トヨタのSUVとして高い人気を誇る「ハリアー」。2020年の登場から5年目となる2025年も年間5万台以上を売り上げ、ミドルクラスSUVとしては国内ダントツトップの人気を維持しています。【画像ギャラリー】どっちも魅力的な爆売れSUV!! トヨタ「ハリアー」とトヨタ「ランドクルーザー250」(26枚) トヨタのSUVといえば2024年に国内発売開始となった「ランドクルーザー250」も好調です。2025年はランドクルーザー全体の約7割となる年間3万台以上を販売。これはトヨタのSUVとして、ハリアーに続く販売台数です。 いずれも強い存在感を放つ魅力的なSUVですが、日常での乗り味や使い勝手には少しずつ違いがあります。デザインやブランド力だけじゃない、ハリアーとランクル250の違いを整理し、実際に所有してわかるリアルな使い勝手と機能性を徹底比較します。文:吉川賢一/写真:TOYOTA同じSUVでも「出自」はまったく違う まずは両モデルの成り立ちや基本スペックを振り返りましょう。ハリアーは、都市生活を主軸に据えたミドルクラスSUVです。現行型は2020年6月に登場しました。ボディサイズは全長4,740mm×全幅1,855mm×全高1,660mm。流麗なクーペフォルムを思わせるスタイリングと上質なインテリアを特徴とし、静粛性や快適性を重視して進化してきました。背高のSUVでありながら、乗用車に近い扱いやすさを志向したモデルといえます。 パワートレインは2.0Lガソリン、ハイブリッド、PHEVを設定し、燃費はガソリン車で15.8km/L(G・2WD)、ハイブリッド車で22.7km/L(G・2WD、いずれもWLTCモード)と、ミドルクラスSUVカテゴリ内では「超」が付くほどの優等生です。価格は税込371万300円(G・ガソリン車 2WD)から626万100円(Z・PHEV E-Four)となっています。 一方のランドクルーザー250は、長年続くランドクルーザーシリーズの系譜に連なる本格クロカンSUVです。国内では2024年4月に販売が開始されました。ボディサイズは全長4,925mm×全幅1,980mm(廉価グレードのGXは1,940mm)×全高1,925mm。強靭なラダーフレームの「GA-F」による悪路走破性と耐久性を重視した骨太な設計が特徴です。 パワートレインは2.7Lガソリンと2.8Lディーゼルを設定し、燃費はガソリン車で7.5km/L、ディーゼル車で11.0km/L(WLTCモード)。価格は税込520万円(GX・ディーゼル4WD・5人乗り)から735万円(ZX・ディーゼル4WD・7人乗り)となります。 このように、ハリアーとランクル250は同じトヨタのSUVですが、ボディサイズ、燃費、価格帯、そして設計思想まで大きく異なるモデルです。トヨタ「ハリアー」全長4,740mm×全幅1,855mmのバランスの取れたサイズ。上質な内装と静粛性が日常での快適さを支えるトヨタ「ランドクルーザー250」全長4,925mm・全幅最大1,980mmという迫力あるボディサイズ。存在感は抜群だが、都市部では取り回しを意識する場面もある毎日乗るとこう違う! 取り回し・燃費・先進装備のリアル こうした設計の違いは、日常での使用にはっきりと表れます。ランクル250は悪路走行をものともしないラダーフレーム構造によって、いい意味でどっしりとした走り心地を有しており、路面の荒れを受け止める頼もしさはありますが、細かな入力を軽やかにいなすタイプではありません。そのため、長距離移動ではノイズや揺れに「つらさ」を感じることもあるでしょう。また、ハリアーよりも185mm長く、125mmも幅広いため、都市部の狭い道や立体駐車場では、そのサイズと存在感を常に意識することになります。 一方のハリアーはモノコック構造ならではの一体感があり、ハンドリングは素直です。街中での取り回しは軽やかで、日常使いでの心理的負担を感じることはほとんどないでしょう。ハイブリッド車は高速走行では燃費20km/Lを超え、圧倒的な静粛性によって車内は快適な空間となります。PHEVではさらに強烈な動力パフォーマンスが加わります。 運転支援システムにも違いがあります。両車ともToyota Safety Senseの基本機能は充実していますが、ランクル250に設定されている操舵回避をサポートする「緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)」や、出会い頭の事故防止をサポートする「フロントクロストラフィックアラート」は、ハリアーには設定されていません。また高速道路での車線変更を支援する「レーンチェンジアシスト」もハリアーにはなく、高速道路の渋滞時に条件を満たせばハンズオフが可能なトヨタ チームメイトの「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」もハリアーには設定されていません。 後方安全パッケージも、ランクル250のほうが充実しており、後方の至近距離に他車が接近した際に通報提案してくれる「周辺車両接近時サポート(録画機能・通報提案機能)」や被追突時の2次衝突被害を回避・軽減する「セカンダリーコリジョンブレーキ(停車中後突対応)」がランクル250には用意されています。 装備の充実度を見ると、2024年に登場した新世代モデルであるランクル250のほうが先進機能を多く備えており、上級SUVとしての位置づけが色濃く表れています。対して2020年登場のハリアーは、日常域で多用する全車速追従クルーズや車線中央維持支援を中心とした構成で、ランクル250ほど充実しているわけではありません。 最廉価グレード同士で約150万円の開きがある両モデルですので、装備の差は仕方のないところではあります。ただしハリアーも、実用域で使う機能はほぼ網羅されており、ミドルクラスらしい合理的な設定となっています。質実剛健とした作りのインテリア。一方で大型ディスプレイが並ぶなど高い先進性も備わるハリアーのインテリアも大型ディスプレイが備わる。ただし先進運転支援の機能においてはランクル250には及ばないランクル250は渋滞時支援機能「アドバンスト ドライブ」を設定。先進装備の充実度は上級SUVらしさを感じさせる所有満足度なら「ランクル250」 実用域での扱いやすさなら「ハリアー」 ランクル250が向いているのは、「所有する満足感」や「本格志向」に価値を置く人でしょう。悪路に行く機会が多くなくても、耐久性や堅牢さに魅力を感じる人にとっては、ラダーフレームの安心感そのものが商品価値になりますし、なにより「ランドクルーザー」というブランド力は魅力的。サイズや重量を受け入れられるなら、所有満足度は高いでしょう。おすすめのグレードはガソリンの「VX」(税込545万0000円)です。 一方のハリアーは、日常での使用頻度が高い人に向きます。通勤や買い物、高速道路での移動が中心であれば、静粛性や乗り心地、そして燃費のよさは確実に効いてきます。SUVらしいスタイルを保ちつつ、実用域での扱いやすさを重視する人には合理的な選択です。おすすめのグレードは、ガソリン車 2WDの「Z Leather Package」(税込450万0100円)です。 見た目の魅力は、クルマ選びにおいて大切な要素です。所有する喜びや満足感は、デザインやブランドへの共感から生まれる部分も少なくありません。一方で、日常で向き合うのは取り回しや燃費、装備といった実用面です。所有する喜びを優先するのか、実用性を重視するのか。そのバランスをどう取るかが、長く満足できる一台につながるでしょう。参考になれば幸いです。所有する喜びを優先するのか、実用性を重視するのか。そのバランスをどう取るかが、長く満足できる一台につながる