最近は明るい話題がなかなか見つからないホンダだが、3年ぶりに日本市場に復帰した都市型SUV「CR-V」については、気になっているファンも多いのではないだろうか。新型CR-Vに試乗した後、開発陣に気になることを聞いてきた。ファン待望? 3年ぶりの日本復帰を果たしたホンダ「CR-V」に乗る! ホンダ「CR-V」新型「CR-V」開発陣に聞く!(本稿の写真は撮影:原アキラ) 答えてくれたのは車体設計開発責任者の谷口正将アシスタントチーフエンジニアと完成車開発統括部衝突安全課の伊藤寛司アシスタントチーフエンジニアだ。 CR-V日本復活の理由 ――北米では2022年に登場した現行型のCR-Vが、なぜ今、日本導入となったのでしょうか? 谷口さん:5代目(先代)CR-Vの生産が終了し、その後は「ZR-V」がその車格を担うという方針が決まっていました。 2022年にデビューした新型CR-Vは、北米やその他の地域向けのグローバルモデルとして開発していて、特に北米の法規対応として、全長が95mm長くなるなど、またひとつサイズが大きくなったからです。 とはいえ、グローバルにおいて(特に北米で)新型は人気を獲得し、販売規模も大きくなったことに加え、日本国内でも、(ZR-Vよりも)もうワンサイズ上のクルマが欲しいというお客様のニーズがあることがわかり、さらに、個人的にも、このクルマを作った時から日本で出したいという希望を持っていました。 さらに、ホンダディーラーの方々を呼んで行う年に一度のビジネスミーティングに出る機会があり、皆さんから「CR-Vは出ないの?」という声を頂きました。 予想を超えた量の要望が上がったことが、日本再導入につながったと考えています。 ホンダ「CR-V」「CR-V」の歴史 CR-Vの販売状況は? ――販売状況はいかがでしょう? 谷口さん:現在の購入者の約半分は旧CR-Vからの乗り換え組です。日本で発売になるかどうかがわからないというブランク期間がありながらも、新型の登場を待っていてくれた方が真っ先に購入してくれています。 ホンダ「CR-V」新型「CR-V」の月間販売目標は400台。3月24日にホンダ広報に聞いたところによると、受注台数は納車済みを含め4,000台まで伸長していて、なかなかの出足を見せているという。前有車がCR-Vというロイヤルユーザーは約46%と半数近くを占めていて、男性比率は約9割。年代別では40代、50代、60代がそれぞれ2割超という状況だそうだ サイズとデザインについて ――新型のサイズ設計とデザインの考え方は? 伊藤さん:新型CR-Vは北米の法規に対応(特に衝突安全性能を確保)するため、フロントのオーバーハングを伸ばす必要がありました。デザイナーからもフロント部は大きくがっちりした方がいいという要望があり、そこは合致していたのですが、さらにアメリカナイズして、もっともっと伸ばしたいという希望も寄せられていて、その調整には苦労しました。例えば先代の時は、フロントオーバーハングを22mm伸ばしたことで、デザイナーからはかなり厳しいことを言われ、バチバチに戦ったことを覚えています。 造形的には、フロントフードのプレスラインが、無意識のうちにクルマの向きやタイヤの位置をイメージできる目印になる設計になっていて、車体が大きくなってもクルマの状態が把握できる、そうした工夫をあちこちに仕込んでいます。 ホンダ「CR-V」 CR-V導入の狙いは? ――CR-Vが出たことによるメリットは何でしょう? 伊藤さん:SUVが4機種そろってラインアップが完成したことで、各機種の性格付けが点ではなく面でできるようになりました。背筋が通ったヒエラルキーを形成することで、ホンダ内でステップアップできるようになります。 我々ホンダは、やっぱり軽自動車とミニバンだけでは生き残れないという危機感を持ってやっていますので、戦略上、高価格帯にもしっかり参入して利益を出していくことも重要です。それは、今後の電動化時代に出てくる高価格・高収益の車種を成立させるということにも通じます。 ホンダ「CR-V」新型「CR-V」の日本導入により、ホンダのSUVラインアップは小さい方から「WR-V」「ヴェゼル」「ZR-V」「CR-V」の4車種展開となった CR-Vの技術面を聞く ――パワートレインと技術訴求について教えてください。 谷口さん:グローバルでは1.5Lガソリン車やプラグインハイブリッド車(PHEV)の設定がありますが、日本仕様はe:HEVだけとしました。PHEVは価格の上昇や、中国生産という運営体制上の複雑さがあることから導入を見送りました。 CR-Vの機構的な特徴として、ロックアップのハイとローを切り替えることができる効率の良さを訴求していますが、実は、具体的な燃費の数字(未発表)を見ると、大きく寄与しているわけではありません。ローの最初の開発の目的は、北米でよく見られる牽引性能の確保という点で、日本ではそうしたシチュエーションがほとんどないことから、次の機能として、登りの緩斜面などでしっかりと使えるという点を見出して、それを訴求することになりました。 ホンダ「CR-V」 谷口さん:ハイブリッドの制御の考え方は、エンジン、モーター、両者併用の3パターンから最も良い状態を選択するものですが、実は、エンジンは結構作動します。それはモーターが負けて白旗を上げた結果ではなく、どれが最も効率が良いかをシーンごとに計算して選んだ結果で、決してガソリンをじゃぶじゃぶ使っているわけではないんです。まあ、聞こえてくるエンジン音は、ご存知のようにあのホンダのサウンドなので、その状態でも結構認めていただけると思っています。 あとは、ホンダセンシング360の導入です。周辺状況を把握しながらより自然にできるレーンチェンジ支援と、ACC作動中にカメラで車線の曲率を認識し、コーナー手前で適切に減速するコーナー減速制御がとても上手になっているので、ぜひご体感いただきたいと思います。 原アキラ 原アキラ はらあきら この著者の記事一覧はこちら ホンダ「CR-V」の販売が4,000台に迫る勢い! どんな人が買っている?ホンダの新型CR-Vは「無限」なし! 個性を出したいなら純正アクセサリーでホンダが「ZR-V」の改良モデルを発売! 純エンジン車を廃止する理由は?