2026年3月17日、日産自動車は米国で生産するSUV「ムラーノ」を日本市場に導入し、2027年初頭から販売すると発表した。北米で高い評価を受けるミッドサイズSUVを日本へ再投入となる。かつて国内でも存在感を放ったムラーノが、北米仕様をベースとした新世代モデルとして復活することになる。個性派SUVとして存在感を放ったムラーノを日本再導入ムラーノは日産のSUVラインアップの中でも、独特のポジションを担ってきたモデルである。初代が登場したのは2002年。北米市場を主戦場としたミッドサイズSUVとして誕生し、日本には2004年に導入された。初代ムラーノは丸みを帯びたフォルムと大胆なフロントマスクが特徴。日本市場でも異彩を放った存在だった。当時の日本市場においてムラーノは異色の存在だった。SUVでありながら流麗なクーペ風フォルムを採用し、ラグジュアリー性を重視した設計を採り入れていたからだ。国内では3.5L V6エンジンを搭載、2.5L直4エンジン仕様も用意し、堂々としたボディサイズと上質な乗り味で独自のファンを獲得した。しかし、日本市場ではSUVの小型化や電動化の流れもあり、2015年に2代目をもって販売を終了している。2代目ではより都会的で引き締まったデザインへ進化。クーペライクなSUVという路線を明確にしたモデルだ。一方、販売を継続された北米では人気車種としてモデルチェンジを重ねながら進化、日産SUVラインアップの中核を担う存在となっていた。そして今回、ムラーノは北米生産モデルをベースに、日本市場へ再導入されることが正式に発表されたのである。北米生産モデルをそのまま導入、日本市場に新たな選択肢を提供日産が発表した内容によれば、日本に導入されるムラーノは米国テネシー州のスマーナ工場で生産されるモデルである。販売開始は2027年初頭を予定している。クーペのように流れるルーフラインと張りのある面構成が、都会的な存在感を強調する。導入にあたっては、国土交通省が新たに創設した「米国製乗用車の認定制度」を活用する。これは一定の安全・環境基準を満たした米国生産車を日本市場に導入しやすくする制度であり、今回のムラーノはその枠組みを利用する形となる。日産のCEOであるイヴァン・エスピノーサ氏は、ムラーノの日本導入について「卓越したデザインと快適性により、米国市場で高い評価を得ているモデルであり、日本市場のラインアップ拡充につながる」とコメントしている。また同車は、J.D.パワーの「米国自動車耐久品質調査(VDS)」において、2年連続で最も信頼性の高いミッドサイズSUVに選ばれているという。北米で積み重ねてきた評価を、日本市場でも訴求していく狙いがある。フロントフェイスはワイド感を強調。シグネチャーライトが個性を際立たせる。内外装を大幅進化、快適性と先進装備で別次元のSUVへ日本導入モデルのベースとなるのは、北米で販売されている最新世代のムラーノである。2025年にフルモデルチェンジを受けたこのモデルは、従来型から大きく進化している。伸びやかなプロポーションが際立つサイドビュー。上質SUVらしい余裕を感じさせる。パワートレーンには、日産の可変圧縮比技術を用いた2L直列4気筒VCターボエンジンを搭載。最高出力241hp(244ps)、最大トルク260lb-ft(353Nm)を発生し、9速ATと組み合わされる。従来型が3.5L V6エンジンとCVTを採用していたのに対し、新型ではダウンサイジングターボと9速ATへと大きく方向転換している。これにより加速性能と燃費性能を両立しながら、より洗練されたドライビングフィールを実現している。インテリアもラグジュアリー性を大きく高めた。12.3インチのデュアルディスプレイを採用し、上級グレードではマッサージ機能付きシートや64色アンビエントライトなどを備える。さらに360度カメラやヘッドアップディスプレイなど先進装備も充実し、快適性と先進性を両立したSUVへと進化している。安全面では先進運転支援システム「プロパイロットアシスト」を採用し、日常の高速走行や長距離移動の負担軽減にも貢献する。12.3インチデュアルディスプレイを採用。水平基調のインパネが広がり感を演出する。ハリアー一強の情勢に風穴か、ミッドサイズSUVの主役争い再燃現在の日本の日産SUVラインアップを見ると、コンパクトのキックス、ミドルクラスのエクストレイルなどが主力となっている。一方で、ラグジュアリー志向のミッドサイズSUVは空白となっているのが実情だ。ムラーノはその隙間を埋める存在として導入されると考えられる。伸びやかなボディラインと大径ホイールの組み合わせが、力強さと洗練を両立している。そのうえで日本市場で直接的に比較対象となるのは、トヨタの人気SUVであるトヨタ ハリアーだろう。クーペ風のスタイリングと上質な内装で支持を集めるハリアーは、このクラスにおける基準ともいえる存在であり、ムラーノにとっては避けて通れないライバルである。ただし両車のキャラクターは同質ではない。ハリアーが日本市場に最適化された上質感とサイズバランスで支持を集めてきたのに対し、ムラーノは北米で磨かれたゆとりあるパッケージと快適性、そして個性的なデザインを武器とする。エクストレイルより上級でありながら、フラッグシップほど大きすぎない絶妙な立ち位置も特徴だ。かつて日本で個性派SUVとして存在感を放ったムラーノが、北米仕様をベースに再び国内へ戻ってくる。ハリアーという強力なライバルが存在する中で、その独自性をどう打ち出すのか。2027年、日本のミッドサイズSUV市場に新たな選択肢と競争軸が加わることになる。