「北斗星」の2人用個室「デュエット」。茨城県筑西市の「ヒロサワシティ」に保存されている「オロハネ24 551」にて撮影。2025年6月に発表された、JR東日本の新たな夜行特急列車。E657系の10両編成1本を使用し、2027年春の運行開始を予定しており、首都圏と北東北エリアを結ぶ「東日本エリアでの新しい夜行列車の復活」はファンの間で大きな話題となりました。 【関連記事:JR東、全席グリーン個室の夜行特急を導入!E657系を改造 2027年春】 同時に注目が集まったのが、全席グリーン車個室タイプの内装。6月の発表時点に発表された車内イメージだけでなく、10月には意匠登録の登録広報が公表。より多くの車内イメージが発表されると同時に、かつての寝台列車の内装を彷彿とさせる車内イメージに注目が集まりました。そこで今回は、今年話題となった「E657系東北夜行」の車内について、公表されたイメージ画像や過去のブルトレ個室とともにご紹介します。 ◾️“国鉄最後の置き土産”から次世代へ 「デュエット」風の2人用個室(グリーン個室) まずご紹介したいのが、プレスリリースで公表された2人用のグリーン個室。進行方向に対して垂直に2つソファが並ぶ個室デザインは、“国鉄最後の置き土産”としてJRへ継承され、「北斗星」などで使用された2人用個室「デュエット」を彷彿とさせます。 グリーン個室 2人用個室座席使用時(イメージ) ©JR東日本 「デュエット」は、国鉄末期の1987年に誕生したスハネ25形700番台にて初採用。国鉄が寝台特急の利用を促進するために「あさかぜ1・4号」向けのグレードアップ車として生み出した初の2人用B寝台個室で、室内には進行方向に対して垂直に2つベッドを配置。上下に個室を交互に配置したことで、千鳥配置にやや小さな窓が並ぶ外観が特徴でした。 「北斗星」の2人用個室「デュエット」。上段の個室は入口すぐの場所に階段があった。 ©レイルラボ ニュース 1号車・B寝台2人用個室「デュエット」 下段個室の様子 ©レイルラボ ニュース 国鉄が寝台特急の再興のために生み出した「最後の置き土産」である2人用個室「デュエット」は、「あさかぜ1・4号」の他にも1988年に運行を開始した「北斗星」にも導入。「北斗星」ではA寝台個室「ロイヤル」との合造車も登場。1991年には寝台特急「なは」にも導入され、車掌室付きの「オハネフ」に「デュエット」を備えたオハネフ25形2100・2200番台も登場。一部は現在も保存され、宿泊することができます。 24系 2014年09月13日撮影 ©レイルラボ 北東航1さん 24系 2024年09月26日撮影 ©レイルラボ kinokuniさん なお、進行方向に対して垂直に2つのソファが並ぶレイアウトは、JR東日本が運行する観光列車「リゾートしらかみ」や「海里」などのボックス席(コンパートメント席)ですでに採用済み。「リゾートしらかみ」などのボックス席ではソファをフルフラット化できる機構が備えられており、E657系の夜行列車にも同様の機構が導入されるものとみられます。「デュエット」の系譜を受け継ぎつつ、JR東日本のコンパートメントのノウハウを融合させた2人用個室の登場に期待が高まります。 リゾートしらかみ「青編成」のボックスシート ©レイルラボ ニュース リゾートしらかみ「青編成」のボックスシート ©レイルラボ ニュース ◾️「プルマン式寝台」「ソロ」を継承 “WEST EXPRESS 銀河”にも似た? 1人・2人用個室(グリーン個室) 次にご紹介するのが、1人・2人用のグリーン個室。進行方向に平行にベッドが配置され、車両中央の通路の両脇に個室が配置されるデザインは、寝台特急「あけぼの」や「サンライズ瀬戸・出雲」の1人用B寝台「ソロ」、さらには歴代ブルートレインのプルマン式寝台に似たレイアウトです。 グリーン個室(1人用/2人用) ©JR東日本 プルマン式寝台は、中央の通路を挟んで左右にボックスシートを配置し、寝台使用時には座席がベッドに転換するスタイルの寝台のこと。線路に平行にベッドが配置されている点が特徴的で、20系や14系、24系の開放式A寝台を筆頭に、581・583系のA寝台・B寝台で採用されてきました。近年では「WEST EXPRESS銀河」の「ファーストシート」でも同様の座席が採用され、カーテンのみで通路と寝台を仕切るスタイルからもプルマン式寝台に似ていると話題になりました。 2009年06月27日乗車 ©レイルラボ koreanrailfanさん 2020年11月18日乗車 ©レイルラボ ちっとろむさん 2020年11月18日乗車 ©レイルラボ ちっとろむさん 1人用B寝台「ソロ」は、1988年に登場。当初は「デュエット」と同様に進行方向に対して垂直に個室が並べられたベッドの配置で、「北斗星」や「富士」「はやぶさ」「北陸」などで使用されました。1991年には、「あけぼの」の個室化で線路に対して平行な向きで個室を上下に配置する「ソロ」が登場。このタイプの「ソロ」は「あかつき」や「なは」などでも導入され、現在運行されている唯一の定期寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」にも3号車・10号車に設定されています。 2023年07月27日乗車 ©レイルラボ かわせみさん 2014年03月13日乗車 ©レイルラボ TANAKAIさん 2022年04月16日乗車 ©レイルラボ twteruyaさん 座席と寝台の転換という点で共通性を持つプルマン式寝台と、進行方向に平行に配置された1人用個室である「ソロ」。「プルマン式寝台を備えた個室」という新たなスタイルは、寝台特急で培われてきた1人用個室の進化系と呼べそうです。また、「進行方向に平行に配置されたベッド」は、10月に公表された意匠登録において、バリアフリー対応と見られる2人用個室でも採用されています。 E657系夜行列車の意匠登録で公表された、バリアフリー対応の2人用個室と見られる部屋の画像。出典:特許庁ウェブサイト(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/) ©特許庁 E657系夜行列車の意匠登録で公表された、バリアフリー対応の2人用個室と見られる部屋の画像。出典:特許庁ウェブサイト(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/) ©特許庁 ◾️「ロビーカー」「サロン・デュノール」を彷彿 歴代寝台特急から継承したラウンジ 意匠登録の公表で特にファンの注目を集めたのが、5号車に設置された「ラウンジ」のイメージ画像。木を利用した温かみのあるデザインや、側窓方向を向いたソファなどが、かつての寝台特急に連結されたロビーカーを彷彿とさせると話題になりました。 ラウンジ(イメージ) ©JR東日本 寝台特急における「ロビーカー」は、1985年に「はやぶさ」へ連結されたオハ24形700番台がその先駆け。「富士」「あさかぜ」「北斗星」「トワイライトエクスプレス」などでも導入され、寝台列車における楽しみの一つとして定着しています。E657系のロビーカーでも、その特徴である側窓方向を向いたソファを継承。1人用のチェアは採用されていないものの、「ロビーカー」で車窓や談笑を楽しむひと時に期待が膨らみます。 「北斗星」のロビーカー。茨城県筑西市の「ヒロサワシティ」に保存されている ©レイルラボ ニュース E657系夜行列車の意匠登録で公表された、ラウンジと見られる部屋の画像。出典:特許庁ウェブサイト(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/) ©特許庁 以上、E657系の新しい夜行列車に継承される、歴代ブルートレインの系譜をご紹介しました。10月の意匠公開では、このほかにも1人用・2人用のプレミアムグリーン個室や、4人用グリーン個室のイメージ画像も公開。プレミアムグリーン個室では「サロンエクスプレス東京」などを彷彿とさせるL字のソファが採用され、4人用個室は「カーペットカー」を個室にしたような開放感あふれる室内となるなど、実車の登場に期待が高まるものばかり。2027年の運行開始が待たれます。