「原付バイク」と聞いて真っ先に思い浮かぶのがホンダの「スーパーカブ」だ。買い物や通勤、あるいは中華料理の出前を支える「生活の足」としての活躍には、頭の下がる思いがする。そんなスーパーカブに追加となった「新基準原付」はどんなバイク? 実物をチェックしてきた。 ホンダ「スーパーカブ」の新型「CB」シリーズと並び、ホンダのバイクの「顔」ともいえる「スーパーカブ」に新基準適合モデルが登場! どんなバイク? 原付バイクの取り回しは継承できた? 初代「スーパーカブC100」が1958年に登場して以降、モデルチェンジを繰り返し、さまざまなバリエーションを登場させることで普及してきたスーパーカブ。その人気は日本にとどまらず、世界中で愛されるバイクだ。シリーズ累計販売台数は1億台以上に達する。 そんなスーパーカブシリーズに最新モデルとして加わるのが、「スーパーカブ110 Lite/プロ Lite」「クロスカブ110 Lite」の3台だ。 ホンダ「スーパーカブ110 Lite」。12月11日発売で価格は34.1万円 ホンダ「スーパーカブ110 プロ Lite」。12月11日発売で価格は38.5万円 ホンダ「クロスカブ110 Lite」。12月11日発売で価格は40.15万円 新たなスーパーカブは、2025年4月から原付一種に追加となった新区分に対応し、「50cc以上125cc以下」「最大出力4kW以下」の基準を満たしている。新基準原付になったスーパーカブの特徴は? 詳しく見ていこう。 「スーパーカブ110 Lite/プロ Lite」「クロスカブ110Lite」のベース車両は、原付二種カテゴリーの「スーパーカブ110」だ。新基準原付の出力規制に合わせた選択だが、車格や重量は50ccモデルとほぼ変わらないため、取り回し性が変わることはないという。 スタイリングはステップスルー、横型エンジン、大径ホイールなどの主要コンポーネントを絶妙な塩梅で配置。1960年代から続くスーパーカブの伝統的なスタイリングを崩さないよう配慮した。年齢を問わず愛されるレトロ&モダンなデザインだ。 ホンダ109cc空冷4ストロークOHC単気筒 搭載するのは、タフネス性と低フリクションを追求した高効率の109cc空冷4ストロークOHC単気筒エンジン。最高出力は3.5kW(4.8PS)/6,000rpmと新基準原付の規制値内に収めながら、排気量アップに伴って向上した最大トルクが6.9Nm(0.70kgf・m)/3,750rpmをいかし、スムーズな発進や加速が安心感へとつながる味付けを施した。 足回りは「スーパーカブ110」と同様に、前後17インチキャストホイールとチューブレスタイヤを採用。フロントブレーキにはABS付きのディスクブレーキを組み合わせる。 ホンダデザイン性はもちろん、メンテナンス性の向上にも貢献する前後17インチキャストホイールとチューブレスタイヤ スピードメーターは60km/h表示の専用設計。原付一種の使い勝手に対応したスピードインジケーター(速度警告灯)も搭載している。追加となったLCDディスプレイには、シフトポジションや時計などを切り替えて表示させられる。各モデルで表示の意匠が違うところも注目ポイントだ。 ホンダ「スーパーカブ110 Lite」(左)、「スーパーカブ110プロ Lite」(右)「スーパーカブ110 Lite」(左)、「スーパーカブ110プロ Lite」(右) ホンダ「クロスカブ110Lite」「クロスカブ110Lite」 豊富な純正用品がそろうスーパーカブシリーズだが、新基準原付の販売に合わせて実用的で使い勝手の幅が広がる新たなアイテム(別売り)をラインアップに加える。従来の多くの純正用品もそのまま使用可能とのことだ。 ホンダ新たに加わる純正用品。写真左が「サドルバッグ」(1万2,947円)&「サドルバッグサポート」(9,900円) 、写真右が「USBソケット」(4,840円)&「USBソケット取付アタッチメント(クロスカブ110 Lite用、6,413円) ベース車両よりも価格が安い? 販売価格にも注目だ。原付二種モデルをベースに開発したバイクはベースモデルよりも価格が高くなりがちだが、今回の「スーパーカブ110 Lite/プロ Lite」「クロスカブ110 Lite」はベース車両よりも価格が1.1万円安い。最高速度や乗車定員の制限、日常生活に密着した簡便な乗り物という原付一種カテゴリーの特性を踏まえた価格設定だ。 ユーザーにとっては嬉しい半面、原付二種とシェアを奪い合ってしまうような気もするが、ホンダはどのように住み分けを考えているのだろうか。ホンダモーターサイクルジャパン 商品企画部 商品企画課の木村康太さんに聞くと、以下の回答が得られた。 「(住み分けの)大きな要素は免許証です。原付二種の場合、小型限定普通二輪以上の免許が必要になります。そのために教習所に通って取得するのは、少しハードル高い気がします。今回の新基準原付は50ccの代替がメインです。原付免許や普通自動車免許で運転できます。そこで車両の住み分けができると捉えています」 「スーパーカブ110 Lite/プロ Lite」「クロスカブ110 Lite」の営業領域責任者を務める木村さん「スーパーカブ110 Lite/プロ Lite」「クロスカブ110 Lite」の営業領域責任者を務める木村さん 「スーパーカブ110 Lite/プロ Lite」「クロスカブ110Lite」は「ジャパンモビリティショー2025」(会場:東京ビッグサイト、会期:10月29日~11月9日)のホンダブースにも展示されるとのことだ。 ホンダ「スーパーカブ110 Lite」 ホンダ「スーパーカブ110 Lite」「スーパーカブ110 Lite」 ホンダ「スーパーカブ110プロ Lite」 ホンダ「スーパーカブ110プロ Lite」「スーパーカブ110プロ Lite」 ホンダ「クロスカブ110 Lite」 ホンダ「クロスカブ110 Lite」「クロスカブ110 Lite」 安藤康之 あんどうやすゆき この著者の記事一覧はこちら