羊の皮を被った狼なのでは?と思える“ありかも!”な走りを魅せるけど内装はやや“クセ強”昨年、あの方の「ありかも、BYD!」のCMでも注目を集めたBYD。今後はPHEVも加え、意欲的に乗用車のラインアップ拡充を図るとのことだが、その日本市場進出の第一弾として2023年1月に投入されたのが、このBYD「ATTO 3(アット3)」(418万円〜)だ。 バッテリーメーカーが出自の強みを生かし、安全で長寿命というリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを薄いブレード状にし、それを並べて床下に置き、車体の構造体としても使うという実はユニークな設計。 バッテリーは急速充電30分で30〜80%の充電が可能で、1回のフル充電での走行可能距離は470㎞(WLTC値)と、BEVとしてのスペックは充実したものとなっている。 ▲型式TZ200XSQ・交流同期電動機を搭載。定格出力65kW、最高出力150kW、最大トルク310N・mを発揮 ▲運転席の正面に備わるメーターは5インチとやや小振り。速度計、バッテリー残量などを表示する 全長4455㎜×全幅1875㎜×全高1615㎜、ホイールベース2720㎜。数字だけ見ると全幅があるようにも思えるが、最小回転半径が5・35mに抑えられ、実際の取り回しは手狭な場所でもまったく問題なし。 ▲シフトセレクターはセンターコンソールに備わる。日本仕様のウインカーレバーはコラム右側に ▲200Vの普通充電(右)とCHAdeMO方式の急速充電用(左)の2つの充電口を装備。V2Lにも対応 “eSUV”を名乗るも、スリークな優しいデザインは親しみやすさを感じさせてくれる。 一方でインテリアは、やや“クセ強”というべきか。ドアトリム、空調吹き出し口を始め凝ったデザイン、ディテール。その中で、電動回転式で縦/横に変えられる15.6インチのタッチスクリーンはBYDを象徴する装備の代表。これは上級車のシールにも備える。 ▲フロントシートはバケットタイプ。見た目の印象どおりフィット感は上々。電動調節機能も付く ▲ギターを模したという個性的な(?)ドアトリムのデザイン。上の筒状の部分がドアオープナーだ 走らせた印象は、BEVらしくとにかくスムーズで洗練されたドライバビリティが味わえる。150kW/310Nmの動力性能は十二分で加速も俊敏。 低重心なこともあり、ハンドリングも実に爽快で、実は現代の羊の皮を被った狼なのでは? と思える瞬間さえある…そんなクルマだ。 ▲ラゲッジスペースは440Lあり、床板の高さは高/低の調節が可能。実用的なスペースを用意 ▲乗り心地・NVH評価担当の愛犬・シュン(柴犬・オス・3歳)。振動の少ないBEVはお気に入りだ >>BYD <文・写真/島﨑七生人>