短命だったのにはワケがある! 「クセが強すぎる」個性派4選
毎年何十台もの新車が登場する中で、そこに埋もれまいとメーカーはさまざまなアイデアを形にし、ニューモデルを送り出してくる。だけどちょっとやりすぎてしまい、短命に終わったクルマも……。ここでは、そんなクセが強い個性派たちを紹介しよう。
文/木内一行、写真/ダイハツ、トヨタ、日産、ホンダ、CarsWp.com
【画像ギャラリー】個性派すぎた!? あっという間に姿を消したクルマたち(14枚)
「斬新すぎるルックスはアメリカ向きだった!?」日産・NXクーペ
短命だったのにはワケがある! 「クセが強すぎる」個性派4選
NDIでデザインされたエクステリアは、80年代後半から90年代にかけて流行った流線形フォルム。スラントしたノーズと埋め込まれた楕円形のヘッドライトが特徴的だ。その一方、アクが強すぎて敬遠されることも
1989年に開催された第28回東京モーターショーで、正式発表を前にベールを脱いだNXクーペ。7代目B13サニーのクーペモデルで、シャシーはもちろんB13と共有する。
このNXクーペ、見どころはなんといってもそのデザイン。
ロケットのごとく先細りしたノーズに楕円形のヘッドライトを奥まって配置し、特徴的なグリルレスマスクを構築。この、のっぺりしながら彫りが深い顔を見れば、誰もがユニークと感じるだろう。
個性の塊のようなこのエクステリアデザインは、北米のNDI(日産デザインインターナショナル)が手がけたもので、流れるようなルーフラインからリアハッチにかけてはZ32の雰囲気を感じるし、さらにはTバールーフもラインナップ。
アメリカ生まれのデザインと聞くと、妙に納得してしまうのだ。
その一方、インテリアはサニーと基本的に同じため、新鮮味は皆無。斬新なグラフィックのデジタルメーターも用意されたが、個性が際立つ部分はその程度にとどまった。
このように、個性あふれるコンパクトクーペとして世に送り出されたNXクーペだったが、北米では好調なセールスを記録したものの日本では鳴かず飛ばずで、結果的に1世代4年で消滅してしまった。
「タイムマシンかもしれない」というキャッチコピーがすべてを表しているかのように、その見た目は個性的で斬新。しかし、それだけで生き残れるほど日本のマーケットは甘くなかったのだ。
「独創的な3×2パッケージで6名乗車を実現」ホンダ・エディックス
ユーザーの多様なニーズに応えるべく、メーカーはいろいろな新型車を投入する。
ホンダが2004年にリリースしたエディックスも、「3×2(スリーバイツー)ミニバン」をコンセプトに、新たな価値を持ったミニバンとして開発された。
個性的なのはシートレイアウト。ミニバンというと一般的には3列シートモデルを指すが、エディックスは2列ながら横3座とすることで、最大6名乗車を可能にした。
ただ、ある程度限られた車幅で横3人掛けにするとゆとりはなくなる。そこで、前後のセンターシートをロングスライドさせるV字シートレイアウトを採用し、快適な横3人掛けを実現。
さらに、前席中央シートを後方にスライドさせることで、後席とのコミュニケーションが取りやすくなるというメリットも生み出した。
シャシーはシビックと共通のため、全長は4.3mほど。しかし全幅は1.8mに迫り、カタマリ感のあるショート&ワイドスタンスを構築。前下がりのクラウチングスタイルは思いのほかスポーティだ。
ちなみに、この独創的なパッケージングは乗員すべてがホイールベース内に収まるため、前後荷重の変化が少なくバランスが良いという特徴も持ち合わせている。
つまり、居住性やユーティリティ性だけでなく、運動性能にも大きなメリットをもたらしているのだ。
結果的に、ステップワゴンのように万人に好まれることはなかったエディックスだが、その独創的なコンセプトは今でも評価に値する。
「時代に逆行するフォルムの軽自動車ツアラー」ダイハツ・ソニカ
短命だったのにはワケがある! 「クセが強すぎる」個性派4選
トールワゴン全盛の現代では見かけることが少なくなった低重心プロポーションは爽快な走りをイメージ。その一方で、ロングホイールベースやコンパクトなエンジンルームにより、広く快適な室内空間を確保している
軽自動車というと、とかくスペース効率や利便性にウエイトを置きがちだ。
しかし、ダイハツ・ソニカは「爽快ツアラー」をコンセプトに、ロングドライブを快適に楽しめるよう爽快な走りを徹底的に追求した異色のモデルである。
ベースとなったのは2005年の東京モーターショーで参考出品されたSKツアラー。スタイリングはそのコンセプトカーそのもので、現代の軽自動車では珍しい低く長く構えた、低重心フォルム。
1470mmという全高は、当時の軽自動車で最も低い高さ。楕円のサイドウィンドウも特徴的だ。
このようなスタイリッシュなデザインだが、居住空間を犠牲にしているわけではない。
2440mmというロングホイールベースとコンパクトなエンジンルーム、やや低めのシートポジションにより、ロングドライブでもリラックスできる空間を確保している。
また、メカニズムもツアラーにふさわしいもので、全車に3気筒ターボエンジンを搭載。
世界初のインプットリダクション方式3軸ギアトレーン構造を採用したCVTを組み合わせ、低速から高速まで全域で優れた加速性能を実現。加えて、クラストップの低燃費も達成。力強い走りと高い経済性を両立したのである。
このように目のつけどころは良かったソニカだが、トールワゴン全盛のマーケットでは残念ながら地位を築くことはできず、約3年の短命に終わった。
「3つのモードを使い分けられる新コンセプトの個性派」トヨタ・マークX ジオ
トヨタの中心車種として長らく活躍してきたマークII。そんな功労者が消滅し、後継として登場したのはマークXだった。
そして、スポーティなアッパーミドルサルーンとして人気を博していたマークXに、新しい仲間が増えたのは2007年のこと。ワゴンともミニバンともとれる「新しいコンセプトのクルマ」として登場したマークXジオだ。
2005年の東京モーターショーでお披露目されたコンセプトカー「FSC」の市販モデルとなるマークX ジオ。
ワゴンのような見た目だが「4+Free(フォー・プラス・フリー)」というコンセプトをもとに、シーンに応じてセダン、ワゴン、ミニバンを使い分けられる「3モードキャビン」としたことが特徴。
具体的には、2列の独立4座を基本としながら、時にはワゴンのように大きな荷物を積み込め、必要とあれば補助的な3列目シートを使って多人数乗車も可能というもの。
ちなみに2列目は、キャプテンシート仕様(6人乗り)とベンチシート仕様(7人乗り)が設定され、最終的には2列5人乗りも追加された。
このようにフレキシブルに使える室内はこれまでのワゴンにはなかったし、斬新なコンセプトは評価に値するものだった。
しかし、販売面では苦戦を強いられ、約6年で生産終了。
また、マークXを名乗るもののメカニズム面でマークXとの共通点はなし。そのため、まったく別の車名でもよかったのでは? と思う人は少なくないはず。
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