追加された新モデルの魅力とは 今、ヒョンデ「INSTER(インスター)」を買うなら選ぶべきは、2025年9月10日に発売となった派生モデル的な新グレード「INSTER Cross(インスタークロス)」一択じゃないでしょうかね。ヒョンデ「インスタークロス」には専用のデザインが多く採用されている【画像】超カッコいい! これが“専用デザイン”の新「コンパクトSUV」です!(30枚以上) なにがいいかといえば、その雰囲気。インスタークロスはいわゆる“クロスオーバーSUV”的な仕様で、専用デザインの前後バンパーやサイドシルプロテクター、そしてアルミホイールを装備しています。 さらには走行中の耐荷重75kgまでOKのルーフバスケット(ルーフキャリア)まで標準で備えるカスタム感が最高じゃないですか。 ルーフバスケットを標準装備するクルマって、ちょっと他には見当たらないですよね。 なお、快適装備などの水準は上級装備グレード「Lounge(ラウンジ)」に準じています。 サスペンションなどメカニズムに関しては他のグレードと共通ですが、さらに雰囲気を出したいのであればカスタマイズにて1インチほどリフトアップしてオフロードタイヤなんて履かせたらとってもオシャレ。 そういえば2025年の東京オートサロンに参考出展していた、OZ製の懐かしいアルミホイール「ラリーレーシング」を履かせたドレスアップ仕様も素敵でした。ヒョンデ「インスタークロス」には純正アクセサリーも展開されており、より個性を楽しむことができる(画像:純正アクセサリー装備車) ところでインスターってどんなクルマなのか。それは韓国の自動車メーカー「ヒョンデ」の電気自動車で、車体は全長3830mm(インスタークロスは専用バンパー装着により3845mm)×全幅1610mmと“軽自動車よりはひとまわり大きい”サイズ。 筆者(工藤貴宏)はこの軽自動車よりもひとまわり大きいというのはポイントだと考えていて、なぜなら広い室内スペースを確保したうえで荷室の余裕が増しているから。「扱いやすいサイズがいいけれど軽自動車だとやや心もとない」という人にはちょうどいい大きさというわけです。 上手に日本車の隙を突いてきたなという印象ですね(褒めてます)。 そのうえで国産軽自動車の電気自動車と比べても動力性能(最高出力97~115ps/最大トルク147Nm)や一充電航続距離(WLTCモード計測で393~458km)にアドバンテージがあるし、高速走行時の安定性も高いから週末に少し遠くへ遊びに行くことが多いアクティブな人とのマッチングも良好。 安全装備が充実しているのはもちろん、AC100V電源アウトレット(1500Wまで対応)、シートベンチレーション(夏のドライブを快適にするシート表面の通風機能でLoungeとCrossのフロントシートに標準装備)、テレスコピックステアリング(ハンドルの前後調整)などの装備も嬉しいポイント。軽自動車ではそういう装備は無いですからね。 価格(消費税込み、以下同)は284万9000円から372万9000円と軽自動車よりは高いけれど、ファーストカーとして使うのであれば航続距離の拡大や装備の充実度を考えて選択肢として大いに魅力的といっていいでしょう。25年9月発表の国産「新型コンパクトSUV」と比べてみると? ところでインスタークロスの価格はインスターのラインナップにおいてトップとなる372万9000円。 となれば、先日発表されたあの国産コンパクトSUVの電気自動車とも比べたくなるのは気のせいでしょうか。ヒョンデ「インスタークロス」(左)とスズキ「eビターラ」(右) そのモデルとはスズキ「eビターラ」です。eビターラのボディは全長4275mm×全幅1800mmと“BセグメントSUVのど真ん中”だからインスタークロスに比べると二回りくらい大きいですが、とりあえずそこはスルー(インスターよりも「KONA(コナ)」のほうが近いサイズ感)。 なぜなら、eビターラのベーシックグレード「X」の価格は399万3000円で、国の補助金を加味すれば実質312万円。 インスタークロスは372万9000円だけど、補助金が56万2000円(2025年9月時点)なので実質316万7000円と、ほぼ同額じゃないですか。 一充電の航続距離もインスタークロスの393km(Loungeなら458km)に対してeビターラのベーシックグレードは433kmとざっくり同じくらい。知れば知るほど比べたくなるってものです。 というわけでどっちを選ぶべきか。間違いなくいえるのは、絶対的なキャビン&荷室スペースとかディーラー拠点がたくさんある安心感を考えるとeビターラが有利。これは揺ぎないです。ヒョンデ「インスタークロス」には内装に通常モデルとは異なる専用コーディネートが用意されている しかし、小さな車体による運転のしやすさとか、シートベンチレーションまで備わる装備の充実度とか、オシャレな雰囲気でいえばインスタークロスが優勢。 そこに魅力を感じたら、インスタークロスは大いにアリじゃないでしょうかね。 ただ、インスタークロスのウィークポイントといえるのは、ルーフバスケットの装着による重量増や空気抵抗増で航続距離が短くなっていること。 一充電での航続可能距離はLoungeが458kmなのに対し、バッテリーをはじめとするユニットは同じながら393kmまで短くなっているのです。 というわけで航続距離を気にする人はLoungeを選ぶのが現実的かもしれませんが、ルーフバスケット非装着のCrossを用意してくれたらそれはそれで嬉しいかもしれませんね。 ルーフバスケットはあればやっぱりオシャレだけど、なくてもクロスの魅力は十分に味わえますから。 でも、そんなことを考えたくなるくらい魅力的なEVなのですよ。インスタークロスは。