トヨタ新型「クラウン・エステート」は現代最高のグランドツーリングカー! 広い荷室とハイレベルの走りが魅力的な「新発想ワゴン」の真価とは


新型「クラウン・エステート」は現代最高のGTカー

 これは現代最高のGT=グランドツーリングカーだ……トヨタの現行「クラウン」シリーズで最後のピースとなった新型「クラウン・エステート」に試乗して、筆者(工藤貴宏)はそう確信しました。

現代最高のグランドツーリングカーと評価したいトヨタ新型「クラウン・エステート」

【画像】「えっ!…」これぞ現代最高のグランドツーリングカー! トヨタ新型「クラウン・エステート」です(30枚以上)

 理由はふたつ。ひとつはなんといってもパッケージングです。

 新型「クラウン・エステート」は、いうなればSUVとステーションワゴンのクロスオーバーモデル。リアシートの背もたれを倒すと、奥行きが2mにも及ぶ広大なラゲッジスペースが現れるのが自慢です。

 4種のボディラインナップを展開する現行「クラウン」シリーズの中でも、新型「クラウン・エステート」はラゲッジスペースが最も広く、たくさんの荷物を積み込んでレジャードライブへ出かけるユーザーと好相性のモデルです。

 広いリアシートと広大な荷室を活かして、大人4名がゆったりと座り、4名分の荷物をたっぷり積み込んでドライブ旅へ出かける……そんな使い方だって楽勝。こうした多用途性こそが、新型「クラウン・エステート」最大の魅力といえるでしょう。

 ちなみに、後席の背もたれを倒した際、ラゲッジスペースのフロアに段差が生じないのはお見事。

 さらに、後席背もたれに組み込まれたフラップ(可動式の板)を展開することで、前席の背もたれ背後までフラットな荷室空間を生み出せるのはこのモデルの大きな武器といえるでしょう。

 新型「クラウン・エステート」を最高のグランドツーリングカーだと評価するもうひとつの理由は、しっかりとつくり込まれた走り味にあります。

 現行「クラウン」シリーズは4タイプが用意されていますが、各モデルのキャラクターに合わせ、それぞれの走り味にあえて特徴を設けています。

 その中で新型「クラウン・エステート」が目指したのは、「長距離でも疲れない」ことと、「移動時間の質を高める」ということ。「クラウン・スポーツ」のように軽快で俊敏な走り味はねらわず、優れた安定感と快適な乗り心地のバランスを追求しているのです。

「クラウン」らしい上質さと快適な装備類、そして上記したふたつの美点こそが、筆者が新型「クラウン・エステート」を最高峰のグランドツーリングカーと評価する理由です。

●ワゴンという存在を現代的に解釈し直した

 今回、実に18年ぶりに「クラウン」シリーズに「エステート」が復活しました。

「エステート」とは、かつて11代目「クラウン」に設定されていたステーションワゴン版の呼称です。

 しかし新型「クラウン・エステート」は、ありきたりなステーションワゴンの概念にとらわれることなく、ワゴンというクルマを現代に合わせて解釈し直したところに新しさを感じさせます。

 なかには、「SUVとのクロスオーバーモデルではなく、フツーのステーションワゴンがよかったのに」と考える人もいるかもしれません。

 しかし、リフトアップワゴンという新型「クラウン・エステート」のパッケージングには、単なる流行りだけではないメリットも存在します。それは良好な乗降性です。

現代最高のグランドツーリングカーと評価したいトヨタ新型「クラウン・エステート」

 やや高い場所にセットされた着座位置は、従来のセダンやワゴンに比べて乗り降りする際の姿勢変化が少なく、誰でも楽に乗降できるのです。

「でも背が高くなった分、走りに悪影響が及んでいるのでは?」と不安視する人もいるでしょう。しかし、実際に新型「クラウン・エステート」をドライブしてみれば、そんな心配など杞憂であることがすぐに分かります。

 高速道路で優れた走行安定性を発揮する一方、ワインディングでは素直に曲がってくれるので、車体の大きさや重さ、そして背の高さなどは全く気になりません。

 もちろん「クラウン・スポーツ」のようにハンドリングを楽しみたくなるようなフットワークではありませんが、どこまでも走り続けたくなるような気分にさせてくれる、心地よい走り味の持ち主といえます。

PHEVは100%モーター駆動車のようになめらかで伸びやか

 そんな新型「クラウン・エステート」には、「Z」グレードのHEV(ハイブリッド)と「RS」グレードのPHEV(プラグインハイブリッド)という、ふたつのパワートレインが設定されています。

現代最高のグランドツーリングカーと評価したいトヨタ新型「クラウン・エステート」

「Z」グレードに搭載されるHEVでも、力強さは十分。システムは、中型車以上のトヨタ製ハイブリッドでは定番の2.5リッター自然吸気エンジン+モーターの組み合わせで、後輪もモーターで駆動する電気式4WDを組み合わせています。

 ただし、同様のメカを採用する「クラウン・クロスオーバー」や「クラウン・スポーツ」のHEVに対し、新型「クラウン・エステート」のHEVはフロントモーターの出力が約1.5倍(182ps)にアップ。“ここぞ”というときの動力性能が引き上げられています。

 開発陣によると、これは「『エステート』というキャラクターから多人数・多積載のシーンを考慮してのもの」だといいます。

 一方、PHEVの「RS」に乗り換えると、気持ちよさではHEVより一枚上手といった印象です。

 モーター出力などはHEVもPHEVも同じ(エンジン出力はむしろHEVの方が高い)なので、加速フィールは同じかな、と思っていたら、そんなことは全くありませんでした。

 PHEVは大きなバッテリーを武器にエンジンが始動しにくくなっており、その分、モーターでの走行領域が広がっているのです。

 結果、電気自動車など100%モーター駆動車のようななめらかさと伸びやかさを強く感じさせてくれます。

 シリーズパラレル式と呼ばれるトヨタのHEVは、エンジンが始動するとエンジンの“雑味”を感じがちですが、PHEVはエンジンが始動しにくい分だけ雑味が少なく感じられ、よりスッキリとさわやかな乗り味に。それが実に心地いいのです。

* * *

 HEVの出来もいいけれど、PHEVはもっといい。それが新型「クラウン・エステート」に設定されたふたつのパワートレインを乗り比べての率直な感想です。

 さらにいえば、PHEVは加速フィールだけでなく、低い位置に重いバッテリーを搭載したことによる低重心化がハンドリングにも効いている印象。

 新型「クラウン・エステート」のHEVが最高のグランドツーリングカーなら、PHEVはまさに最上級のグランドツーリングカーといえそうです。

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