トヨタのビジネスの成熟ぶりを感じさせるのが、新しいRAV4。見どころとして(見えないけれど)「Arene(アリーン)」なる、ソフトウェアづくりのプラットフォームを活用したの点があげられる。 【写真】6代目「RAV4」adventureの個性極まるデザインを見る 結果、「進化した安全・安心パッケージ『Toyota Safety Sense』やコックピットなどの重要なUIのソフトウェアの開発期間を短縮して車両に搭載できた」とはトヨタの言。 そもそもRAV4は、機能主義的に設計されたSUVだ。初代の、それも1994年に登場した2ドアこそ、大胆なコンセプトで、いまでいうクロスオーバーSUVの走りのようなデザインだった。 6代目「RAV4」発表会で展示された初代モデル(写真:トヨタ自動車) 翌95年に「RAV4 V(ファイブ)」なる4ドア(リアハッチゲートを数えると5ドア)が追加されてから、RAV4は実用性重視のパッケージングを重視したモデルへと方向を定めた。 それからいまに至るまで、使い勝手のよい(比較的)コンパクトなSUVとして、アメリカでもおおいに販売を伸ばしてきている。 3つのキャラクターで登場した6代目 6代目は、プラグインハイブリッド(PHEV)とハイブリッド(HEV)なる2つのパワートレインが用意され、モデルはキャラクターを少しずつ変えて3つラインナップされている。 今回、乗ったのは「Adventure」(アドベンチャー)で、ラインナップには、よりスポーティな「GR SPORT」と、市街地重視の「Z」がある。 全3タイプの「RAV4」、左からAdventure、Z」、GR Sport(写真:トヨタ自動車) GR SPORTはPHEVのみで、Adventureはハイブリッドのみ。ZではハイブリッドとPHEVが選択可能だ。 Zを例に2つのパワートレインの価格差をみると、110万円。これをどうみるかは、なかなか悩ましい。 Zハイブリッドの燃費が22km/L(WLTCモード)として、年間走行距離を5000km、ガソリン単価を160円/Lとして計算した場合、年間のガソリン代は約3万6000円。 110万円の価格差のままだったら、償却するのに30年以上かかることになる。“以上”としたのは、PHEVも走り方によってはガソリンを消費するし、バッテリー充電の電気代がかかるため。 しかし、政府補助金の85万円を引けば価格差は25万円。こうなると7年だし、途中でガソリン代が高騰したとすると、償却期間はもっと短くなりそうだ。 そういう計算をしてみるのが、プラグインハイブリッド車のプライスタグを見たときの、私の楽しみだ。 スムーズなハイブリッドと適切なサスペンション Adventureには、このモデルしかない機能もある。悪路用「TRAILモード」と雪道用「SNOWモード」の設定だ。 大きくて操作しやすいTRAILモード/SNOWモードの切り替えスイッチ(筆者撮影) 悪路や雪道でも、空転したタイヤにブレーキをかけて反対側に駆動トルクを配分する制御で、リミテッドスリップデフの機能をブレーキに担当させている。 あいにく、まことに残念なことに今回はオフロードまで行くことが叶わなかった。しかし、キャンプやスノースポーツなどの愛好者は、とくに食指の動くモデルではないかと思う。 基本的なパワートレインは、先に触れたとおり、3つのモデルで共通。137kWの最高出力をもつ4気筒2487ccのガソリンエンジンだ+モーターのハイブリッドだ。 NORMAL、ECO、SPORT、CUSTOMからなるドライブモードの変更もできる(筆者撮影) Adventureの走りを一言でいうとスムーズ。発進時はモーターで瞬時に走りだし、途中からのエンジンへのバトンタッチもいたってナチュラル。違和感がない。加えて、ハンドリング性能も傑出。ステアリングホイールを切ったときの車体の動きは素直だ。 サスペンションシステムとの連動性もよく、“くいくい”というか“すいすい”というか、大小カーブもきもちよく駆けぬけていく。Adventureの好印象には、サスペンションシステムの設定も大きく寄与していると感じた。 履いていたタイヤは、横浜ゴムの「アドバンV61」で、車重が重くなる傾向にあるPHEVやHEV用の「E+」だ。メーカーのHPでは、このタイヤの特長をこれといって喧伝していない。 しかし、私の印象としては、トヨタと横浜ゴムは上手に設定をこなしていると思った。通常の路面では常に車体はフラットで、上下動が極力抑えられている。継ぎ目などを乗り超えるときも、ふわっとショックを感じさせない。 高速道路の継ぎ目や工事中の路面ギャップも滑らかにいなす(筆者撮影) 私が経験したかぎり、現在のトヨタ車におけるもっとも気持ちよいサスペンションをもったモデルは、「クラウン」のセダンだけれど、そこに迫っているかもしれないと思ったほど。 パッケージング、特に荷室の広さが秀逸 乗り心地とともに感心させられたのは、パッケージだ。特に室内の広さと、荷室容量の大きさ。パッケージングも、トヨタの得意とするところだったのを、あらためて思い知らされた。 インストルメントパネルはギア感を演出する角ばった水平貴重のデザインを採用(筆者撮影) 全長4620mmの車体に、2690mmのホイールベースの組み合わせ。トヨタのラインナップでは「ハリアー」(全長4740mm)と「カローラクロス」(同4455mm)の間ぐらいに入る。 感心したのは、749リッターという大きな荷室容量だ。先代より16リッターの拡大。やはり上記2モデルをひきあいに出すと、ハリアーは409リッター、カローラクロスは487リッターとだいぶ異なる。 広さに加え、左右いっぱいまでフラットであることも使いやすさのひとつ(筆者撮影) 「クラウンエステート」(570リッター)や「ランドクルーザー70」(605リッター)より大きく、その上には「ランドクルーザー」(250で937リッター、300で1000リッター)しかない。 この振りきり方こそ、RAV4のキャラクターなのだ。SUVのラインナップを拡大しすぎて、自社内でも飽和しているのでは、などという揶揄(やゆ)を、トヨタは機能性でもって打ち消している。 レクサス「NX」などと較べると、室内の操作系の立て付けなどはやや頼りなさがあるのは事実。スイッチなどは、いわゆる“遊び”が大きすぎるように感じるけれど、このクルマのユーザーは目をつぶるだろう。 デザインも、トヨタいうところの「ハンマーヘッド」というフロントの意匠を継承。一方、全体的には直線的でエッジを立てることで、RAV4の個性を演出している。 Adventure、GR SPORT、それにZで、フロントマスクのデザインを変え、一目でユーザーの嗜好がわかるのもおもしろい。 今回、試乗したAdventureはもっともタフさが強調されたデザイン(筆者撮影) 逆にいうと、「RAV4があれば、もう十分」、と思えてこないだろうか。全長4.6mあたりのセグメントでは、最強の1台だ。 価格は、Adventure ハイブリッドが450万円、Zハイブリッドが490万円、Zプラグインハイブリッドが600万円、GR SPORT プラグインハイブリッドが630万円。 すべてのモデルが後輪をモーターで駆動する「E-Four」による4WDシステムを搭載している。 <トヨタ RAV4 Adventure ハイブリッド> ボディサイズ:全長4620mm×全幅1880mm×全高1680mm ホイールベース:2690mm 車重:1710kg パワートレイン: 4気筒2487ccハイブリッド 最高出力:137kW(エンジン)+100kW(Fモーター)+40kW(Rモーター) 最大トルク:221Nm(エンジン)+208Nm(Fモーター)+121Nm(Rモーター) 駆動方式:全輪駆動(E-Four) 燃費:22.9km/L(WLTCモード) 価格:450万円