中身は「四車四様」! 最新ハイブリッドコンパクトの真価を体感するならこの4台!

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 マイナーチェンジで手に入れたプリウス風マスクが話題をさらっているアクア。たしかにそのルックスはインパクト大だが、ハイブリッドカーとしての優れた基本性能も改めて評価したい。今回はライバルとともに、各車で異なるハイブリッドシステムにフォーカスする。

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文:木内一行/写真:スズキ、トヨタ、日産、ホンダ

「新型バッテリーでより力強い走りを手に入れた」 トヨタ・アクア

コンパクトサイズながらダイナミックな造形で躍動感満点のエクステリア。マイナーチェンジで新たにハンマーヘッドをモチーフとしたフロントマスクを採用して話題をさらった。ボディカラーはモノトーンの他に2トーンもあり

 「21世紀に間に合いました」でおなじみ初代プリウスのデビューから早28年、トヨタはハイブリッドカーの先駆者として日々進歩している。2011年にハイブリッド専用コンパクトとしてデビューしたアクアもそうで、2代目でさらなる進化を遂げた。

 パワートレインは初代プリウスが採用したTHSの進化版となる「THSII」。シリーズ式とパラレル式の両面を持つシリーズパラレル式ハイブリッドで、2つのモーターを搭載して動力分割機構により駆動と充電を制御するシステムだ。

 2代目アクアではこの基本システムはそのままに、エンジンを新世代の1.5リッター・ダイナミックフォースエンジンにチェンジ。モーターも変更して出力とともに燃費性能も向上している。

 さらに、高出力が特徴の「バイポーラ型ニッケル水素電池」を駆動用バッテリーとして世界初採用。これにより、先代よりもバッテリー出力が約2倍にアップし、いっそうパワフルでスムーズな走りを実現。加えて、EV走行の速度域も約40km/hまで拡大したのである。

 また、アクセルオフでの減速度が増大し、アクセルペダルの操作だけで速度の調整がしやすい「快感ペダル」にも注目。マイナーチェンジで新採用された「スムーズストップ」も見逃せない機能で、停止時に前後のブレーキをコントロールすることで車体の揺れ動きを低減し、乗員のストレスを低減しようというものだ。

 核となるハイブリッドシステムはもちろん、周辺の先進装備にも抜かりがないアクアなのだ。

「エンジンで発電してモーターで駆動する独自システム」 日産・ノート

エクステリアは、Vモーションのフロントマスクや水平に広がる横一文字のリアコンビランプなど日産のデザインランゲージを各所に採用。2023年のマイナーチェンジでフロントマスクを一新し、デジタルVモーションとなった

 日産独自の電動パワートレインとなるe-POWER。今や日産を支えるキーテクノロジーで、セレナやエクストレイルなど多くの車種に採用されてきた。

 そのe-POWERは、エンジンで発電した電気でモーターを駆動させて走るシリーズ式ハイブリッドだが、初めて採用されたのは2代目ノート。走り出しから最大トルクを発生させるモーターの特性を活かした力強さと優れたレスポンス、高い静粛性や低燃費性が高く評価され、ノートの人気を引き上げることに成功した。

 そして、現行ノートでは第2世代に進化したe-POWERを搭載。

 モーターを従来よりもパワーアップさせつつインバーターと一体化させて小型・軽量化を実現。加えてエンジンの効率を高めたことで、加速性能とともに燃費性能もアップしている。さらに、エンジンの作動頻度の低減や車体の遮音性向上により静粛性も高められた。

 また、e-POWERに付随する機能のひとつが、アクセルペダルのオン/オフのみで加速から減速までコントロールできる「e-POWER Drive」。斬新な操作感覚が注目を集める一方、減速が強すぎるという声もあったため、第2世代ではより自然で滑らかに減速するよう改良されている。

 ちなみに、ノートとは関係ないが現在のe-POWERは第3世代に進化。モーターとインバーターに加え、減速機、発電機、増速機も一体化した5-in-1とし、さらなる低燃費性と静粛性を実現している。

 エンジンの稼働率が高い高速巡行は少々苦手だが、独特な運転感覚はクセになるかもしれない。

「2モーターでシーンに適した動力をチョイス」 ホンダ・フィット

親しみ、安心感、走りをキーワードにしたエクステリア。細部はグレードによって異なるが、写真のホームは生活になじむデザインとしている。マイナーチェンジでアッパーグリルの位置を変更するなどし、イメージを一新した

 フィットにハイブリッドが初めて設定されたのは2代目のマイナーチェンジ時。

 しかしそれはモーターがエンジンをアシストするパラレル式の「IMA」で、続く3代目では低速でのEV走行を可能にした「i-DCT」へ進化。ともにエンジンが主役のシステムだったが、4代目ではエンジンで発電してモーターで走行するシリーズ式ハイブリッドを基本とする「e:HEV」が採用された。

 このe:HEVの特徴は発電用と走行用を独立させた2モーター式としていることで、通常走行のほとんどをモーターで行い、高速巡行などエンジン走行のほうが高効率なシーンではエンジンが担当。

 さらに、高負荷時やバッテリー残量が少ない時はエンジンで発電用モーターを駆動して発電し、その電力を走行用モーターに供給して走行する。

 つまり、モーターとエンジンそれぞれの長所を活かし、シーンに合わせて走行モードを変更する高効率なハイブリッドシステムということ。

 ただし、ネガな部分がまったくないわけではない。同グレードで比較すると、ガソリン車よりも40万円以上も高額。この価格差をどう判断するのかは人それぞれだが……。

 ちなみに、2022年のマイナーチェンジではモーターの出力を高めるとともにアクセルの応答性を向上。今まで以上に力強い走りや、クルマとの一体感が感じられるようになったという。

「高効率のモーターと発電機がエンジンをサポート」 スズキ・スイフト

好評だった先代からイメージをガラリと変えたエクステリアは、クルマ全体を包み込むラウンド形状で先進的なイメージを表現。全長は先代よりも20mm長いが、車体骨格はキャリーオーバーのためホイールベースは不変

 先代ではフルハイブリッドとマイルドハイブリッドという2種類のハイブリッドをラインナップしていたスイフト。しかし、2023年に登場した現行モデルではマイルドハイブリッドに一本化された(ガソリン車の設定もあり)。

 そのパワートレインは全面的に刷新され、エンジンは新開発の1.2リッター直3のZ12E。高速燃焼化と高圧縮比化により燃費性能が向上したこのユニットに、マイルドハイブリッドは発電効率に優れたISG(モーター機能付き発電機)を組み合わせている。

 そして、減速時のエネルギーを利用して発電し、その電力をバッテリーに充電。加速時にはその電力でモーターを駆動してエンジンをアシストすることで、力強い走りと低燃費を実現する。エンジンが主役でモーターは縁の下の力持ち的なシステムなのである。

 ただ、フルハイブリッドと比較すると燃費向上の割合も大きくないし、モーターのみの走行もできない。その一方で、モーターの存在を意識させない自然な乗り味や、ガソリン車からの価格アップが少ないことはマイルドハイブリッドの魅力。

 つまり、ガソリン車から気軽に移行できるハイブリッドがスイフトということ。

 また、現行モデルには国内で初めてマイルドハイブリッドと5MTを組み合わせたグレードを設定。走りにもこだわるスズキらしいラインナップである。

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