かつてエコカーの代名詞として脚光を浴びたアイドリングストップ機能。CO2削減の流れに乗って普及が進んだが、再始動を電気に頼る構造上、バッテリーへの負担が大きく「すぐ上がる」「交換費用が高すぎる」と不満の声が相次いだ。今さら聞けないアイドリングストップの功罪と、いますぐできる対策を紹介しよう!【画像ギャラリー】ハスラー用のアイドリングストップキャンセラーを詳しく見て!(18枚)文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トビラ写真=HENADZY@Adobestock)、Fun Standardそもそもアイドリングストップとは何か? 普及した背景2009年、アイドリングストップ機能「i-stop」を搭載して注目されたマツダ・アクセラ アイドリングストップとは、信号待ちなど一時停車時にエンジンを自動的に停止し、発進操作に応じて再始動する機能だ。エンジンが止まっている間は燃料を消費しないため、市街地走行での燃費向上と排出ガスの削減が期待できる。 この機能が本格的に広まったのは2010年前後。自動車業界全体でCO2削減が急務となり、各メーカーが燃費規制をクリアする手段として相次いで採用した。カタログ燃費の数値を底上げできることもあり、軽自動車からコンパクトカー、ミニバンに至るまで、あっという間に標準装備が当たり前になった。「エコな機能=つけて損なし」という空気がクルマ業界全体に広がっていた時代だ。メリットとデメリット、正直なところどうなのかアイドリングストップには燃費向上やCO2削減効果が期待できるが(tarou230@Adobestock) メリットは明快だ。停車中にエンジンが止まることでCO2の排出が抑制され、環境負荷の低減につながる。渋滞の多い都市部では燃費改善の実感も得られやすく、アイドリングストップに対応した走行モードではカタログ燃費の改善に直結する。 しかし、デメリットも無視できない。最大の問題はバッテリーへの過大な負担だ。通常の走行であれば1日のエンジン始動は数回程度だが、アイドリングストップが作動すると1日に数十回から100回以上の始動・停止を繰り返すことになる。こいつがバッテリーの寿命を縮めることにもなり、「2〜3年でバッテリーが上がった」という声が急増した。 交換費用も痛い。アイドリングストップ非対応の一般バッテリーと比べ、対応バッテリーは価格が2〜3倍になることも多く、維持コストの増大が実燃費のメリットを帳消しにしてしまうケースも珍しくない。くわえて、再始動時のわずかなもたつきや振動、停車中にエアコンの風量が低下する不快感も「使い勝手が悪い」と感じるドライバーを増やした。最近アイドリングストップが話題にならない理由2020年に登場したトヨタ ヤリスはアイドリングストップを廃止した 2020年代に入り、アイドリングストップを廃止するメーカーが増えてきた。その主な理由はエンジン自体の環境性能の向上だ。燃焼効率の改善や気筒休止技術の進化により、アイドリングストップに頼らなくても十分な低燃費・低排出を実現できるようになってきたのだ。 トヨタは2020年のヤリスでアイドリングストップを廃止、マツダやホンダもこれに続いた。「バッテリーの負担増というデメリットを抱えてまで搭載する意義が薄れた」というのが各社の判断だ。電動化が進むHEV(ハイブリッド車)やBEV(電気自動車)では、そもそもアイドリングストップという概念自体が不要になる。かつてエコの象徴だった機能が、静かにフェードアウトしつつある。いますぐできる対策——オフにする方法と注意点CRAFT WORKSのスズキ ハスラー用アイドリングストップキャンセラー。配線割り込み式で装着も比較的簡単(画像:Fun Standard)「アイドリングストップを使いたくない」というドライバーにとって最も手軽な対策は、ダッシュボードやセンターコンソール付近にある「アイドリングストップボタン」を押して機能をオフにすることだ。多くの車種でこの操作は可能だが、問題はエンジンを再始動するたびにリセットされ、自動的にオンに戻ってしまう点だ。 そこで活用したいのが、市販の「アイドリングストップキャンセラー」だ。車種ごとに専用品が販売されており、配線に割り込ませることでエンジン始動と同時に自動でアイドリングストップをオフにし続けることができる。 DIYでの取り付けも可能だが、不安な場合はカーショップや整備工場に依頼するのが確実だ。費用は製品や工賃によって異なるが、バッテリー交換のコストと比較すれば安価といえるだろう。 誤解してほしくないのは、アイドリング自体は依然NGであることだ。ドライブ前の暖機運転などは控え、無駄なガソリンを使わないことは今も昔も変わらない。