かつてはパワーの象徴ともいわれたターボチャージャー。しかし、現在のターボは以前とは異なり、パワーよりもむしろ効率アップに活用されている。そんな最新ターボ事情を見ていくと同時に、入手しやすい現行ターボモデルを紹介しよう。【画像ギャラリー】現行ターボ車、面白すぎ!(14枚)文:長谷川 敦/写真:スズキ、ダイハツ、トヨタ、日産、フォルクスワーゲン、三菱自動車、Adobe Stockなぜターボは復権したのか?1983年に登場した日産 スカイライン ハードトップ2000 ターボRS。この時代の国産車ではターボ装着がブームになり、数多くのターボ車が販売されていた ガソリンエンジンのような内燃機関で、排気ガスの熱エネルギーを利用してパワーを向上させる機構がターボチャージャー(ターボ)だ。 ターボは、本来はエンジン外部に排出されるだけだった排気ガスのエネルギーでタービンを回し、より大量の空気を燃焼室に送り込むことによってパワーを得るもので、20世紀には特に高性能スポーツカーでの採用例が多かった。 当時のターボは純粋にエンジンの出力向上のために用いられていたが、やがて時代は進み、ハイブリッド車に代表されるようなエコ重視のテクノロジーの台頭により、パワーアップ目的のターボは衰退傾向にあった。 とはいえ、排気エネルギーを再利用するターボには、パワーアップ以外にもエンジン全体のエネルギー効率を向上できるというメリットもあり、近年になってその点が再び評価されることになった。 パワーではなく効率重視方向にターボを使用するのであれば、それは現代のエコ社会にもフィットすることになり、市販車のターボに再び注目が集まっている。登場! ダウンサイジングターボTSIエンジンを搭載したフォルクスワーゲン ゴルフGT(2006年)。ツインチャージャーエンジンを搭載した、ダウンサイジングターボ車の先駆け的存在 ターボを装着したエンジンは燃費が悪くなるといわれていたが、これは一面では事実であるものの、それがすべてとはいいきれない。 かなり乱暴な表現になるが、ターボは過給によってエンジン排気量を疑似的に大きくするシステムであり、小排気量エンジンであっても大排気量並みのパワーが得られた。 しかし、大きな排気量のエンジンは必然的に大量の燃料を消費することになり、これが燃費性能を低下させる。 このことを逆に考えると、スポーツカーではなく一般車のエンジンを小さくして、これにターボを装着すれば通常のエンジンと同等のパワーを確保でき、なおかつ小排気量のメリットである低燃費も両立できる。 これがダウンサイジングターボの考え方だ。 ダウンサイジングターボの登場は21世紀に入ってからで、早期にこのシステムを採用したのがフォルクスワーゲン(VW)のTSIエンジンだった。 2006年にVW ゴルフに搭載されたTSIエンジンは、1.4リッターの直4エンジンにターボとスーパーチャージャー(排気ガスではなくクランクシャフトの回転で過給を行う)を装着して大型のエンジンに匹敵する性能を発揮した。 TSIエンジンが評価されたため、VWはシングルターボ仕様や1.2リッターのTSIエンジンを登場させた。 なお、TSIエンジン以前にもダウンサイジングターボ的な思想のエンジンは存在していたが、世界にこのコンセプトを広めたのはTSIエンジンだといえる。 ところで、ベテランの読者にはターボ車=高額というイメージがあるかもしれないし、実際に、先に発表されたGR GTのように、高性能だが高価格が予想されるターボ車は現代でも存在する。 そのいっぽうで新世代のターボ車には手頃な価格で購入できるものも多い。 次項ではそうした高コストパフォーマンスの国産ターボモデルを見ていきたい。入手しやすい現行国産ターボ車3選●ダイハツ コペンGR SPORTダイハツ コペン GR SPORT。ダイハツ車だが、トヨタのGazoo Racingとのコラボレーションで誕生したモデル。660cc直3ターボエンジンが搭載される ダイハツ製の2シーター軽スポーツカーがコペンで、現在は2014年登場の2代目モデルが販売されている。 エンジンは660cc直3タイプにターボを装着して、64psを発生しながら18.6km/Lの燃費性能を誇る。 現行型コペンには3タイプのグレードが用意されていて、最上級のGR SPORTは、その名称どおりダイハツの親会社であるトヨタのGazoo Racing(GR)とのコラボレーションモデルだ。 コペンGR SPORTにはアルミホイールやレカロ製シートの標準装備に加え、足回りにもチューニングが施されるため、車体価格も250万円を超えるが、それだけの価値は十分にある。 ダイハツでは現行コペンの生産を2026年8月で終了することを発表しているため、新車で入手できるチャンスは残り少ない。●スズキ ジムニースズキ ジムニー。現行型は通算4代目のジムニーで2018年に販売を開始。7年以上が経過した現在でも高い人気を保ち、新車注文から納車まで数カ月はかかる 軽自動車でありながら、本格的な4WDクロスカントリーモデルとして確固たる地位を築いているスズキのジムニーもまた、エンジンをターボで武装している。 ジムニーに搭載されるR06A型エンジンは、インテーク側にVVT(可変バルブ機構)を採用し、低回転からの力強いトルクを発揮する。 これに組み合わされるターボは小型&低慣性のタービンを装備して、ドライバーのアクセル操作に対するリニアな反応を実現した。 強固なラダーフレームや、3リンク式リジッドサスペンションなど、タフな車体が注目を集めがちになるが、高性能ターボエンジンもジムニーの走りを支える重要な要素のひとつになっている。 ジムニーの価格は約191万~216万円と、軽自動車としては高めだが、手の届くターボ車であるのは間違いない。●三菱自動車 エクリプスクロス三菱自動車 エクリプスクロス。日本の道路事情にもフィットするコンパクトなクロスオーバーSUVで、2017年の発売以来手堅い人気を保っている 三菱自動車のエクリプスクロスは2017年にデビューしたクロスオーバーSUV。 エクリプスクロスにはディーゼルエンジン搭載モデルやPHEV(プラグインハイブリッド)仕様がラインナップされていたが、現在の日本国内ではガソリンエンジン車のみが継続生産されている(PHEVの国内向け生産は2025年に終了)。 そのエクリプスクロスにはダウンサイジング1.5リッター直4直噴ターボエンジンが搭載され、ダウンサイジングターボならではの15km/L(2WDモデル・JC08モード)という燃費性能を発揮する。 ターボ仕様のエクリプスクロスは2WDモデルで約277万円~と、このクラスのクルマでは比較的手の届きやすい価格に設定されている。 現在の日本はハイブリッド車全盛時代であり、効率に優れているとはいうものの新世代のターボモデルはそこまでシェアを占めていない。 しかし、エネルギー効率にも優れたターボが将来的に見直される可能性は十分にある。