欧州で活躍している日産のSUV「キャシュカイ」の最新モデルがいま、話題となっています。鍵を握るのは、第3世代へと進化したe-POWER。高速巡行が得意なディーゼルモデルを上回る高速燃費を達成し、完成度を高めたキャシュカイという器にこの電動パワートレインが加わったことで、SUVとしての魅力がさらに高い次元へと引き上げられています。 ■かつての「デュアリス」 欧州で大きく成長日産「キャシュカイ(QASHQAI)」は、同社が主に欧州で展開しているミドルクラスSUVです。日本でもかつて「デュアリス」として販売されていました。現行モデルは2021年に登場した3代目で、都市部や郊外の狭い道、高速道路、ワインディングまで走りこなす高い「万能性」によって支持を拡大。欧州では年間10万台以上を安定して販売する、まさに欧州日産の屋台骨ともいえる存在です。Yahoo! 配信用パラグラフ分割 全長4.4m、全幅1.8m程度のコンパクトSUVである新型キャシュカイ 最新型は2024年4月にビッグマイナーチェンジを受けたモデル。フロントフェイスは従来のVモーショングリルから一新され、日本の甲冑に用いられる「うろこ模様」からインスパイアされたという緻密で繊細なパターンを全面に配した新たなデザインを採用しています。光沢のあるブラック塗装で仕上げられたフロントグリルは、見る角度によって表情が変わる個性的なもの。ヘッドライトの形状もよりシャープなものに変更され、その下にはグリルと同じ「カンマ」形状のデイタイムランニングライトが配置されています。リアのコンビネーションランプ内にもフロントグリルと共通するモチーフがあしらわれ、全体として洗練された印象を強めました。インテリアも、上級グレードにはアルカンターラ素材が採用されており、最新のコネクテッド技術、安全運転支援システムも、もちろん搭載されています。 ■実燃費なんと約26.6km/L!!この最新のキャシュカイに、2025年6月、日産の次世代ハイブリッドシステムである第3世代e-POWERが搭載されました。日産は第3世代e-POWERについて、「初代e-POWER比で燃費を20%向上させ、高速走行時の燃費については、第2世代e-POWER比で15%の改善を達成する」としていましたが、実際に登場した第3世代e-POWERを搭載する新型キャシュカイのWLTP燃費は、4.5L/100km(約22.2km/L)。従来型キャシュカイe-POWERのWLTP燃費5.1~5.3L/100km(約18.9~19.6km/L)を13.2~17.4%上回り、掲げていた性能目標を見事に達成しています。Yahoo! 配信用パラグラフ分割 日本のキックスよりも大きく、エクストレイルよりも小さなサイズのキャシュカイ 実燃費はさらに素晴らしく、日産の発表によると、イングランド南西端のLand's End(ランズ・エンド)からスコットランド最北東端のJohn o' Groats(ジョン・オ・グローツ)までの英国本島縦断ルート、837マイル(1,347km)をなんと無給油で走破、なお約100マイル(160km)分の燃料が残っていたといいます。その際の燃費は実に75 MPG(3.76L/100km、約26.6km/L )。ドイツの自動車連盟ADACによるエコテストでも、5.4L/100km(18.5km/L)という優れた数値を記録しています。この成果を支えているのは、発電専用として開発された新エンジンと、モーターやインバーターなどを一体化した「5-in-1電動パワートレイン」。新型エンジンは、燃焼効率を最大化するSTARCコンセプトを採用したことで42%という高い熱効率を実現し、5-in-1電動パワートレインによって軽量化を実現。システム全体のロスを大幅に低減し、燃費性能の向上につなげています。欧州の厳しい評価基準のもとで結果を残したことは、第3世代e-POWERが「世界で戦えるパワートレイン」へと進化したことを示しているといえるでしょう。 ■日本ではさらに真価が発揮されるはず!!従来のe-POWERは、主に市街地や郊外でのキビキビした走りや低燃費が評価されてきた一方で、高速巡航時の燃費悪化については、改善を望む声も少なくありませんでした。第3世代e-POWERは、そうした課題に正面から向き合った進化といえます。Yahoo! 配信用パラグラフ分割 モダンで先進性を感じさせるインテリア。ダッシュボードやシート素材の質感も高い!! この第3世代e-POWERが日本で最初に搭載されるのが新型エルグランドです。日本市場は、渋滞の多い都市部から長距離移動の高速道路まで、走行環境の幅が非常に広く、エアコン使用が前提となる高温多湿な気候など、燃費にとっては厳しい要素が多い環境です。そのような状況下で、この第3世代e-POWERの真価がどれほど発揮されるのかは気になるところですが、欧州で示された燃費性能が日本でも発揮されれば、e-POWERに対する評価は大きく変わると思われます。日本にやってくる日が非常に楽しみです。Text:吉川賢一 Photo:NISSAN