RX-7 ファミリア スープラ セリカ…… 偉大な功績を残した絶版車たち│前編【ベストカーアーカイブス2014】
RX-7 ファミリア スープラ セリカ…… 偉大な功績を残した絶版車たち│前編【ベストカーアーカイブス2014】
ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は彼らナシに現代のクルマは語れない!? 偉大な功績を残した絶版車たち 消え去った栄光のクルマたちを振り返る!(本稿は「ベストカー」2014年3月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:斎藤 聡、片岡英明
【画像ギャラリー】RX-7 ファミリア スープラ セリカ…… 偉大な功績を残した絶版車たち│前編(13枚)
■日本一美しい孤高のロータリー マツダ RX-7(1978~2002年)
美しいスタイルにどこまでも回るロータリーエンジンを搭載したFD3S型RX-7の魅力は今も色褪せない
美しいスタイルにどこまでも回るロータリーエンジンを搭載したFD3S型RX-7の魅力は今も色褪せない
ロータリーのマツダ、スポーツカーのマツダを形にしたのがRX-7。1978年登場の初代SA22C型サバンナRX-7は、12A型ロータリーエンジンを搭載したライトウェイトスポーツカーだった。
1983年のMCで12A型ターボが登場。2代目となるFC3S型が登場するのは1985年。ボディがひと回り大きくなり、リヤマルチリンクサスを採用。エンジンは13B型ターボとなった。3代目となるFD3S型の13B型ロータリーターボは、シーケンシャルターボが採用され、255ps、5型では280psまでパワーアップする。
RX-7はマツダの代名詞といってもいいクルマであり、マツダのすべてが詰まっていたといっても過言ではない。進化を続けていたロータリーエンジンはもちろんのこと、足回りのセッティングも同様だった。サスペンションのセッティングは、当初ハードでシビアだった。
マイナーチェンジするごとにスイートスポットが狭くシビアになっていった。そして5型になって280psを得たのを機に、セッティングを180度変更。しなやかなサスペンションセッティングへと変わった。
速さとコントロール性を両立するためのマツダの足回りの方向性が明確に定まったターニングポイントだった。(TEXT/斎藤 聡)
写真は13B型ロータリーエンジン。この後RX-8のRENESIS REへと引き継がれる
写真は13B型ロータリーエンジン。この後RX-8のRENESIS REへと引き継がれる
●RX-7の功績……今のマツダ車の足回りにおける方向性を定めた
■国産4WDターボハッチの祖 マツダ ファミリア(1967~2004年)
日本初のフルタイム4WDを採用した6代目ファミリア
日本初のフルタイム4WDを採用した6代目ファミリア
マツダは1980年にFF方式にレイアウトを変えたファミリアを発売した。電動サンルーフを装備した赤いファミリアXGを中心に大ヒットを飛ばしたが、正常進化させたFF2代目は販売が伸び悩み、不人気車のレッテルを貼られてしまった。
だが、今の視点で見ると高く評価されるクルマと言えるだろう。今につながるフルタイム4WDの流れを作ったのが、このファミリアだ。
1985年秋、日本で初めてフルタイム4WDを採用してデビューしたが、マスコミを驚かせたのはファミリア1600GT-Xだ。1.6Lの4気筒DOHCエンジンにインタークーラー付きターボを装着し、パワーで押し切る「スポーツ4WD」の時代を切り開いた。
ファミリア4WDターボは高いスタビリティ能力を武器に、群を抜く速い走りを見せつけている。リッター当たり100psを超えるハイパワーエンジンを積み、4輪ストラットのサスペンションチューニングにも徹底してこだわったのは、世界ラリー選手権(WRC)に参戦する計画が進んでいたからだ。
マツダは1986年にファミリア4WDターボをWRCの舞台に送り込み、2年目の1987年には早くも優勝を勝ち取っている。
このクルマを開発したから4WDだけでなくサスペンションもボディも大きく進化した。(TEXT/片岡英明)
●ファミリアの功績………スポーツ4WDの歴史を切り開いた。
■「THE SPORTS OF TOYOTA」トヨタ スープラ(1978~2002年)
A80スープラのターボは最大46kgmの分厚いトルク
A80スープラのターボは最大46kgmの分厚いトルク
ルーツは1978年登場のセリカXX。国内ではA70型、通称70スープラが初代となる。当初搭載されていたエンジンは7M-GTEU型3Lターボで230psを発揮。240psにパワーアップした後、2.5Lツインターボで280psを発揮する1JZ-GTE型にチェンジ。
A80型スープラ(80スープラ)は1993年に登場。スカイラインGT-R、三菱GTOといったハイパワースポーツ全盛期。80スープラはトヨタを代表するハイパワースポーツモデルだった。
この時得たハイパワーFRのためのノウハウは、少なからず現在のトヨタのハイパワーFRモデルに生かされている。
またリアの左右のダンパーをオイルラインでつないだダンパーシステムは、リアのトラクション性能を大幅に高める効果を持ち、FRハイパワースポーツの足回りとして高く評価できる、またこのスープラは現在もトヨタのテストドライバーの訓練用車両として活躍している。(TEXT/斎藤 聡)
●スープラの功績……トヨタのハイパワーFRのノウハウが培われた
■プレリュードを脅かしたFRデートカー 日産 シルビア(1965~1968年、1975~2002年)
S13シルビアは若者に人気を博した
S13シルビアは若者に人気を博した
シルビアは好調と不調の波が激しいクルマだ。最もヒットしたのは「S13」の型式を持つ5代目シルビアだ。
FRならではの痛快な走りに加え、その美しいデザインに惚れ込む人も多かった。また、180SXという兄弟車も生んだが、こちらもヒット作となっている。
S13シルビアはリアにマルチリンクのサスペンションを採用し、4輪操舵のハイキャスも設定した。俊敏なフットワークで、運転するのが楽しい。1.8Lの4気筒DOHCとDOHCターボもパワフルだ。3連のプロジェクターヘッドランプも話題をまいた。
だが、これに続くS14シルビアは鳴かず飛ばずに終わり、スペシャリティカーブームの幕引きを演じている。6代目シルビアの特徴は、3ナンバーのワイドボディを採用したことだ。全幅を40mm広げているが、キャビンは広くなっていないから、ただのデブになってしまった。
だが、ワイド化したことによって利点も生まれた。操縦安定性がよくなったことがそのひとつ。エンジンに採用した可変バルブタイミングコントロール機構も今では常識のメカだ。(TEXT/片岡英明)
●シルビアの功績……S13はスペシャリティカーブームを牽引した
■“ハチロク”を生んだ手軽なFRスポーツ トヨタ レビン/トレノ(1972~2000年)
写真はAE86カローラレビン。AE86以後レビン/トレノはFFに
写真はAE86カローラレビン。AE86以後レビン/トレノはFFに
カローラレビン、スプリンタートレノという名前で、カローラと兄弟車であるスプリンターに2T-G型DOHC(2バルブ)を搭載したのがこのシリーズの始まり。コンパクトなボディにハイパワー(当時)なエンジンを搭載したホットモデルで、トヨタのモータースポーツと切っても切れない関係にある。
TE27の後、TE37からAE111までどのモデルもラリーやレースなどモータースポーツシーンで活躍。日本の有名レーサー、ラリーストの多くが、レビン/トレノでモータースポーツを経験し、育てられたといっても過言ではない。
なかでもAE86は伝説的なモデル。素のハチロクはドリフト中にアンダーになったりオーバーになったりかなり忙しい操縦性だった。ただモータースポーツに多く使われたことからパーツが豊富に開発され、ボディ剛性アップから操縦性の改良、クロスミッション、さらにはエンジンのパワーアップまでさまざまなパーツ、チューニングメニューが用意されていた。
AE86当時は1.6Lを区切りにしたラリーやレースが多数あり、ライバルのシビックと熱いバトルが繰り広げられ、必然的にハチロクは脚光を浴びる存在となった。またTE71までに搭載されていた2T-GEU型の2バルブDOHCに対し、ハチロクは4A-GEU型の4バルブエンジンだった事も人気を集めた理由のひとつだろう。(TEXT/斎藤 聡)
●レビン/トレノの功績……日本のモータースポーツ文化を支えてきた
■WRCを席巻したスペシャリティクーペ トヨタ セリカ(1970~2006年)
写真は6代目セリカGT-FOUR。WRCの活躍もあり、まさにセリカの黄金期のモデル
写真は6代目セリカGT-FOUR。WRCの活躍もあり、まさにセリカの黄金期のモデル
日本初のスペシャルティカーとして1970年に登場したセリカは、2年後の1972年からWECに参戦。3代目になってDOHCターボエンジン(3T-GTEU型)を搭載。グループBカーのホモロゲーションモデルとして排気量を1770ccから1791ccに拡大した4T-GTEU型エンジン搭載のGT-TSを発売。1984、1985、1986年のサファリラリーで優勝したほか、1983年と1985年のコートジボワールラリーでも優勝。
4代目からはFFとなるがGT-FOURという4WDモデルが用意され、グループBに代わってはじまったグループA規定によるWRCに投入。1990年にはカルロス・サインツのドライブによって日本車初のドライバーズタイトルを獲得。
ちょっと前のインプレッサWRXやランエボほどラリーのイメージは強くなかったが、どのモデルも先進的でスポーティで速いというイメージがあった。これはWRCなどラリーシーンでの活躍がバックボーンになっていたのだろう。(TEXT/斎藤 聡)
●セリカの功績……WRCなど世界的なラリーシーンでの活躍
■まだまだある! その魂が受け継がれし絶版車たち
●マツダ ランティス ※各車のスペックは末尾※のグレードのもの
マツダ ランティス(生産期間:1993~1997年)……全長×全幅×全高:4245×1695×1355mm/エンジン:2L、V6 DOHC/最高出力:170ps/7000rpm/最大トルク:18.3kgm/5500rpm/駆動方式:FF/車重:1200kg/トランスミッション:5MT ※クーペタイプR
マツダ ランティス(生産期間:1993~1997年)……全長×全幅×全高:4245×1695×1355mm/エンジン:2L、V6 DOHC/最高出力:170ps/7000rpm/最大トルク:18.3kgm/5500rpm/駆動方式:FF/車重:1200kg/トランスミッション:5MT ※クーペタイプR
1990年代初頭の元気なマツダのなかでも最も傑出したモデルのひとつ。2L、V6エンジンの回り方などクラスを越えた上質感だった。また、ABSやエアバッグなど安全性にも力を入れていた。当時としてデザインやメカニズムは世界的にみても最高レベルで、現代のマツダ車のデザインのよさやスポーティさの源流にあるといえ、そうした意味で功績を残したといえる。(片岡英明)
●ホンダ プレリュード
ホンダ プレリュード(生産期間:1978~2001年)……全長×全幅×全高:4520×1695×1295mm/エンジン:2L、直4DOHC/最高出力:145ps/6000rpm/最大トルク:17.8kgm/4500rpm/駆動方式:FF/車重:1140kg/トランスミッション:5MT ※3代目Si 4WS
ホンダ プレリュード(生産期間:1978~2001年)……全長×全幅×全高:4520×1695×1295mm/エンジン:2L、直4DOHC/最高出力:145ps/6000rpm/最大トルク:17.8kgm/4500rpm/駆動方式:FF/車重:1140kg/トランスミッション:5MT ※3代目Si 4WS
2代目プレリュードは「走りのいいクルマはFR」という当時の常識を覆し、FFでも走りのいいスペシャリティカーというジャンルを切り開いた功績を残したクルマ。またスポーツカー=MTが全盛だった時代にATをラインアップし、そのATも積極的にシフトチェンジするのが楽しい走りのATだった。いっぽうデザインもオシャレでデートカーとしてのよさも持ち合わせたクルマだった。(片岡英明)
●日産 180SX
日産 180SX(生産期間:1989~1998年)……全長×全幅×全高:4540×1690×1290mm/エンジン:2L、直4DOHCターボ/最高出力:205ps/6000rpm/最大トルク:28.0kgm/4000rpm/駆動方式:FR/車重:1200kg/トランスミッション:5MT ※タイプR
日産 180SX(生産期間:1989~1998年)……全長×全幅×全高:4540×1690×1290mm/エンジン:2L、直4DOHCターボ/最高出力:205ps/6000rpm/最大トルク:28.0kgm/4000rpm/駆動方式:FR/車重:1200kg/トランスミッション:5MT ※タイプR
S13シルビアの派性モデルとして3ドアクーペが欲しいユーザーをうまく取り込んだモデル。実際に乗ってみると前後のバランスがよくとても素直なクルマで、走る人を育てるという功績を残したといっていい。それは同時に180SXが高い運転技術が生きるクルマだったということも意味する。スタイリッシュでかつ走るクルマとして180SXは功績あるクルマだった。(斎藤聡)
●三菱 FTO
三菱 FTO(生産期間:1971~1975年、1994~2000年)……全長×全幅×全高:4365×1735×1300mm/エンジン:2L、V6DOHC/最高出力:200ps/7500rpm/最大トルク:20.4kgm/6000rpm/駆動方式:FF/車重:1200kg/トランスミッション:5AT ※GPバージョンR
三菱 FTO(生産期間:1971~1975年、1994~2000年)……全長×全幅×全高:4365×1735×1300mm/エンジン:2L、V6DOHC/最高出力:200ps/7500rpm/最大トルク:20.4kgm/6000rpm/駆動方式:FF/車重:1200kg/トランスミッション:5AT ※GPバージョンR
三菱のFFスポーツを代表したのがFTO。ミラージュよりもさらにスポーツに特化したモデル。コーナリングでのオンザレール感覚が象徴するように、究極のハンドリングマシンだった。FFスポーツのなかでも傑出したコーナリング性能を持つ極めてレベルの高いモデルとしての功績は大きい。ギャランクーペFTOのイメージを持つ人をもくすぐるクルマだ。(斉藤聡)
●ホンダ インテグラ
ホンダ インテグラ(生産期間:1985~2006年)……全長×全幅×全高:4525×1695×1365mm/エンジン:1.8L、直4DOHC/最高出力:200ps/8000rpm/最大トルク:19.0kgm/6200rpm/駆動方式:FF/車重:1140kg/トランスミッション:5MT ※初代タイプR(4ドア)
ホンダ インテグラ(生産期間:1985~2006年)……全長×全幅×全高:4525×1695×1365mm/エンジン:1.8L、直4DOHC/最高出力:200ps/8000rpm/最大トルク:19.0kgm/6200rpm/駆動方式:FF/車重:1140kg/トランスミッション:5MT ※初代タイプR(4ドア)
インテグラのなかでも特に功績が大きいのは初代タイプR。走りはヤンチャで、暴れるのを抑え込み“操っている感”満載のとにかく運転がおもしろいモデルだった。速さとおもしろさを追求したホンダらしいクルマで、存在感は圧倒的に高かった。このクルマのおもしろさが一気にタイプRの“凄さ”を世に知らしめデビューこそ先だがNSXまで膨らんだという意味で、その功績は大きい。(斉藤聡)
●トヨタ ソアラ
トヨタ ソアラ(生産期間:1981~2005年)……全長×全幅×全高:4675×1725×1345mm/エンジン:3L、直6DOHCターボ/最高出力:240ps/5600rpm/最大トルク:35.0kgm/3200rpm/駆動方式:FR/車重:1530kg/トランスミッション:4AT ※2代目3.0GTリミテッド
トヨタ ソアラ(生産期間:1981~2005年)……全長×全幅×全高:4675×1725×1345mm/エンジン:3L、直6DOHCターボ/最高出力:240ps/5600rpm/最大トルク:35.0kgm/3200rpm/駆動方式:FR/車重:1530kg/トランスミッション:4AT ※2代目3.0GTリミテッド
特に2800GTは当時の国産車としては最高に速くかつ、気持ちよく回りパンチのあるエンジンだった。いっぽうスポーツカーに比べ、肩の力を抜いても乗れるプレステージ性の高いスペシャルティカーとしての功績も大きい。またデジタルメータの採用など内装での革新的なトライもソアラの残した功績だ。(片岡英明)
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)
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