新型CX-5にディーゼルなし! 8年経っても売れ続ける要因のディーゼルをなぜ廃止? 現行を買うか? 新型か?

いまやマツダの大黒柱になっているCX-5は登場から8年が経つのにも関わらず売れ続けている。人気の要因の1つに2.2Lディーゼルエンジンを搭載しているがある。しかし、2026年に登場する新型CX-5にはディーゼルは搭載されない方針となっている。ディーゼルエンジンがある現行を買うか、新型を買うか?
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文:渡辺陽一郎/写真:マツダ
熟成された現行CX-5の評価はいまだに高い

2017年2月に登場した現行2代目CX-5。ボディサイズは全長4575×全幅1845×全高1690mm
2025年1~8月の新車販売台数を見ると、日本国内で最も多く売られたマツダ車はCX-5であった。1か月平均登録台数は2019台で、コンパクトカーのマツダ2は2012台だから、CX-5は僅差でマツダの国内販売1位になった。
現行CX-5は2代目で、2016年の末に発表され、2017年から納車を開始した。したがって今では8年近くを経過する。
それなのにCX-5の販売は、前述の通り好調だ。全長が4500mmを上まわるミドルサイズSUVだが、売れ行きは、先に挙げた人気カテゴリーとされるコンパクトカーのマツダ2だけでなく、コンパクトSUVのCX-30をも上まわる。
CX-5が好調に売れる背景には、複数の理由がある。まず車両のコンセプトが運転の楽しさを大切にしており、フロントマスクなどの外観もスポーティでカッコイイことだ。
ボディサイズと車内の広さも、SUVを購入するユーザーのニーズに合っている。全幅は1845mmと少しワイドだが、全長は4575mmに収まり、最小回転半径も5.5mだから、街中でも運転しにくく感じない。その一方で車内は広く、後席の頭上と足元の空間にも余裕を持たせた。荷室も広い。
ちなみに同じマツダのCX-30は、全長が4395mmに収まって運転しやすい半面、4名で乗車すると後席が狭い。ファミリーカーとしてはCX-5が使いやすい。

現行CX-5に搭載されている2.2L、直4ディーゼルは200ps/45.9kgmを発生。2WDのWLTCモード燃費は17.4km/L
CX-5では、直列4気筒2.2Lクリーンディーゼルターボエンジンも注目される。最高出力は200ps、最大トルクは45.9kgmで、後者の数値はガソリンのノーマルエンジンに当てはめると4Lに相当する。しかも実用域の2000回転で発生するから扱いやすく加速は力強い。
ディーゼルのWLTCモード燃費は2WDが17.4km/Lと良好で、軽油価格はガソリンに比べて1L当たり20円ほど安い。そのために燃料代は、日産エクストレイルのe-POWER(ハイブリッド)、あるいはコンパクトなヤリスクロスのノーマルエンジン搭載車と同等だ。
さらにCX-5のディーゼルの価格は割安だ。ディーゼルを搭載する買い得なXDブラックセレクション2WD(345万9500円)は、直列4気筒2Lのノーマルガソリンエンジンを搭載する20Sブラックセレクション2WD(314万500円)と比べて、価格アップを31万9000円に抑えた。ハイブリッドの価格がノーマルガソリンエンジンに比べて35万~60万円高いことを考えると、CX-5のディーゼルは割安だ。

CX-5 XDブラックセレクション2WDの価格は345万9500円、4WDは369万500円
そしてCX-5 XDブラックセレクション2WDの価格は、カローラクロスハイブリッドZ 2WD(343万円)、ヴェゼルe:HEV・Z・PLaYパッケージ2WD(355万6300円)など、コンパクトSUVに1.5Lのハイブリッドを搭載した主力グレードに近い。
さらに同じマツダのコンパクトSUV、CX-30に直列4気筒1.8Lクリーンディーゼルターボを搭載するXDブラックセレクション2WD(327万3600円)と比較しても、CX-5の同グレードは、価格アップを18万5900円に抑えた。
CX-5のディーゼルでは動力性能は高く、価格と燃料代が安い。ほかの機能も実用的で買い得感が強いため、CX-5はヒット商品になった。
新型CX-5の日本発売は2026年後半か!?

2025年7月、ヨーロッパで先行公開された新型マツダ CX-5
CX-5が新型にフルモデルチェンジする。2025年9月下旬、販売店に尋ねると以下のようにコメント。
「フルモデルチェンジは2026年度中に実施される。おそらく2026年の後半だろう。1年以上先だから、今のところ詳細は未定だ。現行型の受注も止まっておらず、現行モデルはすべてのグレードを注文できる」。
それでも2025年7月には、次期CX-5(欧州仕様)の概要やデザインが公表された。まず外観は、現行型の路線を踏襲したスポーツ指向だ。ボディは主に前後方向に拡大され、全長は4690mm、全幅は1860mmになる。
次期CX-5の全長を現行型と比べると115mm長く、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も同じ数値だけ拡大されて2815mmに達する。ボディを拡大した分だけ後席の足元空間なども広がると思うが、運転のしやすさは損なわれる可能性がある。
最も気になるのはパワーユニットだ。次期型では、現行型で人気のディーゼルが廃止され、発売当初は直列4気筒2.5Lガソリンエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせる。

発表された新型CX-5のボディサイズは全長4690×全幅1860×全高1695mm。現行CX-5は全長4575×全幅1845×全高1690mmだから、現行CX-5よりも全長が115mm長く、全幅が15mmワイド、全高が5mm高くなっている
2027年には、新たに開発された2.5LガソリンのSKYACTIV-Zを使ったストロングハイブリッドも加わる。ディーゼルはCX-60やCX-80が搭載する直列6気筒のみになる予定だ。
今のSUVではハイブリッドが急増しているが、CX-5の個性はディーゼルの搭載にある。CX-5のスポーティな内外装とディーゼルの高い駆動力は親和性が高く、CX-5の国内販売総数の内、60~70%はディーゼルが占める。このエンジンを失うことは、国内市場では痛手になる。
価格も大切だ。次期型の詳細は未定だが、現行型では、ガソリンエンジンと比べた時のディーゼルの価格アップを前述の約32万円に抑えた。昨今の原材料費の値上げと次期型がマイルドハイブリッドを採用することも考えると、少なくとも現行型のガソリンと比べて、30万円前後は値上げされる可能性が高い。
そうなると新型CX-5のマイルドハイブリッドの価格は、現行ディーゼルと同等か、それ以上に高くなるかも知れない。2.5Lハイブリッドの中級グレードが、現行XDブラックセレクションと同等の350万円から380万円になるわけだ。

新型CX‐5の包み込まれるようなデザインが特徴のインテリア。センターディスプレイは旧型(10.25インチ)と比較してかなり大型化された
2027年に登場する新型CX-5のストロングハイブリッドは、マイルドハイブリッドに比べて50万円前後は高いだろう。現行型に設定されたブラックセレクションのような価格の割安なグレードでも400万~430万円に達する。この価格はトヨタハリアーハイブリッドの中級グレードになるG(430万1000円)と同等だ。
つまり新型CX-5が割高になっても、ハリアーと比べれば価格や買い得度は同等だが、それなら多くのユーザーはハリアーを選ぶだろう。CX-5が従来と同様の高人気を保つには、ハリアー、RAV4、エクストレイルなどでは得られないマツダの世界観に合った独自の価値と、割安な価格が求められる。現時点では独自の価値が分からない。
現行CX-5のディーゼルか新型か?

上が現行、下が新型CX-5
今後の動向としては、2026年に入ると、現行CX-5の受注停止が段階的に始まる。特定のパワーユニットやグレードが受注を止めて、次第に選べる仕様が限られてくる。
そこも踏まえると、CX-5のディーゼル搭載車が欲しいなら、早めに契約した方が良い。販売店によると「CX-5の納期は、短ければ1か月少々で、長くても3か月」というから購入しやすい。
また販売店では「次期CX-5の値引きは少額になるが、現行型なら相応に拡大できる」という。現行CX-5の商談を進めれば、おそらく30万円程度の値引きは引き出せるだろう。現行型はますます割安になる。
今後は次期CX-5の登場に向けて、いろいろな情報が少しずつ公開される。それを見た上で、現行型を買う方法もある。クルマは現行型よりも新しい次期型が魅力的になるのが当然だが、次期CX-5は、ユーザーによってはそうならない場合もあるから注意したい。今後公開される情報も、現行型と比べながら検討したい。