水素エンジン搭載のマシンでスーパー耐久レースに参戦中のトヨタ。将来的には市販化を見据えているわけだが、今回カローラクロスに水素エンジンを載せたテスト車に乗ったのだが、これがかなり自然。この普通さを実現するのがすごいのだが、今回わかったことを一挙に!!!【画像ギャラリー】カロクロにサイド出しマフラー!? 純正オプション活かしたラゲッジもお見事!! 水素エンジンカローラクロスを一挙に(14枚)文・写真:ベストカーWeb編集部マフラーサイドだよ!! タンク拡大もお見事ご覧の通りマフラーはフロントドア後端に。ガソリンやディーゼルエンジンとは違う排気音も注目ポイント 今回のテスト車はカローラクロス。ご覧の通り見た目は市販版とほとんど一緒で、違うのはサイド出しマフラーになっていることと、車体下を除くと水素タンクが見える程度。内装に至ってはほとんど同じで、唯一異なるのがラゲッジルームが少し嵩上げされているくらいなのだ。 マフラーがサイド出しになっているのは水素タンクの容量を極限まで大きくするため。以前のテスト車はリアからマフラーが出ていたが、タンクを大型化したこと。そして熱源からマフラーを離すべく今回の位置となったのだ。 水素エンジンのカローラクロスは水素タンクが前後2つ装着されており、以前156L、そして今回の改良版は171Lに大型化。リアタンクはどちらも93Lなのだが、フロントは63Lから78Lにアップしているのだった。 ちなみにこの水素エンジンは、GRヤリスのエンジンをデチューンした150kWの1.6リッターターボとDATが搭載されているおり、いわばその仕様燃料をガソリンから水素に変更しているというイメージだ。ホントに水素エンジンなの!? ってくらい超自然!! リアは水素タンクが張り出している程度で市販モデルとほとんど一緒。ちなみに足まわりなどは市販版から変更ナシ 試乗してみると、これがビックリするくらい普通!! 発進、加速、停止とどのシーンにおいても今まで通りに普通に乗ることができるのだ。正直にいえば、水素エンジンということを知らずに乗っていれば気づかないほど自然なのだ。 この水素エンジンはストイキ燃焼とリーン燃焼を両立。前者は高出力、後者は低燃費と目指すベクトルが真逆ともいえる燃焼方法をやってのけているのだった。ざっくり言えばアクセルを踏んでいる時はストイキ燃焼を、低速域やパーシャル走行などパワーを必ずしも必要としない時はリーン燃焼となる。 これをアクセルの動きなどからクルマが判断して燃焼方法を自在に切り替えてくれるシステムとなるが、この制御がお見事。開発陣いわく「プリウスなどのハイブリッドカーのように自然な制御を目指している」という。たしかにハイブリッドカーがモーター走行からエンジンを併用したモードに切り替わるように気づかないレベルであったのだ。個人的には音が超絶好印象!! 水素エンジンが選択肢のひとつになる可能性大ラゲッジアンダーボックスがある位置にリアタンクが。これにより嵩上げされるものの、上がった分は既売のディーラーオプション「ラゲージアクティブボックス」でカバー!! 現場で意見は分かれたものの、個人的に水素エンジンカローラクロスの排気音がかなり好印象であった。マフラーがフロントドア後端に設置されているのも影響しているが、加速とリンクしたエンジン音&排気音が心地いいのだった。 開発陣に聞けば、水素エンジンのストイキ燃焼は燃焼速度が早く、その影響でディーゼルのような音がするのだという。内燃機関車を運転しているんだ!! と思えるサウンドがなによりよかった。 加えて、ガソリンエンジンでリーン燃焼を開発している時は安定した燃焼を実現するのにかなり苦労したというが、燃焼が水素となった途端、最初から燃焼が安定していてその部分に関しては開発はスムーズに進んだという。既存モデルに新たなパワートレインを搭載となるとフロアが高くなったり差が生じるのもしばしば。ところがコチラはラゲッジの嵩上げを除いて全部一緒!! これもお見事 上記の通り水素エンジンのカローラクロスの姿はほとんど市販版と同じ。最大の違いは燃焼が水素になっていること、水素タンクを2つ搭載していること。ラゲッジが嵩上げされているなどに留まっている。そう考えると例えば一台の車種でガソリンとハイブリッドをラインアップしているように、それに加えて水素エンジンを選択肢のひとつとして追加することも将来的には可能なのだ。 まだまだ開発の入り口というお話であったが、個人的には加速感と音がかなり好印象。しかも既存パワートレインとほとんど同じパッケージングも可能というのもデカい。水素エンジン、これ素直に将来が楽しみです!!!!!!