クルマとしての魅力はあるけれど、販売が振るわなかったクルマは少なくない。優れたシャシー、最新のメカニズム、モダンなデザインなどを持ちながら、ユーザーに受け入れられない何かがあったのだ。今回はそんな、出来はいいのにヒットせずに終わったクルマたちを紹介しよう。【画像ギャラリー】レジェンド、ブレイド…乗れば納得なのに…(12枚)文:木内一行/写真:日産、ホンダ、マツダ、CarsWp.com「伝統ある名を受け継いだクロスオーバー」 日産・スカイライン クロスオーバークーペとSUVを融合したボディはFRらしいロングノーズとクーペのようなアーチドキャビンが特徴。スカイラインと名乗るものの外装でセダンやクーペとの共通部品はわずか 70年近い歴史を誇るだけに、スカイラインにはこれまでにさまざまなモデルがラインナップされてきた。ワゴンがあれば5ドアハッチバックもあり、バリエーションを増やすことでユーザーニーズに応えてきた。 そんななかで異彩を放っていたのがスカイライン クロスオーバーである。 北米や欧州ではインフィニティ・EXとして先行発売され、日本国内では2009年にデビュー。 クーペとSUVの融合から生まれたスカイライン クロスオーバーは、その名の通りプラットフォームをスカイラインと共有し、SUVテイストのデザインを採用。インテリアは質感が高く、スポーティさと優雅さを合わせ持つモダンな空間となっている。 走りもその名に恥じないもので、330psを発揮する3.7リッターV6エンジンと7ATの組み合わせにより、スポーツモデルに引けを取らない運動性能を実現したのだ。 このように、流麗で躍動感のあるルックスとスポーティな走りを特徴としたが、当時は今ほどクロスオーバーSUVの盛り上がりがなく、販売は伸び悩んだ。 また、SUVのイメージとはかけ離れたスカイラインを名乗ったこともマイナスだった。 一方、北米や欧州ではEXからQX50に改名して2017年まで販売され、その後も2代目にモデルチェンジされるほどの人気車種に発展。しかし、国内でその良さが評価されなかったことは少々残念だ。「画期的な技術で進化したフラッグシップ」 ホンダ・レジェンドエクステリアは室内の豊かさを感じさせるエレガントキャビンとワイド&ローフォルムにより世界基準の風格と卓越した走りを表現。ジュエルアイLEDヘッドライトが特徴的 1985年にホンダのフラッグシップとして初代がデビューしたレジェンド。時代とともに進化を遂げ、2014年登場の5代目は画期的なハイブリッド技術を駆使した最先端の最上級セダンへと生まれ変わった。 そのコアテクノロジーが「SPORT HYBRID SH-AWD」と呼ばれる3モーターハイブリッドシステムだ。 これは前1/後2という計3つのモーターと3.5リッターV6エンジンを使い、走行シーンや運転スタイルに応じて3つの駆動方式(前輪駆動/後輪駆動/四輪駆動)と、3つの走行モード(EVドライブ/ハイブリッドドライブ/エンジンドライブ)のなかから最適な駆動方式と効率の良い走行モードを連続的に自動で切り替えるというもの。 さらに、後部に搭載する2つのモーターは左右独立して駆動力に加えて減速力も自在に制御するトルクベクタリングを可能とし、ブレーキ制御によってクルマの運動性能を高めるアジャイルハンドリングアシストも採用。これらにより、高い操縦安定性や優れたハンドリング、上質な乗り心地も実現した。 もちろんフラッグシップとしての風格や威厳も持ち合わせ、流麗でダイナミックなデザインのボディは堂々としたサイズだし、先代よりも拡大した後席空間や圧倒的な静粛性などホスピタリティの高さも自慢だ。 2018年にはマイナーチェンジを実施し、前後の意匠を変更するとともにハンドリング性能や上質な乗り心地が磨き上げられた。 さらに、2021年には自動運転レベル3に対応する新モデルもリース販売された。 ただし、販売面では常に苦戦を強いられてきた。その要因はいくつかあるが、なかでも不評なのが野暮ったいデザイン。 その一方で、先進のハイブリッド技術や駆動システムはデキが良く、運転の楽しさは高級セダン随一。それだけに、プレミアムスポーティセダンとして売り出したほうがヒットしたかもしれない。「国産プレミアムコンパクトのパイオニア」 トヨタ・ブレイドボディの大枠はオーリスと共通だが、L字型ヘッドライトを用いた彫りの深い造形のマスクにより押し出し感を表現。ブレイドマスターはメッシュグリルを採用する ハッチバックというと、どうしてもカジュアルな印象やコンパクトカーのイメージを持ってしまいがち。 しかし2006年にデビューしたブレイドは、新たな市場を切り開くトヨタブランドの最上級ハッチバックとして送り込まれた1台だった。 「洒落た大人の高級ハッチバック」をテーマに開発されたブレイドは、3カ月先にデビューしたオーリスがベース。 しかし、前後のデザインを変更して上級感や格の高さを演出。インテリアもドアトリムからインパネまでスエード調表皮をあしらい、センタークラスターパネルなどにチタン調塗装を施して高級感を表現している。 また、上級グレードのシートにはアルカンターラと本革のコンビ地が採用されたことも特徴のひとつだ。 メカニズムにも手が加えられており、サスペンションはフロントこそストラットのままだがリアはオーリスの4WD車と同じダブルウィッシュボーンを採用。さらにエンジンも2.4リッター直4をメインに、後に3.5リッターV6も搭載された。 特にこのV6エンジンを搭載した「ブレイドマスター」は、280ps/35.1kg-mというパワー&トルクを生かしてゆとりの走りを実現。これまでの国産ハッチバックにはないキャラで独自性をアピールしていた。 ところが、ライバルとされたVW・ゴルフをはじめとする欧州勢とは勝負にならず、約5年半で生産終了となった。 しかし、国産車のプレミアムコンパクト市場を開拓した先駆者として、再評価されてもいいのではないだろうか。「スポーツカーの価値も併せ持つ走りのSUV」 マツダ・CX-7エクステリアは、マツダのスポーツカーが持つスムーズでスピード感に満ちたアスレティックなイメージと、SUVの力強さや実用性を兼ね備えたデザイン 今ではSUVのトップブランドと言えるマツダのCXシリーズ。その急先鋒として送り出されたのがCX-7だ。 2000年代に入り、SUVはスタイリッシュなクロスオーバーモデルが増加。そんななかでCX-7は、SUVとスポーツカー両方の価値を併せ持つ「スポーツクロスオーバーSUV」という新しい価値を目指した。 それを体現したのが「デザイン」と「ダイナミックパフォーマンス」の2つ。 エクステリアは、マツダのスポーツカーらしいスピード感やダイナミック感に加え、SUVの持つ力強さや実用性を表現。大きく寝かせたフロントウィンドウや後方に向けて跳ね上がるベルトライン、大きく張り出したフェンダーなどで独自の存在感を演出している。 心臓部に迎えたのは238psを発揮する2.3リッター直4ターボ。同ユニットはマツダスピードアクセラやMPVにも搭載されるが、ターボチャージャーの特性を最適化して俊敏なレスポンスとフラットなトルク特性を実現。SUV離れした圧倒的な加速性能を達成したのである。 カッコいいルックスだけでなく、力強いエンジンやスポーティなハンドリングなどでアピールしたが、北米市場に合わせた大きめのボディサイズや決して優れているとは言えない燃費などがウィークポイントとなり、国内では結果を残すことができなかった。 とはいえ、マツダ車らしい運転の楽しさはクロスオーバーSUVでもトップレベルと言えるだろう。