タフさと愛らしさを両立した外観デザイン徹底解剖 2025年8月22日に予約受付を開始していた2代目の新型「デリカミニ」が、同年10月29日にいよいよ販売を開始します。 新型デリカミニがスタートを切る中で、チーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔氏、商品力評価部担当部長の平山敦朗氏、商品企画担当の塩谷明大氏・厚海貴裕氏・堀井彩那氏にお話を伺いました。三菱新型「デリカミニ」とチーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔氏、商品力評価部担当部長の平山敦朗氏、商品企画を担当する塩谷明大氏、厚海貴裕氏、堀井彩那氏 塚田(筆者):初代デリカミニはヒット作となりましたが、その分フルモデルチェンジには難しさもあったのではないでしょうか。【画像】超カッコイイ! これが三菱の新型「軽SUV」です!(30枚以上) 藤井氏:「大きく分けて2つの課題がありました。ひとつは企画やコンセプト、方向性の位置づけです。初代は“タフさ”や“愛着の湧く外観”などがご好評をいただきました。2代目でもその期待を裏切るわけにはいきません。せっかくの全面改良で、まったく同じでは意味がない。デザインを含め、2代目をどう進化させるかという点で苦労しました」「とくにデザイン面では、試行錯誤を重ねながら少しずつアレンジを加え、“一歩進化した”と感じてもらえる表現を目指しました。基本コンセプトは大きく変えていませんが、今回はボディをフル新作にしたことで、フロントだけでなくサイドのドア造形などにも新鮮さを感じていただける仕上がりになったと思います」「もうひとつは、日産さんとの共同開発による課題です。コスト削減という利点がある一方で、“三菱ならではのキャラクター”を、デザインだけでなく走りでもどう表現するかという点に苦労しました。具体的には、足まわりの専用チューニングを実施し、日産の開発陣にも弊社のテストコースに来てもらい、我々の想いを共有しました」チーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔氏 塚田:2代目のコンセプトは「デイリーアドベンチャー♯2」と伺っています。三菱らしい“タフさ”と“愛らしさ”のバランスが難しかったのではないでしょうか。 藤井氏:「まさにその“さじ加減”が難しかったです。例えばヘッドランプをやや大きくし、ダイナミックシールドをボディと一体化させることで、初代よりも男らしさをやわらげました。一方で、キャラクターラインなどでボディ全体にはタフさを持たせ、日産との共用部分をうまく調和させることで、納得のいく仕上がりになったと自負しています」「デリカミニはアイコニックなモデルですので、ウインカー作動時にヘッドランプ下が点灯して“涙が溜まったようなウルウル顔”に見えたり、ナビやメーターにキャラクターの顔が表示されるなど、遊び心も盛り込みました」 塚田:初代デリカミニは「eKクロススペース」のマイナーチェンジ版ということもあり、リアまわりの印象は大きく変わりませんでした。 塩谷氏:「今回は一からデザインできたことで、ボンネットフードも専用形状になりました。リアの“DELICA”ロゴ入りガーニッシュは、先代ではシルバーでしたが、新型ではボディ同色とし、厚み感を演出。前後のスキッドプレートも加わり、走破性の高さを想起させるデザインとしています。リアコンビランプや15インチアルミホイールには“角”のモチーフを取り入れました」 藤井氏:「日産との共用部分であるBピラーやドアなども、デリカミニらしく見せる工夫を施しています。リアではコンビランプを上部に配置することで視認性を高め、リア全体をよりワイドに見せることを意識しました」 塩谷氏:「ボディカラーでは“サンドベージュパール”がアウトドアシーンに似合うということで人気です。“デニムブルーパール”は、デリカミニの生産拠点である岡山県・水島製作所にちなんで、“倉敷デニム”をイメージして採用しました」こだわりの内装と快適装備 内装面でも進化が見られます。「ダイヤル式ドライブモードセレクター」をはじめ、エアコン操作パネルもデリカミニ専用設計です。そこには、三菱らしい“走りへのこだわり”が込められています。三菱新型「デリカミニ」の内装 平山氏:「エアコンの基板を共有すると、ドライブモードセレクターを運転席から操作しづらい位置にしか配置できません。『4WDの三菱』として、ドライブモード操作の快適さには特にこだわりました。」 塚田:12.3インチナビと7インチメーターを連結したようなデザインも印象的ですね。オープニング時には“デリカミニの目”が表示され、開発段階で女性ユーザーからも大好評だったとか。 上位グレードではインテリアパネルの巻物に高級感ある素材を採用し、ギア感・質感の向上を図っています。下位グレードでも樹脂素材ながら十分な質感を確保しているそうです。 塚田:機能面では「Google搭載インフォテイメントシステム」と「接近時アンロック・降車時オートロック」が注目ポイントですね。 堀井氏:「“OK, Google”と話しかければGoogleマップやGoogleアシスタントが使え、10年間無料で利用できます。Google Playストア経由で音楽アプリや、停車中には動画サイトも楽しめます」「また、『接近時アンロック・降車時オートロック』の同時採用は軽自動車初です。キーを持って2m離れると自動で施錠、1m以内に近づくと自動で解錠します」 塚田:居住性の面ではどのような進化がありますか。 堀井氏:「フラットシートアレンジ時の段差を31%削減し、車中泊などでの快適性を向上させました。後席のサイドサポート形状も立体的にし、シート生地には伸縮性の高い素材を採用。フィット感と座り心地を改善しています。」 塚田:走行性能にも力を入れられたとか。 平山氏:「初代の乗り心地は高評価をいただきましたが、新型ではさらに磨きをかけています。『グラベル』『スノー』という三菱独自のドライブモードを採用したことで、より大胆なセットアップが可能になりました。4WDの制御系やサスペンションのチューニングは、デリカD:5のメンバーも加わり、三菱と日産両社のテストコースで徹底的に煮詰めています。現時点では“やりきった”といえる完成度です」三菱新型「デリカミニ」 ちなみに駆動方式別の販売割合に関して、初代の後期では2WD比率が高まり、最終的には2WDと4WDがほぼ半々だったそうです。 それでも軽スーパーハイトワゴンとしては異例の4WD比率であり、新型でも4WD人気が高まりそうです。 ヒット作だった初代の後を継ぐ難しさがありながらも、新型デリカミニには、デザイン・機能・走りのすべてに三菱らしいこだわりが詰まっています。 一度触れて、乗ってみれば、その“新型らしさ”をきっと実感できるでしょう。【画像】超カッコイイ! これが三菱の新型「軽SUV」です!三菱「パジェロ」7年ぶり復活!? 「本格四輪駆動車」の大人気モデルが再び登場か? かつては“パジェロ兄弟”多数設定で「ジムニーノマド」サイズの「イオ」“再登場”にも期待!110万円! 三菱が新型「軽トラック」発表! 5速MT搭載&ワイルドな「新色グリーン」も設定