、販売面で貢献してくれるかは微妙なところ。まず立ちはだかるのが、そのボディサイズです。全長約4,900mm(192.9inch)、全幅1981mm(78.0inch)というサイズは、日本の都市部では扱いやすいとはいいがたく、最小回転半径も約5.8m(回転直径38.1feet)と、お世辞にも小回りが利くとはいえず、取り回しの面でハードルが高いのは否めません。燃費も、北米複合モードで23MPG(約9.8km/L)は厳しいといえます。 価格も不安材料です。北米での価格(約4.1万ドル〜5万ドル、約620万円~約750万円)に昨今の為替状況や輸送コストを上乗せすれば、日本でのプライスは「約650万〜820万円」あたりが現実的なライン。もはや、レクサスや欧州車と競合する「準輸入プレミアムSUV」という立ち位置になります。 これらを考えると、ムラーノが爆発的ヒットとなることは考えにくいのが正直なところ。ただ、従来の国産SUVとは明確に異なるキャラクターを持つ選択肢として、一定の存在感を放つ可能性は十分にあると考えられます。 こうした北米生産車の国内投入に関しては、トヨタがハイランダーとカムリ、タンドラの3車種、ホンダもパスポートとアキュラブランドのインテグラタイプSの2車種を輸入すると発表しており、制度変更を追い風に今後増えていく可能性があります。これまで難しかった「海外仕様そのまま」の導入が現実的になったことで、メーカーとしては効率的にラインアップを拡充することができ、ユーザーとしても国産メーカーの信頼性を持ちながら、輸入車のような個性やサイズ感を選べるという、新たな選択肢を手にすることになります。2027年初頭とされるムラーノの日本復活が非常に楽しみです。全長約4900mmのボディと北米価格帯を考えると、日本では“準輸入プレミアムSUV”という立ち位置。万人向けではないが強い個性を持つ1台だ