スバルとトヨタの共同開発によるBEV戦略が、ついに新章へと突入しました。2026年4月のニューヨーク国際自動車ショーでスバルが公開した「Getaway(ゲッタウェイ)」は、同社初となる3列シートの大型電動BEV。2026年後半に北米での販売が予定されています。【画像ギャラリー】トヨタの新たな共同開発BEV!! スバル史上最強となる「420馬力」のパワーを備えた3列シートの大型電動BEV スバル「Getaway」(19枚) トヨタの量産ノウハウを活用しつつも、中身はスバル独自のこだわりが凝縮されたモデルであり、ファミリー層を満足させる圧倒的な居住性と、スバル史上最強となる「420馬力」のパワーを両立させた「Getaway」。日本導入への期待も高まる、新世代BEVの実力を詳しく解説します。文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:SUBARUトヨタと組んだ最新章 3列シートBEV「Getaway」 スバル「Getaway」は、トヨタとの共同開発によって生まれたモデルです。両社は2012年に登場した86(トヨタ)/BRZ(スバル)を皮切りに、bZ4X(トヨタ)/ソルテラ(スバル)、bZ4X ツーリング(トヨタ)/トレイルシーカー(スバル)など、BEVを共同開発。北米と欧州では、コンパクトなSUVタイプのBEV、C-HR(トヨタ)/アンチャーテッド(スバル)も販売しています。 今回のGetawayは、2026年後半より北米販売が開始する「ハイランダーEV」との兄弟車です。bZ4X/ソルテラが5人乗りのミドルサイズSUVだったのに対し、今回のGetawayは、ファミリー層をターゲットにした3列シートを備えた大型電動SUV。生産はハイランダーEVと同じアメリカ・ケンタッキー州のトヨタ工場で行われ、バッテリーセルもLGエナジーソリューション製のリチウムイオンバッテリーを採用するなど、量産面ではトヨタのスケールメリットを活用しています。 しかしながら、走りの味付けはスバル独自のものです。ハイランダーEVが最大338馬力(AWD)にとどまるのに対し、Getawayは420馬力を発揮(※420馬力は米国仕様車の開発時試算値)。前後トルク配分は50:50を基本とし、モーター制御やサスペンションにはスバル独自のチューニングが施されるなど、スバルが長年培ってきたシンメトリカルAWDの思想を、BEVでもしっかりと反映させています。北米スバルの新型BEV「Getaway」。ハイランダーEVとプラットフォームを共有するものの、最大出力は420馬力とハイランダーを大きく上回るエッジの効いたボディデザインはハイランダーEVと同じだが、「SUBARU」ロゴを含むバックドアのデザインはGetaway専用だ420馬力×3列×悪路対応 Getawayの実力 システム合計420馬力を発生するパワートレインは、前後に1基ずつ駆動用モーターを搭載したデュアルモーター式を採用。0-60mph加速は5秒以内と、大型SUVとしては十分に速い性能です。さらに最大3,500ポンド(約1,588kg)のけん引能力を備えており、北米のファミリーカーに求められるキャンプ用トレーラーなどの牽引にもしっかりと対応します。 駆動用バッテリーは容量95.8kWhのリチウムイオンバッテリーで、1充電あたりの航続距離は300マイル(約480km)超。充電ポートは北米標準となるNACS規格に対応し、テスラのスーパーチャージャー網を利用することができ、最大150kWの充電速度によって、約30分で10%から80%まで充電が可能です。 室内は、2列目がキャプションシートもしくはベンチシートで、キャプションシート仕様が6人乗り、ベンチシート仕様が7人乗りです。3列目シートは、6フィート(約183cm)の大人が3列目に座っても十分な頭上空間が確保されており、3列目を折りたたんだ状態の荷室容量はなんと45.6立方フィート(約1,291リットル)。ライバルのキア「EV9」を上回り、ファミリーユースからアウトドアまで幅広く対応します。 オフロード性能も抜かりなく、最低地上高は8.3インチ(約211mm)を確保。ドライブモードには「Snow/Dirt 、Deep Snow/Mud Modes」(スノー/ダート、深雪/ぬかるみ)の2つから選択できるX-MODEに加え、グリップコントロール、ヒルディセントコントロールも装備。ルーフレールは静荷重700〜800ポンド(約320〜360kg)の積載に耐える設計で、ルーフトップテントの搭載も可能となっています。見晴らしがよく、快適な空間が確保されているGetawayのインテリア。大型センターディスプレイが際立っているファミリーユースだけでなく、送迎用途にも最適 3列シート7人乗り、420馬力、航続480km超と、ファミリーユースとして申し分ない性能を備えるGetawayですが、人と荷物をまとめて静かに走れるクルマは送迎用途にも対応が可能。実際、充電インフラの整備が進んでいる北米では、空港送迎や観光ハイヤーといった旅客用途への大型BEV導入が着実に進みつつあります。 日本ではこうした用途に「ハイエース」や「アルファード」が使われますが、BEVであれば静粛性や環境性能という強みを加えることができます。おそらくGetawayも、こうした法人需要も意識しているのではないでしょうか。 スバル最強の420馬力を誇る3列シートの大型BEVとして、スバルの新たな領域を示したGetaway。トヨタとの協業で量産性を確保しつつ、スバルらしい走りも盛り込んできました。 現時点で日本導入の予定はありませんが、3列シートを備えた大型BEVは、日本でも今後用途の広がりが見込まれるカテゴリーです。2026年後半に予定されている北米投入で、実際にどのように使われていくのか注目したいところです。BEVならではのメリットを活かし、送迎サービスなどにも活用してほしい