クルマのデキはいいのに、残念な部分がひとつある。そのため名車になり損ねたクルマたちって、決して少なくない。今回はそんなちょっぴり残念な実力派たちを紹介していこう。【画像ギャラリー】名前負け!? 重すぎた!? ちょっぴり残念な実力派たち(12枚)文:木内一行/写真:トヨタ、日産、マツダ、三菱自動車、CarsWp.com「スカイラインじゃなかったら評価も違った!?」 日産・スカイライン(11代目)新世代FMパッケージがもたらすショートオーバーハングと大径タイヤにより、スポーティでFRらしいフォルムを構築。車体下面の空気流をコントロールしてゼロリフトも実現した 超ロングセラーのスカイラインゆえ、長い歴史の中では「不人気」や「失敗作」などと呼ばれたモデルもある。11代目V35もそのひとつだが、それはクルマ自体のデキが悪いからではではなかった。 2001年にデビューしたV35は、プラットフォームからパワートレインまで一新したオールニュー。エンジンは長らく搭載されてきた直6を捨ててV6にスイッチし、そのV6エンジン専用フロントミッドシップの新世代「FMパッケージ」が採用された。 そして、エクステリアも曲線的なフォルムに大きく変化。その雰囲気はスポーツセダンというよりも、4ドアサルーンと表現したほうがしっくりくるほどである。 しかし、どうしてここまで大きな路線変更を行ったのか。 それは、1999年の東京モーターショーに参考出品された「XVL」がルーツとなっているから。このXVL、当初は北米で展開するインフィニティブランドの新型車として開発されたが、首脳陣の意向もあり急遽11代目スカイラインとしてリリース。これですべての歯車が狂ってしまったのだ。 V35自体は、FMパッケージやV型エンジンのデキも良く、総じて評価も低くない。むしろインフィニティG35として販売される北米では大ヒットした。 しかし、スポーティとは言い難いスタイリングや新意匠のリアコンビランプ、そしてV型エンジンなど、伝統を捨てた姿が往年のファンには受け入れられなかったのである。 日本でも「スカイライン」の名を冠せずに発売していたら、もっと評価は高かったはずだ。「新たなスタイルで挑んだロータリースポーツ」 マツダ・RX-8本格スポーツカーのようなダイナミックなフォルムが特徴。立体的なオーバーフェンダーやフロントフェンダーのエアダクトなど躍動感あふれるデザインだ 世界で唯一の量産ロータリースポーツとして、国内外で人気を博したRX-7。3世代にわたってファンに愛されてきたが、2002年に惜しまれつつ生産終了となった。そんなRX-7に代わるロータリースポーツとして誕生したのがRX-8だ。 見どころは「4ドア・4シーター」という新しいスポーツカーを提案したこと。ただ、これでは普通のスポーツセダンと変わりはない。しかしRX-8は、本格スポーツカーのスタイリングと運動性能を備えているということが斬新だった。 それを実現するために採用されたのが、センターピラーレスのフリースタイルドア。これにより、ダイナミックで独創的なスタイリングとスポーティセダンに匹敵する居住空間、スムーズな乗降性を手に入れたのだ。 スポーツカーの本質である運動性能は、フロントミッドシップレイアウトとダブルウィッシュボーン/マルチリンクのサスペンションにより、人車一体のコントロール性を実現。 エンジンは新開発の自然吸気13B-MSP「RENESIS」を搭載。ツインターボのような強烈なパワーこそないものの、高回転まで回る伸びやかなフィーリングはロータリーならではだ。 このように、4ドア・4シーターの本格スポーツカーという狙いをうまくカタチにしたRX-8だが、いまいちパッとしなかった。決して不人気ではなかったし、累計20万台近く販売されたから売れなかったわけでもない。 ただ、モデル後半の落ち込みは顕著だったし、何より走り好きの人はRX-7との違いに大きく戸惑ったはず。 4座の本格スポーツカーというコンセプトは評価に値する。しかし、ファンが求めていたのはそこではなかったのだろう。「期待に応えられなかった“ハチロクの再来”」 トヨタ・アルテッツァエクステリアはアスリートを想起させる流麗かつダイナミックなデザインで、躍動感を表現したフロントマスクや丸形のテールランプを配したリアビューが特徴的だ 生産終了から40年近く経つにもかかわらず、相変わらずの人気を誇るハチロク。当時から軽量コンパクトなFRスポーツとして若年層を中心に支持されていたが、次の世代からFFレイアウトに転換。走りを楽しめる貴重な存在との別れを惜しむ声も多かった。 そんななか、前評判から「ハチロクの再来」と呼ばれたのがアルテッツァだった。 アルテッツァがそう表現されたのは、そのパッケージングから。見た目こそ4ドアセダンだがボディは比較的コンパクトで、なおかつフロントにスポーツエンジンを搭載して後輪を駆動するFRレイアウトを採用。それゆえ「ハチロクの再来」と呼ばれ、大きな注目を集めたのである。 ところが、いざフタを開けてみるとハチロクとはかけ離れたものだった。一番の違いは重さで、1300キロ台という車重は今でこそ軽く感じるが、1トン前後のハチロクとは大違い。スポーツグレードのRS系は210psを発揮するものの、それ以上に車重増による軽快感の低下のほうが大きかったのだ。 また、海外ではレクサスISとして発売されたこともあり、国内ではやや中途半端なキャラになってしまったことも悔やまれる。 今さらだが、スポーツセダンやプレミアムセダンなど、もっとキャラが明確だったら結果は違ったのかもしれない。「走りをスポイルさせたのは超重量級ボディ」 三菱自動車・GTO4WDスポーツとしての力強さを具現化し、未来的なイメージを表現したというエクステリア。1.3m以下という低い全高に対して全幅が1.84mもあるため、ロー&ワイド感は強烈だ バブル真っ只中の1990年に登場したGTO。メーカー自ら「スーパー4WDスポーツカー」と謳うように、三菱が自信を持って送り出したフラッグシップスポーツだった。 特筆すべき点はメカニズムで、3リッターV6ツインターボエンジンは自主規制いっぱいの280psを発揮し、クラストップレベルの43.5kg-mという大トルクを発生。さらに、ビスカスカップリング式フルタイム4WDシステムや中高速時に後輪を前輪と同方向に操舵する4WSも採用された。 デザインだってロー&ワイドでカッコ良かったが、何より大きかった。全長こそ4600mm未満だが全幅は1840mmもあった。 そして致命的だったのが車両重量で、ツインターボは1700kg(デビュー時)と、とにかく重い。中期では軽量モデルのMRが追加されたが、それでも−50kgの1650kgだった。車両重量は運動性能に大きく影響するだけに、この重さがGTOの弱点だったことは間違いない。 また、同時期にR32GT-Rが生まれていたことも誤算だったはず。ツインターボエンジンを搭載するハイパワー4WDとなれば、いやがおうでも比較対象になる。 しかも両者ともN1耐久に出場し、GT-Rは勝利を重ねていたが、GTOは入賞すら難しい状況だったのだから。 デザインの好みは分かれるところだが、ビジュアルはいいしメカニズムだって凝っていた。それだけに、運動性能を下げる元となった“重さ”が残念でならない。