日産自動車(以下、日産)は2025年4月22日、日産ブランドの新しいコミュニケーションを発表するイベント「NISSAN START AGAIN(日産スタートアゲイン)2025」にて、新型「エルグランド」のデザインの一部を公開した。
第3世代のe-POWERを搭載して4代目に進化
「エルグランド」は日産のLクラスミニバンで、初代は1997年に登場。ゆとりのある広い室内と高級な内装を両立させた「プレミアムミニバン」のパイオニアとして、日本に新たな市場を開拓してきた。
その後、2代目は2002年、3代目は2010年にフルモデルチェンジを実施し、着実に進化してきた。しかし、その3代目は一部改良やマイナーチェンジなどは行なわれたものの、ここまで15年にわたってフルモデルチェンジがなかった。

こちらは3代目となる現行型エルグランド。威風堂々のデザインと高級志向のインテリアで人気を博したが、15年もフルモデルチェンジしていないので、さすがに古さを感じる。
3代目エルグランドは、それまでFR(後輪駆動)ベースだったものをFF(前輪駆動)ベースへと変更。室内の広さをさらに拡大し、ミニバンとしての使い勝手を向上している。エンジンは3.5L V6と2.5L直4の2タイプで、ハイブリッドの設定はない。
しかし今回発表された次期「エルグランド」は、第3世代となる日産のハイブリッドシステム「e-POWER(イーパワー)」を搭載する。2025年度後半に公開、2026年度の発売を予定しているという。
第3世代のe-POWERは、新開発となる発電専用1.5L エンジンと、モーターやインバーターなど5つの部品をモジュール化することにより軽量化された「5-in-1」を採用。大幅な静粛性の実現と燃費の向上を目指している。
ライバルのアルファード/ヴェルファイアに待ったをかけられるか!?

全体的なシルエットはこれまでのエルグランドを踏襲しながら、第3世代のe-POWERを搭載するために新しいプラットフォームを採用するものと思われる。
エルグランドと言えば、トヨタ・アルファード/ヴェルファイア(以下、アル/ヴェル)のライバルとして長きにわたって切磋琢磨してきた歴史がある。
しかし、アル/ヴェルは2023年に現行型(4代目)フルモデルチェンジを実施したものの、エルグランドは15年も3代目のままで、明らかな遅れを取っていた。しかし、ようやく今回次期モデルの情報が公開され、第3世代のe-POWERを搭載することも明らかになった。
発売の時期は2026年度ということで、遅ければ2027年3月ということも考えられる。だとするとまだ2年近くあるわけで、なぜこのタイミングで発表したのだろうか。
日産は2025年4月に内田誠前社長からイヴァン・エスピノーサ新社長にトップが引き継がれており、経営危機からの脱却を図ろうとしている。次期エルグランドはその先陣を切る形で情報を公開し、日産の復活を印象づけようという狙いがあるものと思われる。
現在、Lクラスミニバンはアル/ヴェル一強状態で、エルグランドのフルモデルチェンジを待っていたという人は多いはず。アル/ヴェルの価格設定は555万円から最新のPHEVは1065万円とかなり強気なので、エルグランドがそれよりお買い得な価格を付けられれば、アル/ヴェルに待ったをかけることもできるはず。
果たして、日産の復活を象徴するような進化を遂げるのだろうか・・・期待して待ちたい。
Source: 待ってました! 日産がエルグランドのフルモデルチェンジを予告。印象的なデザインの一部を公開