カワサキ「GPZ900R」の系譜|時速250kmの世界を切り拓いた最強最速の初代ニンジャ【バイクの歴史】
カワサキの名車「GPZ900R」の初代は1984年に登場し、2024年にNinjaブランドは40周年を迎えた。この記事では初代「GPZ900R」の特徴と、後継機種について紹介しよう。
まとめ:オートバイ編集部

カワサキ「GPZ900R」の特徴

Kawasaki GPZ900R 1984年・輸出車総排気量:908.2cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:780mm 乾燥重量:228kg
素性の良さと高性能で約20年ヒットを続けた
900スーパー4(Z1)の登場以降ビッグバイク市場をリードしてきたカワサキだったが、そのZ1から派生した空冷DOHC2バルブエンジンでは高性能化に限界があり、1980年代に入るとカワサキは「次世代のZ1」を模索するようになる。そして誕生したのがGPZ900Rだった。
カムチェーンを左サイドに置くことで吸気のストレート化とクランクの剛性アップ、エンジン全体のコンパクト化を果たした908.2cc水冷4気筒は115PSを発揮。車体もダウンチューブを廃したダイヤモンドフレームでコンパクトに仕上げた。

画像: カワサキ「GPZ900R」の特徴
開発に当たって目指したのは世界最速の新たなフラッグシップ。初採用のフルカウルは空力性能にも優れ、最高速は250km/hに到達、世界最速の称号はライダーの羨望を集め、北米市場の要望で付けられた「ニンジャ」のペットネームも大好評を博した。
バイクブームを受けて逆輸入という手法が盛んになった時期と重なり、日本市場でもGPZ900Rは大ヒット。2003年の生産終了まで世界中で愛され続けた。
カワサキ「GPZ900R」の注目ポイント

初代のA1は欧州向けがレッドとブルーの2色。ニンジャのペットネームを持つ北米仕様はレッドのみだった。撮影車は欧州仕様のGPZ900R。

これは初期型A1の透視図。ダウンチューブを廃したフレームやサイドカムチェーンなど、コンパクト化への工夫が見て取れる。

高張力鋼管とアルミのシートレールを組み合わせた構造で、エンジンそのものを強度メンバーの一部とするダイヤモンドフレームを採用。

フロントカウルは空冷GPzシリーズのデザインに通じるものを採用。空力特性に優れ、高速性能の向上に大きく寄与した。

インパネは左右非対称で左に大きなタコメーター、右にやや小ぶりなスピードメーターを配置する。その左右には燃料計と水温計を設置。

エンジン自体のコンパクト化と吸気のストレート化に有利なサイドカムチェーン方式を採用している。排気量は908.2cc、パワーは115PS。

16インチフロントホイールにアンチノーズダイブ機構のAVDSも備える。1990年のA7からホイールは17インチ化され、キャリパーも変更された。

スイングアームはアルミ製、チェーンアジャスターはエキセントリックカム方式。ステッププレートは強度メンバーも兼ねたアルミ製。

シートは肉厚のダブルシートが採用され、スーパースポーツでありながら実用性も重視された作りとなっていた。グラブバーも大型のものを装備。

テールカウルサイドの荷掛けフックやフラットな座面のタンデムシートなど、ツーリングユースも考慮した使い勝手の良さも魅力。
カワサキ「GPZ900R」の動画・写真
カワサキ「GPZ900R」の主なスペック
カワサキ「GPZ900R」の系譜
GPZ900R(A1)/1984年

輸出車
初代モデル。コンパクトなサイドカムチェーン式の水冷DOHC4気筒ユニットを採用。これにエンジンを強度部材の一部としたスチールダイヤモンドフレームを組み合わせ、軽快な操縦性と優れた高速安定性を実現。パワーは実に115PSを誇り、空力特性に優れたフルカウル効果もあいまって、最高速は240km/hを突破。見事に世界最速の座を手にした。写真は「ニンジャ」の名を冠したUS仕様。
GPZ900R(A2)/1985年

輸出車
映画『トップガン』の劇中車のベースとなったエボニー×レッドのカラーがUS仕様に登場。南ア向けにはライムグリーンも登場した。
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GPZ900R(A3)/1986年

輸出車
シリーズイメージの共通化が図られ、GPZ600R/400Rと同様のカラーグラフィックが採用された。性能やスペックに変更はない。
GPZ900R(A4)/1987年

輸出車
鮮やかなファイアークラッカーレッド×ギャラクシーシルバーのニューカラーが登場。主なスぺックに変更はない。
GPZ900R(A5)/1988年

輸出車
人気色のひとつとなるエボニー(ブラック)×パールコスミックグレーが追加され、カラーラインアップは3色になった。
GPZ900R(A6)/1989年

輸出車
フロント16インチモデルの最終型。エボニーの車体色はグラフィックとホイールのカラーがゴールドとなり、精悍さを増した。
GPZ900R(A7)/1990年

輸出車
初めての大規模モデルチェンジ。フロントホイールを17インチ化、フロントフォークやメーターも新作。パワーは108PSとなった。
GPZ900R(A8)/1991年

発売当時価格:79万9000円
国内での排気量上限撤廃を受けて初の国内仕様が登場。A7ベースで最高出力は86PS、最終減速比やキャスターも変更されている。
GPZ900R(A9)/1992年

発売当時価格:79万9000円
A9は国内仕様のみが用意され、初期型イメージのカラー2色をラインアップ。海外向けはA8のまま販売された。
GPZ900R(A10)/1993年

発売当時価格:79万9000円
ホイールのカラーをシルバーに変更。この後5年間、モデルコードを変えずに継続生産、販売が続く。海外向けはA8を継続販売。
GPZ900R(A11)/1998年

発売当時価格:79万9000円
海外仕様はマレーシア向けのみとなり、国内仕様とカラーリングも共通となった。スペックなどはA10から変更はない。
GPZ900R(A12)/1999年

発売当時価格:79万9000円
国内仕様最終モデル。フロント6ポットキャリパー、、リアガスショック、ラジアルタイヤなどを採用し、装備の充実が図られた。
GPZ900R(A13)/2000年

輸出車
この年からマレーシア仕様のみとなる。イエローの新色は1999年の東京モーターショーで参考出品され、好評だったカラーリング。
GPZ900R(A14)/2001年

輸出車
フロント16インチ時代の最終型・A6イメージのブラックとライムグリーンの2色をラインアップ。スペック等に変更はない。
GPZ900R(A16)/2003年

輸出車
二次エア導入装置を追加したのがA15で、最終モデルのA16は初期型イメージのA11と同様のカラーリング。生産は6月まで行われた。
まとめ:オートバイ編集部
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