まだまだ続く昭和レトロブーム。当時を知る人には懐かしく、当時を知らない若者には新鮮に映ることからひとつの社会現象になったようだ。これはクルマも同様で、ネオクラ(ネオクラシック)系の人気が相変わらず高い。今回は、当時も今も変わらぬ人気のネオクラたちを紹介する。【画像ギャラリー】懐かしくて新しい昭和ネオクラ(13枚)文:木内一行/写真:いすゞ、トヨタ、日産、三菱自動車「ブームを牽引したハイソカーの中心的存在」 トヨタ・マークII3兄弟(71系)マークIIには4ドアハードトップとセダンがあり、前者のスーパーホワイトIIが圧倒的な人気を誇った。スラントしたノーズや「クリスタルピラー」と称されるCピラーが特徴的 1980年代にブームとなったハイソカー。「ハイソサエティカー」の略で、直訳すると上流階級のクルマを意味する。その火付け役となり、中心にいたのがマークII3兄弟で、特に1983年に登場した71系は爆発的なヒットとなった。 それまでと同じように、キャラと販売店が異なるマークII、チェイサー、クレスタの3車種で構成されていたがいずれもスタイリッシュなデザインで、真っ白な「スーパーホワイトII」のボディカラーが清楚感や高級感を強調。 インテリアにはラウンジのソファのようなシートが採用され、とにかく豪華絢爛。ワインレッドの室内色がその雰囲気を際立たせた。 また、そんなラグジュアリー色の強いマークII3兄弟にあってスポーツモデルとして設定されていたのがGTシリーズ。国産市販車初のツインターボエンジンを搭載し、4ドアながらスポーツカーなみの運動性能を実現したのである。 実績としては、次の世代の81系が歴代最多の販売台数を記録している。しかし、ハイソカーブームを牽引したのは間違いなく71系で、今では当時を知るオジサン世代だけでなく若者たちからも注目を集めている。 当時売れに売れた車種ではあるが、約40年経った今では中古市場での流通量も少ない。そんな中でもマークIIがダントツに多く、チェイサーとクレスタは同等。また、カスタム車両の比率が高くオリジナルが少ないことも付け加えておこう。「サーキットだけじゃなくお茶の間のファンも魅了」 日産・スカイライン(6代目)R30で絶大な人気を誇るのが、鉄仮面と呼ばれるRSシリーズの後期モデル。レーシングカー「スーパーシルエット」から始まったレッド/ブラックのボディカラーもファンが多い クラウンと並び、国産車の中でもとりわけ長い歴史を誇るスカイライン。 2027年で誕生70周年を迎えるほどのロングセラーで、いつの時代も注目の的。ハコスカやR32など時代を代表するモデルもあるが、ネオクラとして人気なのは6代目のR30だ。 1981年にデビューしたR30は当初、6気筒のGTシリーズと4気筒のTIシリーズをラインナップしたが、今でも圧倒的な人気を誇るのが2カ月遅れで登場したRSシリーズ。 日産としては8年ぶりとなるDOHCエンジンのFJ20Eを搭載したことが特徴で、その後R30を牽引するグレードとなる。 そして、その進化も急速で、登場した約1年半後には国産市販車初の4バルブDOHCターボのFJ20ETを搭載。翌年には空冷式インタークーラーを装備してさらにパワーアップしたのだ。 また、1983年のマイナーチェンジでRSシリーズは薄型ヘッドライトを用いたグリルレスマスクに変身。その容姿から「鉄仮面」と呼ばれるようになり、人気が急加速。モータースポーツで活躍したスーパーシルエットや、テレビドラマ「西部警察」に登場するマシンRSの存在も大きく、当時の映像を見てファンになったという若者も少なくない。 中古車市場にはそれなりの台数が流通しているが、そのほとんどがRSシリーズで相場も高め。コンディション次第では新車価格の数倍なんて物件もある。「迫力のブリスターフェンダーで人気が加速」 三菱・スタリオンシャープなボディラインとリトラクタブルヘッドライトがスポーツカーらしいデザインで、世界トップレベルの空力性能も実現。写真は1984年に追加されたダッシュエンジン搭載のGSR-V 三菱が掲げた「フルラインターボ」のイメージリーダーとして1982年にデビューしたスタリオン。実質的にはギャランΛ(ラムダ)の後継だが、キャラクターは大きく変わった。 見どころは外観で、シャープなファストバックスタイルにリトラクタブルヘッドライトを組み合わせたデザインはまさにスポーツカーのそれ。 エンジンもルックスに負けないもので、2リッター直4ターボを搭載。当初は自然吸気もあったが約1年後に消滅し、全車ターボとなった。その後はインタークーラーを装備したり、可変バルブタイミング機構採用のダッシュエンジンを搭載するなど、エンジンのアップデートが行われた。 スタリオン人気をさらに加速させたのが、1988年に設定されたGSR-VR(2600)。迫力のブリスターフェンダーが特徴で、輸出仕様に採用された2.6リッター直4ターボを搭載。 ちなみに、それ以前にも限定車のGSR-VR(2000)があったが、これはダッシュエンジンのままワイドボディにしたものだ。 ガンダムっぽいだのなんだのと言われることもあるスタリオンだが、このスタイリングが最大の魅力であることは間違いない。今のクルマにはない直線基調のデザインは、若者たちには新鮮に映るだろう。 そんなスタリオンも今や希少車。市場での流通量はかなり少なく、選り好みをするほど余裕はないだろう。また、他車と同様相場は高めで、ほとんどが2600GSR-VRだ。「巨匠が手がけた比類なきスタイリング」 いすゞ・ピアッツァ(初代)エクステリアはルックスだけでなく、ウェッジシェイプや徹底したフラッシュサーフェス化など、エアロダイナミクスも追求。写真はイルムシャーで4灯ライトや専用ホイールカバーを装備 2002年に国内の乗用車事業から完全撤退し、今では商用車メーカーとなったいすゞ。しかし、古くは117クーペやジェミニといった名車を輩出しており、1981年に登場したピアッツァもその内の1台に数えられる。 工業デザイナー界の巨匠ジウジアーロが手がけたスタイリングは、直線的なデザインが主流だった日本車のなかで異彩を放ち、一躍注目の的となった。インテリアも同様で、斬新かつ未来感覚たっぷりのデザインだ。 ただし、シャシーは初代ジェミニを改良したもので、当初のエンジンは2リッター直4自然吸気のDOHCとSOHCという2種。しかし、ライバルに対抗するべく1984年にはSOHCターボが搭載された。その後はDOHCとSOHCが段階的に消滅し、最終的にはSOHCターボのみとなった。 いすゞ車で多く見られたのが、欧州メーカーとのコラボモデル。ピアッツァも例に漏れず、ドイツのイルムシャー社が足まわりをチューニングした「イルムシャー」、F1の名門ロータス社がサスペンションを仕立てた「ハンドリング・バイ・ロータス」をリリースし、商品力を高めていった。 また、ヤナセでは「ピアッツァ・ネロ」として販売。基本的な部分はピアッツァと変わらないが、マスクやボディカラーなどで差別化されていた。 約10年販売されていたピアッツァだが、スタリオンと同じように中古車市場では希少な存在。ただし相場はそれほど高騰しておらず、ネオクラでも手が出しやすい部類だ。