ガソリン価格の高騰が続くなか、「少しでも安く済ませたい」と考えるドライバーは多いはずだ。とくにハイオク仕様車のオーナーなら、レギュラーガソリンを入れても問題ないのか気になるところ。しかしその選択、本当に大丈夫なのか?【画像ギャラリー】ハイオクガソリンとレギュラーガソリンはどう違うの?(5枚)文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stockハイオク仕様車に約10円安いレギュラーガソリンを入れるとどうなる? 燃費やパワーは?セルフスタンドの給油ノズルは燃料の種類ごとに色分けされている(Adobe Stock@mikitea) 結論から先に言ってしまうと、ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れても問題ない。ハイオク仕様車は、高い圧縮比や高出力を前提に設計されている。そのため、ノッキング(異常燃焼)を防ぐためにオクタン価の高いハイオクガソリンが指定されている。 オクタン価はJIS規格でレギュラーが89以上、ハイオクが96以上と規定されていて、数字が大きいほど着火しにくくなる。つまりレギュラーガソリンよりもハイオクガソリンのほうが着火しにくいということになるのだ。 着火しにくいというのは、一見性能が悪いと感じるかもしれないが、まったく逆で、圧縮比を高くすることができたり、高回転化に対応できるというメリットがある。ハイオクがレギュラーよりも10~15円程度高いのは、この着火しにくくなる成分によるものだ。 ハイオク仕様にレギュラーを入れた時に問題になるのは、この着火タイミングで、(ハイオク仕様車に設定された)適正なタイミングよりも早く着火することにより、「ノッキング」という異常燃焼を起こすことがあるからだ。 しかし、最近のハイオク仕様のクルマは「ノックセンサー」の搭載により、点火時期を遅らせることができるようになったため、問題はない。 ハイオク仕様のエンジンに搭載されているノックセンサーにはいろいろなタイプがあるが、ハイオク用とレギュラー用のマップを切り替えるタイプの場合、デフォルトはハイオク用マップで、ノッキングを感知するとレギュラー用のマップに切り替える。そしてエンジンを切ると、デフォルトのハイオク用マップに戻る。 レギュラーを入れ続けたためにハイオク用のマップに戻りにくいといった弊害も出ることもない。実際にハイオク仕様にしばらくレギュラーガソリンを入れ続けていて、久しぶりにハイオクガソリンに戻したとしても、マップはハイオク用になっているので問題はない。 ただし、一部の車種、GDB(2000~2007年)のインプレッサWRX STI(2L、水平対向4気筒ターボのEJ20エンジン搭載車)、最終型のトヨタセリカなどに搭載されていた1.8L、直4DOHCの2ZZ-GEエンジンは、ハイオクを推奨するというよりは、「ハイオク限定」というべきモデルだった。 こうしたクルマのようにレギュラーガソリンの使用はNGのクルマがある。R35GT-RやGRヤリスなどもこのタイプのクルマと言える。こうしたモデルはレギュラーガソリンを入れるべきではない。JIS規格で間違えないように軽油、ガソリンに着色することが義務づけられている。左のグリーンが軽油。右の2つのビーカーに入っているオレンジ色がガソリン。ハイオクガソリンとレギュラーガソリンの区別はつかない では、ノックセンサーのついていない、かなり古いクルマの場合はどうなのだろうか? 古いハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れてエンジンの回転を上げていくと、進角してノッキングが起こる。 この場合、明らかに異常があることがわかるため(カラカラとかキンキンという打音が起こる)、必然的にドライバーがエンジンを切るレベル。その時点ですぐにエンジンが壊れることはないが、そのままエンジンを使用し続けると、トラブルの要因となる。 ところで、ハイオク仕様にレギュラーガソリンを入れると燃費はどうなるのだろうか? レギュラーガソリンを入れてもノックセンサーにより最適なタイミングで燃焼ができるわけだから、アクセルを全開にするような高負荷状態でない限り、燃費が悪化することはない。 いっぽうパワー、トルクについて。一般的なハイオク仕様車(96オクタン以上)は、アクセル全開などの高負荷状態の場合には10%程度パワーダウンは避けられないが(高圧縮になる前に着火するため)、アクセルを半分程度しか開けず、街中を走っている程度ならまったく問題ないと言っていい。 まずは、ご自身がお乗りのクルマの説明書に、「異なる種類のガソリンを入れたら壊れる」などの記述がないか確認はしたほうがいいだろう。レギュラーガソリン仕様車にハイオクガソリンを入れるとどうなる?レギュラーガソリン仕様にハイオクガソリンを入れるとどうなる?(Adobe Stock@Norman01) ハイオクガソリンには、レギュラーガソリンに入っていない、エンジンの清浄剤が入っているため、エンジンをキレイにする効果が見込める。なので、いいことばかり、という認識をお持ちの方も多いはず。 しかし、2020年7月にハイオクガソリンの成分に関する虚偽記載が発覚。シェルのV-POWERを除く石油元売り各社のハイオクガソリンには、(汚れをつきにくくする防汚剤とよばれるものは入っていた)セールスポイントだった清浄剤が入っていないことが判明。 レギュラー仕様にハイオクを入れるメリットとして、エンジンの清浄効果が謳われていたが、清浄剤が入っていないハイオクを入れてもその効果は見込めないということになる。 2026年4月現在、石油元売り各社のなかで、ハイオクガソリンに清浄剤を入れていると大きく謳っているのはENEOSとコストコのカークランドシグネチャーガソリン(レギュラーガソリンにも入っている)。 ENEOSは、「ENEOSハイオクガソリンには合成清浄剤を添加しており、カーボンの汚れなどがエンジン吸気系に付着しづらくなります。また合成清浄剤は、連続給油することにより、その効果が持続されます。吸気バルブにカーボンの汚れが堆積すると、混合気の流れが妨げられて加速性能が悪化します。ENEOSハイオクガソリンは、そうしたエンジン内の汚れ付着を低減し、本来のパワーに近づけます」と公式ホームページに掲載している。 他方、スバルの新型レヴォーグの新開発1.8Lターボはレギュラー仕様となっているが、販売会社でもユーザーに対し、「ハイオクを入れないでほしい」ということを説明しているようだ。 これは、ハイオクを入れることで(エンジンが壊れるといったことはないものの)始動性や燃費が悪化する可能性があるからとのこと。高いお金を払ってわざわざリスクを冒す必要はないということだ。 レギュラー仕様の古いクルマの場合、燃焼室が汚れていることによって圧縮比が高くなることがあり(スラッジなどにより排気量が小さくなるため)、レギュラーを入れてもノッキングする症状が出るが、ハイオクを入れることでノッキングが収まることもあるようだ。ハイオクとレギュラーを混ぜても大丈夫?ハイオクとレギュラーをミックス給油した場合、ガソリンタンク内で混ざる。給油した比率でオクタン価も変動することになる 日本の石油元売り各社が実際に供給しているハイオクガソリンは、「オクタン価98~100」、レギュラーガソリンは「オクタン価92~93」のものが多いと言われている。 オクタン価92~93のレギュラーとオクタン価100のハイオクは普通に混ざり、両者を同量ずつ混ぜた場合、オクタン価は95以上になる。 ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れた場合であっても、アクセルを半分くらいしか開けず、街中を走る程度ならパワーダウンもほとんど心配ない。 ハイオク、レギュラーを6:4の割合で混ぜるとJIS規格ハイオクガソリンの数値96オクタンはクリアできるはずで、普通のハイオク仕様車の指定オクタン価を満たすことができる。 つまり、ハイオク仕様にレギュラーガソリンを入れるのは、普段使いに関してメカニズム的に問題はなさそうだ。 とはいえ、エンジンはクルマの心臓部であり、指定された燃料を使うことが最も確実で安全な選択である。短期的な節約が、長期的なダメージにつながる可能性もあることを忘れてはいけない。ディーゼルエンジン車にガソリンを入れると?ガソリンエンジン車に軽油をいれてしまった場合も、エンジンに不具合が発生し、エンジン停止に至る(Adobe Stock@mikitea) ディーゼルエンジン車の燃料、軽油は、ガソリンとは燃焼特性や沸点が違い、使用するエンジンも、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは、そもそもの燃焼の仕組みが違う。 そのため、ディーゼルエンジン車にガソリンを入れてしまうと、エンジンに不具合が発生し、やがてエンジン停止に至る。 もともと入っていた軽油との比率にもよるが、ディーゼルエンジン車は、軽油によって燃料噴射ポンプやノズルの潤滑も行っているため、これらが故障してしまう可能性もあり、そうなると修理代がかさむことにもなってしまう。 ガソリンエンジン車に軽油を入れてしまった場合も、エンジンに不具合が発生し、エンジン停止に至る。 軽油とガソリンを間違えてしまうと、燃料の入れ替えや燃料配管の洗浄、燃料フィルターの交換が必要となるなど、対応が必要。特に、ディーゼルエンジン車にガソリンを入れてしまうと、修理代がかなりかかってしまう可能性があるので、要注意。