10/05/2025 · 4 ヶ月前

「2ペダルじゃもの足りない」って人に! BMW新型「M2」6速MTは“3ペダルMT×FR×ストレート6”で歓びを全身で味わえる一台です

いまでも新車で手に入る「3ペダルMTのFRスポーツカー」

 いまや絶滅危惧種と化した3ペダルのマニュアル・トランスミッションながら、BMWはそれが「駆けぬける歓び」のひとつの表現方法だとしてちゃんと残してくれています。新型「M2」にもきっちり設定される6速MTモデルの魅力に迫ります。

BMW新型「M2」

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 2024年のマイナーチェンジ(LCI)によって、より熟成が進んだBMW のG8X型「M3」「M4」は、BMW Mの性能と世界観を強く訴えるモデルとして、いまだに根強い人気を誇っています。BMWが持つ多種多様なパワートレインのなかでも、最高峰のひとつにあるS58B30A型の3リッター直列6気筒ツインターボを搭載し、最高出力530馬力・最大トルク650Nmと、もはやスーパーカー級の性能を備えています。

 ただし、これを安全・安心かつ効率的に推進力に変えるためか、日本導入モデルに関しては、電子制御4WD(M xDrive)と、8速AT(8速 Mステップトロニック)を組み合わせるコンペティション M xDriveのみに。いままでは、たとえ売れるのが少数であっても、3ペダルMT+FRモデル(ピュア)を残していただけに、一抹の寂しさを感じます。

 だからといって、3ペダルMTを根絶やしにしないのがBMWらしいところです。M3とM4の弟分であるM2も同じタイミングで改良が加わりましたが、しっかりと「6速MT」モデルがラインナップされています。若干、デチューンはされていますが、M3とM4と同じ3リッター直列6気筒ツインターボを、両手両足を使って存分に楽しむことができる存在です。さらにM2は、8速ATモデルであっても、純然たる後輪駆動(FR)を貫くところも見逃せません。

横方向にワイド化したフロントホイールハウスなど、「2シリーズクーペ」をベースとしながらもより存在感を強調

 もちろん、純然たる速さでは2ペダルには敵わないでしょう。理知的かつ効率的M2は最高出力480馬力を発揮しますが、最大トルクは8速ATモデルの600Nmに対して、6速MTモデルは550Nmにとどまります。とはいえ、それでも十分以上にパワフルな数値的性能であることには変わりません。

 平成初期、国産チューニングカー全盛期を知る層にとっては、「最高出力480馬力のFRスポーツカー」なんて、あの手この手でチューニングしなければ手に入らない存在でした。それをツルシの状態で達成していて、しかも新車で買えるのは大きな価値だといえます。国産車をさんざんイジり尽くしてきたチューニング業界の重鎮たちは、M2のパッケージに熱い視線を向けているようです。

「重要文化財」として後世に残したいパッケージ

 操作系やインフォテイメントシステムは、BMWの最新流儀に則ったデジタルライクな設計となっています。そこに唯一、アナログなシフトノブがニョキっと生えているのが新鮮に映ります。アイドリングからぶ厚いトルクがクラッチに覆い被さるので、発進に気を遣うこともありません。

リアエプロンは、パワフルに彫刻されたレーシングカー風のディフューザーを備えています

 程よい反力を持たせたシフトフィールや、右足のチカラ加減を忠実にパワーユニットに伝えてくれるスロットルペダルなど操作系の感触は格別です。

 自分でヒール&トゥを楽しみながら走ってもよし、賢いオートブリッピング(シフトアシスト)で流してもよし。FRだからか人間の感性とピタリと一致するかのようなハンドリングも気持ちよく、その一体感をより強調させてくれるのが6速MTだと思います。

 もちろん、2ペダルでいとも簡単に、人間の感覚が追いつかないほどの加速感やコーナリング性能を成立させた技術進歩には驚かされます。しかし、サーキットでタイムアタックでもしなければ、8速ATと6速MTの性能差なんてわずか。街乗りをクルージングする際は、ストレートシックスならではの独特の鼓動を手懐けながら、余りあるトルク性能と、身体の一部になったかのような俊敏性を持って、日常を彩ってくれます。

 6速MTモデルにはストップ&ゴー機能を含めたACC(アクティブクルーズコントロール)が設定されず、通常のクルーズコントロールのみとなります。とはいえ、クルマ任せにするのがもったいないと思えるくらい「人間が運転する楽しさ」を再確認させてくれました。

インテリアはiドライブコントローラーやタッチ操作が可能な視認性に優れたカーブドディスプレイなど、M3やM4と共通のコンポーネントを多く採用

 日本では昨今実施された免許制度の改革まで後押しして、オートマ限定ではない免許は、大型特殊免許級のレア度になっていくかもしれません。それに伴って「新車で変える3ペダルMTのFRスポーツカー」というのは絶滅危惧種になっていくのでしょう。

 でも、だからこそBMW M2は、マニュアル好きにとっての重要文化財。ちなみに2025年04月以降生産分の消費税込みの車両価格は1018万円で、6速MTと8速ATは同一価格となっています。同じパワーユニットを積むM3とM4が1470万円からという価格設定を考えると、お買い得とまではいえずとも、「費用 対 性能」にして「費用 対 価値」は抜群に高い。そう実感させてくれるのが、この人馬一体感あふれる走りです。

BMW M2

BMW M2

・車両本体価格(消費税込):1018万円

・全長:4580mm

・全幅:1885mm

・全高:1410mm

・ホイールベース:2745mm

・車両重量:1710kg

・エンジン形式:直列6気筒ツインターボ

・排気量:2992cc

・エンジン最高出力:480ps/6250rpm

・エンジン最大トルク:550Nm/2650−6130rpm

・燃費(WLTC):9.8km/L

・駆動方式:FR

・変速機:6速MT

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