2026年のレギュレーション変更によって生まれた新世代のF1マシンは、鈴鹿サーキットの第1セクターの攻略方法を大きく変えた。 ダウンフォースの減少によりコーナリングスピードが低下するだけでなく、ドライバーはブレーキペダルをほとんど踏まなくなった。パワーユニット(PU)の電気エネルギーへの依存度が高まったことから、エネルギー回生を最大化するために、ハイブリッドシステムが減速(回生ブレーキ)を担っているからだ。 鈴鹿は長年、その美しいレイアウトで人々を魅了してきた。中速から高速のコーナーが連続し、ドライバーだけでなく観戦するファンにとっても息を呑むようなサーキットだ。しかし新しいPUの導入により、鈴鹿でのドライビングスタイルも変わり、他のサーキット以上にその変化が顕著に表れている。 まず、鈴鹿にはハードブレーキングをするポイントが少ない。そのため、バッテリーを充電する機会が限られる。さらに、安全上の理由からアクティブエアロのストレートモードが使えない区間もある。このためFIAは、少なくとも予選において回生可能なエネルギーの上限を9MJから8MJに引き下げた。 これにより、リフト&コーストやスーパークリッピングは減ると見られるが、各チームは依然としてこの8MJを最大限活用する必要があり、どこでどのように回生するかを見極めなければならない。その鍵となるのが第1セクターだ。この区間は昨年、再舗装によりグリップが向上。コーナリングスピードも上がっていた。 George Russell, Mercedes しかし今年は状況が一部逆転している。まず新型マシンはダウンフォースが少なく、特に昨年までのグラウンドエフェクトカーが得意としていた中高速コーナーでは、同じペースを維持するのが難しい。そして前述したように新PUによってアプローチ自体が変化しているのだ。 この違いはS字コーナーへの進入ですでに現れている。単にダウンフォースの差だけでなく、2コーナー立ち上がりでどれだけエネルギーを使うかが影響する。すぐに連続コーナーへ入るためエネルギーを温存するドライバーもいれば、エネルギーを多く使って高い進入速度を得るアグレッシブな選択をするドライバーもいる。 ドライビングスタイルは大きく異なるが、さらに興味深いのは、MGU-Kが実質的なブレーキとして使われている点だ。減速だけでなくアンダーステアの軽減にも寄与し、さらにラップ後半で使うためのエネルギー回生も行なう。これは完全に新しい特徴というわけではないが、MGU-Kの出力・回生能力が3倍になったことで、その影響は格段に大きくなっている。 当然ながら、昨年ダウンフォースが大きかったレッドブルやマクラーレンはブレーキへの依存が比較的少なかった。一方でフェラーリやメルセデスのようにダウンフォースが不足していたチームは、フロントのグリップ不足を補うため、ブレーキとアクセルの両方を使ってターンインやコーナリング中にマシンを安定させる必要があった。 Comparison Leclerc Suzuka 2025-2026 フェラーリを例に比較すると、今季はこのセクションでブレーキペダルはほとんど使われていない。MGU-Kが減速の大半を担い、ドライバーがペダルを踏まずともマシンの回頭性を助けている。 昨年は6速で通過していた区間も、今年は約25km/h遅く、より低いギヤとスロットル開度で走行している。それでもエンジン回転数は高く保たれている。この変化は驚くべきものではない。 FIAは特定の区間(今回のターン3から6の間)を、ドライバーがアクセルを踏んでいてもMGU-Kが駆動力を供給せず、回生モードのままとなる特別な区間に指定している。これはその区間のパフォーマンス制限要因がエンジン出力ではなくグリップや空力負荷であるためで、FIAは電動出力を実質的にゼロにして回生を続けることを認めているのだ。 これによりエネルギーを後半区間に温存でき、実際にターン6出口ではターン3入口より多くのエネルギーを保持しているケースも見られる。実質的には市販電気自動車の「ワンペダルドライブ」に近い挙動で、アクセルオフ時に電動モーターが回生と制動の両方を担う。 これは、このセクションでのアプローチが全く新しくなったことを意味する。今季のドライバーたちはブレーキを踏まず、アクセルコントロールでS字区間を駆け抜けていく。スロットル操作の感覚自体は大きく変わらないが、内部で起きていることは根本的に異なる。電動モーターの使い方が変わり、機械式ブレーキをほぼ置き換えているからだ。この点についてウイリアムズのカルロス・サインツJr.は「最悪ではないが、以前とは違う。F1はこうあるべきではない」と語っている。 シャルル・ルクレール(フェラーリ)のセクター1のGPSデータを昨年と比較すると、ターン3で時速27km、その後の連続コーナーでも時速25km前後、通過スピードが遅くなっている。 130Rへのアプローチも変化した。コーナリングスピード自体は大きく変わらないが、その到達方法が異なる。電動モーターのアシストがなくなることでディレーティング(出力制限)が発生し、130Rに進入する前に速度が落ちていく。最高速はより早い段階で記録され、アクティブエアロの効果もあって時速20km以上高くなっているが、その後はシケインに向けて時速50km以上落とす長い減速区間が続く。 予選では、ドライビングがよりアグレッシブになるかもしれないが、昨年までの走り方とは一線を画するモノであるのは間違いないだろう。【PR】2026年のF1を見るならFOD。至極の体験『F1 TV』連携プランも!関連ニュース:F1まだ予選も決勝もやってないのに……F1日本GP、金曜日に7万5000人が来場し2日間で10万人動員F1異常振動に苦しむも、実に過激なデザイン……アストンマーティンAMR26のフロントサスペンションはすごかった友だち追加 Follow @MotorsportJP