2024年のEICMAで発表されたスズキのDR-Z4SとDR-Z4SMが日本でも販売を開始。往年の名車復活かと思いきや、まるで別物。新たなるスポーツバイクの登場に歓喜!文:小川 勤、オートバイ編集部/写真:南 孝幸▶▶▶写真はこちら|「DR-Z4SM」の全体・各部・走行シーンスズキ「DR-Z4SM」インプレ(小川 勤)SUZUKI DR-Z4SM 2026年モデル総排気量:398cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 シート高:890mm 車両重量:154kg発売日:2025年10月8日(水) 税込価格:119万9000円軽快かつパワフルな痛快シングルスポーツ!スーパーモタードというよりライトウエイトスポーツシングル。そんなDR-Z4SMは、ウエット路面でもスポーツライディングの楽しさを確信するのに時間は掛からず、運動性の高さはもちろん、操る楽しさを新鮮さと共に見せてくれた。「今の時代に単気筒エンジンと繊細に向き合うと、これほど面白くなるのか」試乗会では、終始このことを噛み締めながら走った。昔のバイクの復刻は、ともすればネタ切れに思う方もいるだろう。しかし、DR-Z4SMは驚くほどの変貌を遂げ、甦った。それは想像のはるか上をいく完成度で、話題になっている価格に関しても、僕はバリュー・フォー・マネーだと思う。試乗会当日は久しぶりに見た国産メーカーの本気と意地に嬉しくなるほどで、開発陣も「話したい!自慢したくて仕方ない」とても良い雰囲気だった。そんなDR-Z4SMのディテールは細部まで凝っている。サスペンションは400ccモデルとしては希少なアジャスタブル仕様で、エンジンは前モデルがベースだが、多くの部品をリファイン。電子制御機器を隠す場所がないシンプルなDR-Z4シリーズだが、試行錯誤を重ねた様々なディテールを見ると、その開発は気が遠くなるほど大変だったことも伝わってくる。跨るとスリムでこれぞ単気筒スポーツ、オフロード車ベースのメリット。まずSDMSはCを、STCSは2を選択。最も優しい仕様で走り出す。初めてのコース、さらに寒さと緊張でリラックスできない1本目には最適のモードで、バイクがライダーに優しく寄り添ってくれる。画像: スズキ「DR-Z4SM」インプレ(小川 勤)走行中でもスロットルを戻していればモードは変更できるため、色々と試す。ただ、思いのほかSTCSは介入せず、車体とサスペンションがよく機能していることが伝わってくる。バイクに慣れてくるとパワフルなAでも走ることができ、スロットル操作で車体のピッチングを出すことができるため、挙動も軽く感じられた。エンジンはトルクの立ち上がる部分の過渡特性がよく作り込まれ、スロットルを開けた瞬間に後輪が路面を掴み、それをグリップへと転換する振る舞いが素晴らしい。これがスペック以上の力強い加速を見せてくれるポイントだろう。前に座ったり、後ろに座ったりも試すが、僕にはロードスポーツのように後ろに座った方がしっくりくる。サスペンションはよく動くけれど、ウエットだと減衰力が強いイメージで、それでもライダーの小さなアクションに正確に反応するレスポンスの良いハンドリングはとても魅力的だった。しかし、今回の試乗はこのコンディションである。いつかドライ路面でその真価を見たい!スズキ「DR-Z4SM」カラー・人気投票スズキ「DR-Z4SM」ライディングポジション・足つき性シート高:890mmライダーの身長・体重:166cm・68kg画像1: スズキ「DR-Z4SM」ライディングポジション・足つき性DR-Z4Sより30mm高いシートを採用するSM。890mmのシート高は同様の数値だが、SMの方が足つきは良い印象。僕の体格だと両足をつくことはできないが、オフロード車ベースの軽さとスリムさが味方になり、相応のキャリアがあればそれほど難しさを感じさせないはずだ。画像2: スズキ「DR-Z4SM」ライディングポジション・足つき性スズキ「DR-Z4SM」各部装備・ディテール解説LEDを利用した現代のフロントマスクは、アグレッシブなスタイリングに貢献する。旧DR-Z4オーナーが心配する車検も、当然だが簡単にクリアできるとのことだ。LEDを採用したテールライトとウインカー。このあたりの作りが強固なのはハードな走りを想定しているからだろう。左ウインカーの奥に見えるのは、工具箱でなくキャニスター。8000rpmで17%、全域で20%のメカニカルロスを軽減し、パワーと燃費を稼ぐエンジン。燃焼室はツインプラグ化し、IN側バルブはチタン、EX側バルブは中空になっている。ヘッドカバーは軽量なマグネシウム製だ。ユーロ2からユーロ5への排出ガス&騒音規制に対応させるために容量を増やし、2箇所に触媒コンバーターを導入したマフラー。単気筒ならではの小気味良い音質を奏でる。圧側・伸側ダンピングの調整が可能KYB製の倒立フロントフォークを装備。スーパーモトのトラックやオンロードでのスポーツ走行に適した、俊敏かつスポーティーなハンドリング性能を実現する。ホイールはワイヤースポークの前後17インチ。スイングアームはアルミ製で、リアサスペンションは、プリロードの調整に加えて、伸側ダンピングの調整と圧側ダンピングの調整(低速域・高速域を独立して調整可能な2WAY方式)が可能となっている。情報量が豊富で視認性の高いメーター。各制御はSとSMで別物となり、SDMCはA、B、Cから、STCSは1、2、Gから選べる。SMはリアのABSをキャンセルすることもできる。シートは足つき性を優先しながらライディングポジションの自由度を保てることを目指し、設計を最適化。ウレタンフォームの形状、硬度、材質を最適化し、シートボトムとブラケットの間にゴムクッションを採用して振動の伝達を抑え、疲れにくいシートを実現。スズキ「DR-Z4SM」動画・写真スズキ「DR-Z4SM」主なスペック・燃費・価格文:小川 勤、オートバイ編集部/写真:南 孝幸スズキ「DR-Z4SM」関連のおすすめ記事スズキ「DR-Z4SM」の各部装備・スペックをチェック - webオートバイDR-Z4SM記事一覧 - webオートバイ