ホンダが伝統の400cc・並列4気筒マシン2機種を復活させる。それが2026年3月~4月に開催された大阪・東京・名古屋の「モーターサイクルショー2026」で展示した「CB400スーパーフォアE-クラッチ コンセプト(以下、CB400SF)」「CBR400RフォアE-クラッチ コンセプト(以下、CB400Rフォア)」だ。 【写真を見る】ホンダの新型「CB400/CBR400RスーパーフォアE-クラッチ コンセプト」をはじめ、歴代モデルも含めて比較する(69枚) まだ参考出品の段階のため、いずれも車名に「コンセプト」という文字が入っているが、市販化される可能性はかなり高いようだ。CB400SFは、1959年から続くCBシリーズの最新版で、2022年に惜しまれつつも生産終了となった同名ネイキッド(カウルレス)モデルの後継機種として登場。また、CBR400Rフォアは、1990年登場の「CBR400RR」以来、ホンダとしては約36年ぶりの400cc・4気筒のフルカウルスポーツとなる。 いずれも、幅広いユーザー層がいる普通二輪免許で運転できる最大排気量のモデル。しかも、ホンダを代表する名車のコンセプトなどを受け継ぐだけに、大きな注目を集めている。当記事では、そんなホンダ最新2機種を、東京モーターサイクルショー2026で取材。実際に車両へまたがってみた印象も含め、主な特徴を紹介する。 【写真】ホンダの新型「CB400/CBR400RスーパーフォアE-クラッチ コンセプト」をはじめ、歴代モデルも含めて比較する(69枚) ホンダを代表するCB400SFの歴史 59年発売の「ベンリィCB92スーパースポーツ」(写真:本田技研工業) まずは、新型CB400SFについて、その歴史を振り返る。車名にある「CB」とは、長年ホンダを代表してきた高性能オンロードモデルのシリーズ名だ。59年発売の「ベンリィCB92スーパースポーツ」からはじまり、2輪車レース最高峰のWGP(現在のMotoGP)などで培った技術力を活かし、つねに時代の最先端技術を投入してきたモデル群を指す。 69年発売の「ドリームCB750フォア」(写真:本田技研工業) とくに世界的に注目されたのが、69年発売の「ドリームCB750フォア」。今に続くホンダ伝統の並列4気筒エンジンをはじめて搭載したモデルだ。当時の量産車でトップとなる最高出力67PSを発揮し、最高速度は200km/hを達成。まさに高性能な日本車の代表格として世界で大ヒットを記録し、多くのライダーが憧れる「ナナハン」という言葉を生むきっかけにもなった。 74年発売の「ドリームCB400フォア」(写真:筆者撮影) そして74年には、その400cc版といえる「ドリームCB400フォア」が登場。CB400SFの元祖的モデルだ。当時の400ccは2気筒エンジンが主流だったなか、高性能な4気筒エンジンを採用。市販車初となる4in1の集合マフラーなどによるスタイリッシュなフォルムも相まって、若い世代を中心に高い支持を受ける。 92年発売の「CB400スーパーフォア」(写真:本田技研工業) 92年発売の「CB1000スーパーフォア」(写真:本田技研工業) 一方、今回新型が登場したCB400SFの初代モデルは92年に発売。こちらは、同年に発売された1000ccの大型ネイキッドモデル「CB1000スーパーフォア(以下、CB1000SF)」の400cc版で、1000cc版が持つ迫力のフォルムを継承。最高出力53PSというハイパワーに加え、高回転まで心地よくまわる400cc・水冷4気筒エンジンなどが人気となり、ホンダを代表するロングセラーモデルに成長。排ガス規制の影響で2022年に一旦生産終了となったが、今回見事に復活を果たすことになる。 新型CB400SFの特徴 モーターサイクルショー2026で展示された「CB400スーパーフォアE-クラッチ コンセプト」(写真:筆者撮影) まさに、ホンダの歴史的名車の系譜を受け継ぐモデルが新型CB400SFだ。スタイルは、歴代モデルと同様に、上位機種といえる1000ccモデルを継承。2025年11月に発売された現行「CB1000F」とのリレーションを図ったデザインを採用する。 丸目一灯のLEDヘッドライトや角張った形状の燃料タンクなどがレトロな雰囲気を演出。美しいカーブを描く4in1のエキゾーストパイプは、先述したホンダ・400cc4気筒の始祖・ドリームCB400フォアを彷彿とさせる。 エンジン自体は完全新設計で、最新の排ガス規制にも対応。最高出力などのスペックは未公開だが、先代モデルが最高出力56PSだったので、同等かそれ以上の出力を発揮することが期待される。 新型CB400SFのリアビュー(写真:筆者撮影) 機能面のトピックでは、6速ミッションと「ホンダE-クラッチ」をマッチングしていることも挙げられる。ホンダE-クラッチとは、MT(マニュアル・トランスミッション)車ながら、スタートから加速、停止まで、クラッチレバーを一切使わずに走行可能な新機構だ。しかも、クラッチレバーを使った走りも選べることで、初心者からベテランまで、幅広いライダーによりスポーティで、楽しいライディング体験を提供する。 また、アクセル操作によるエンジン制御などについて、従来のワイヤー式から電気信号でECUに伝える方式とした「スロットル・バイ・ワイヤ」機構も採用。シフトダウン時に、エンジン回転数を適度に上げて急激なエンジンブレーキの発生などを防ぐ「ブリッピング」機構なども備えることで、よりスムーズな変速や走りも実現する。 新型CB400SFにまたがった印象 新型CB400SFのエンジン(写真:筆者撮影) 新型CB400SFは、車体の具体的なサイズなども未発表。だが、実車を見てみると、1000ccのCB1000Fと比べ、比較的小柄であることがすぐにわかる。会場では、車両にまたがることもできたが、足つき性はかなり良好だった。片足だけ地面につける場合は、カカトまでべったりだ。両足をつく場合、カカトはやや浮くが、バランスを崩して立ちゴケするなどの心配はないレベルだ。 ライディングポジションは、アップライトなハンドルなどにより、スポーツモデルながらさほど前傾姿勢はきつくない。長距離ライディングでも疲れにくいことが予想できる。 また、燃料タンクは、手前(ライダー側)が絞り込まれた形状のため、ニーグリップがとてもしやすい。ひざで燃料タンクをはさみ、車体のバランスなどを取るのもかなり楽そうだ。加えて、コンパクトな車体は、街中の細い路地などでも走りやすそうだし、駐車場での押し歩きも楽なことがうかがえる。 ブラックのカラーリングをまとった新型CB400SF(写真:筆者撮影) なお、今回のショーでは、ブラック、ホワイト、レッド、シルバーといった4タイプのボディカラーを施した仕様が展示された。とくにシルバーをベースにブルー系のラインを施した仕様は、兄貴分CB1000Fのイメージカラーと同様で、雰囲気がかなり似ている。1000cc版と400cc版が兄弟車であることが一目でわかる仕上がりとなっていることで、最も多くの注目を集めていた。 CBR400RフォアE-クラッチコンセプトもスタンバイ CBR400RフォアE-クラッチ コンセプトのスタイリング(写真:筆者撮影) 一方のCBR400Rフォア。こちらは、80年代から続く「CBR」シリーズに属する最新作だ。同シリーズは、歴史あるCBシリーズから派生したもので、さらなるスポーツ性能を求めるライダーに向けに、レーシングマシンの性能をよりダイレクトに反映していることが特徴だ。1000ccの「CBR1000RR-Rファイヤーブレード」から250ccの「CBR250RR」まで、さまざまな排気量のフルカウルスポーツを揃えている。 そんなCBRシリーズのなかで、1990年発売「CBR400RR」以来、約36年ぶりとなる400cc・4気筒のフルカウルモデルが新型CBR400Rフォアだ。車体やエンジンは、CBR400SFと共通。スタートから加速、停止まで、クラッチレバーを使わずに走行できるホンダE-クラッチや、スロットル・バイ・ワイヤなどの最新装備も同じく採用する。 CBR400Rフォアのリアビュー(写真:筆者撮影) また、外観デザインは、ホンダによれば「金属を削り出したようなソリッドな面表現」を採り入れたことがポイント。「近未来的な灯火器のデザインとあわせて最先端マシンの持つ高い性能を表現」したのだという。 ちなみに、現行ラインナップにも、400ccの「CBR400R」というモデルがある。だが、こちらのエンジンは2気筒。4気筒を搭載するCBR400Rフォアのほうが、より心地よい高回転フィーリングを楽しめることが予想できる。 なお、今回のショーでは、CBR400Rの新型も発表されており、前述のホンダE-クラッチが搭載される予定だ。まだ、詳細は明らかになっていないが、2気筒のCBR400Rと4気筒のCBR400Rフォアが併売される可能性も十分にありそうだ。 近年、400ccクラスのフルカウルモデルは、ホンダ以外では、カワサキが「ニンジャZX-4R SE/4RR」「ニンジャ400」などを揃えるのみ。かつては、ヤマハやスズキにも設定があったが、現在は販売されていない。 80年代や90年代のバイクブーム時代と比べると、選択肢が少なくなっているのが現状だ。そんななかで、新型CBR400Rフォアの登場で、400cc・フルカウルモデルが、かつてのような人気を取り戻せるのかも注目だ。 普通二輪免許で乗れる400ccクラスの魅力 CBR400Rフォアのメーターまわり(写真:筆者撮影) ちなみに今回披露された2機種は、2025年9月に中国・重慶モーターサイクルショーで発表された500ccモデルの国内版だ。中国では、ネイキッドの「CB500スーパーフォア(CB500SF)」と、フルカウルの「CBR500Rフォア」が発表されており、エンジンの排気量のほかは、ほぼ国内400cc版と同様のようだ。 ホンダによれば、「中国でも中排気量クラスのスポーツバイクが人気」のため、これら500cc版を発表したという。一方、国内版は、「普通二輪免許で運転できる」バイクとして、排気量を400ccに落としたモデルを開発中とのこと。国内の免許制度では、排気量無制限の大型二輪免許と比べ、400ccまで運転できる普通二輪免許のほうが、取得が比較的楽なことで、ユーザーもより幅広いといえる。 なかでも400ccモデルは、普通二輪免許で運転できる最大排気量だけに、より余裕ある走りが楽しめることも魅力だ。もちろん、250cc以下のモデルと比べ、車検が必要なことで維持費はかかる。だが、長距離ツーリングなど、本格的なバイクライフを楽しみたい普通二輪免許ユーザーには、前述したラインナップが少ないことで、選択肢も狭いことも現状といえる。そうした課題に対し、ホンダの新型2機種が、市場からどんな反響を受けるのかも気になるところだ。 なお、新型のCB400SFとCBR400Rフォアの価格や発売時期など、詳細は未発表だ。ホンダから続報が入り次第、またお伝えしたい。